オフショア積立から養老年金保険商品へのトレンド移行 | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

オフショア投資の世界や、タックスヘイブンの金融商品は、インターネットによる情報普及により日本でも知られ始めてから20年近く経つが、歴史を経て今は、香港など海外の生命保険会社が提供する、確定死亡保障は付いていないが、手堅い運用が期待できる「ドル建て養老年金商品」のような運用商品が完全に主流となりつつある。

 

FPI(フレンズプロビデント)やRL360、ITA(インベスターズトラスト)の提供するオフショアファンド積立商品は、運用結果の上下が激しく、特に長期積立の場合は、積立の途上においてマイナス運用もあり、心理的に続かない場合が多い。

 

その点、サンライフ香港のサンジョイのようなUSドル建て養老年金商品は、支払いも2年払いなど短期で、運用についてもマイナスになる心配なく5~7%程度の利回りが期待できて手堅い。

 

オフショア積立を10年以上やってきた人が、それを解約してサンライフのサンジョイに乗り換えるケースというのも増えている。

 

日本でのオフショア投資の歴史を振り返ってみると、20年前はマン・インベストメンツとかクアドリガのようなヘッジファンドやマン島籍のFPI(フレンズプロビデント・インターナショナル)のPPB(Private Portfolio Bond)リザーブとか、スイスのプライベートバンクの投資口座とかいわゆる一括投資が主流だったが、2008年のサブプライムショックで大損食らったひとが大量発生し、その後セービングプランと呼ばれる積立投資にトレンドはシフトしていった。

 

フレンズプロビデントのプレミア(プレミアウルトラ)に代表されるオフショア積立が日本で流行ったピークは2010年頃だったと思われるが、MLM(マルチ商法)の商材として取り扱われた結果、2012年にはフレンズプロビデントがコンプライアンス上の理由から日本居住者の契約受付を停止した。

 

その後、同じくマン島のHansard(ハンザード)も香港籍のスタンダードライフ(現Heng An Standard Life)も日本居住者は契約できなくなり、現在ではマン島のRL360とケイマン諸島のITA(インベスターズトラスト)にオフショア積立マーケットは引き継がれて今に至っているが、今までのおよそ15年くらいは日本におけるオフショア投資と呼ばれるものの90%は積立商品だった。

 

サンライフ香港のサンアーキテクトやFTLife(旧Ageas)のコロンバスといった香港籍のファンドラップ積立商品、また信託形式でアテナベストというIFAのホワイトレーベル商品メティスグローバルもまだ契約は可能なようだが期待に反してあまり広くは普及しなかった。

 

コロナ前の2019年頃までは、日本でもつみたてNISAが2018年から始まったところで、オフショア積立を契約する人はまだ多かったように思われる。また、ファンドのポートフォリオでは運用が期待できないと考える層にITA(インベスターズトラスト)のS&P500インデックス積立のようなINDEX連動型の積立商品も普及した。

 

令和に入ってからのこの4年間は、世界経済はうねりまくりで、香港でもFTLifeが火付け役だったが、保険会社の提供する一定条件のなかでほぼマイナス運用の心配がないドル建ての養老年金商品(Annuity Product)が現在は主流となった。

 

FTLifeからのSun Life香港への人材の移動もあったようだが、Sun Life香港はこの数年の間に見事にFTLifeの独壇場だった運用型保険商品の市場でシェアを取ってきて今は香港でも鼻息が荒い。

 

そんなカナダ系Sun Life香港が提供する商品のなかで、現在ダントツに人気があるのが昨年上市されたSunJoy(サンジョイ)という商品だが、最近多通貨対応(USD/BP/CAD/RMB)に対応するSunJoy Global(サンジョイ・グローバル)にランニングチェンジされた。

今は契約するならこのSunJoy Global(サンジョイ・グローバル)しか無いといった様相だ。

今のところ、契約時には香港信託名義にはなるものの、日本に居ながらこの商品が契約できるというのは日本人にとっては奇跡に近いラッキーと言えるだろう。

いつまで契約できるかは正直わからないが、日本から海外に資産を移転するキャピタルフライト(資産疎開)のニーズが急速に高まってきているいま、こういったツールが存在していることはありがたいことには違いない。

 

2年払い契約で、それをまとめて前納することが可能であり、決済はクレカのキャパ次第だが、日本で発行されたクレジットカードで支払うことが可能だ。

 

もし、今年中に円安がもっと進み、来年以降地獄のようにインフレが加速して超円安時代に突入するとすれば、最終的に日本にある円資産をドル転して海外に緊急避難させる事ができる最終兵器はこれしかない。

 

しかし、タンス預金の(これから旧札になる諭吉札の)現金は、クレカでの移転も銀行にいちど入れなければ海外送金もできない。

 

タンス預金は、誰かが亡くなられたときに意図せず発掘されることが多いが、これからも沢山の旧札タンス預金が見つかっていき、そして高齢者層が死蔵している預貯金も同様の運命だが、いずれは相続税の対象となるのだろう。

 

そのようなタンス預金の現金を意図せず発掘してしまったひとは、今すぐにでも手持ちで海外に持ち出すことを考えた方がいいかもしれない。

 

難しくなったとはいえ、完全に不可能というわけでもない。

海外の銀行口座に手持ちで入金するのと、サンライフやFTLifeのような保険商品の保険料支払いを現地で現金で行うのを組み合わせるしか方法はない。

 

海外に銀行口座を持っていないなら、先ずは口座が必要だが、香港に渡航すればHSBCとスタンダードチャータード銀行はまだ口座開設が可能だ。

 

そして、サンライフ香港のハーバーシティーにある秘密サロン?では、窓口で1証券名義人当たり年1回、USドルで5万ドルまでの現金での保険料支払いが可能だ。

 

現金の海外への持ち出しについては今更何も言うことはないが、持ち出した現金は香港の重慶マンションの怪しい両替屋でUSドルか香港ドルに両替するのがよいだろう。

 

サンライフへの支払いは香港ドルの方が為替レート的にお得だし、銀行のATMで入金する場合も香港ドルでなければATMでは入金できない。

 

いまは、通貨で価値が信用できるものは何もない時代になってしまった。

日本円はその中でも最弱通貨と見做されている。

 

香港の重慶マンションの両替屋でも、最近はあまり大きな額の日本円は、「もう要らない」と言われることがあるくらいだ。

 

僅かの手数料で運営される両替商にとっては、価値が下がっていく通貨の在庫を持ち過ぎるのは命取りだ。

 

USドルですら、米国で進行するインフレの影響でその価値は下がり続けているが、それ以外の通貨がもっと弱く、世界中で最も流通している米国政府保証の通貨であるUSドルとの相対的な関係によって物価が上がっているので、通貨で言えばUSドルしか避難する先がないという状況だ。

 

それゆえ誰もがUSドル債券や、S&P500に投資したいと考えるのは理解できるが、それとて絶対安心というわけではない。

 

世界を取り巻くインフレの嵐はまだ収まる気配が全く無く、その先に何を持っていた人や国が勝者となるのかは全く読めない。

 

国単位でみれば、アメリカ、中国、ロシアのように膨大な国土と資源と労働力となる国民がいる国は強いように思われる。

 

日本にはかつては世界有数の技術と勤勉な労働力があったが、今は中国や韓国の方が上になってしまった。

 

中国人民銀行が金(ゴールド)を買いあさっているとも聞くが、かつては金本位制で通貨の価値を担保していた金(ゴールド)ですら、絶対的な価値を持っているとは言えない。

 

このような世界中が何に投資したら良いかわからない混沌とした市場の中で、運用が不安定な長期積立よりも世界的に格付けの高い生命保険会社が運用する手堅い養老年金商品にトレンドが移行するというのはわからないでもないが、全ての人にとって同じ状況や選択肢ではないとは思う。

 

お金が手元に沢山有るひとにとっては、資産移転と保全と流動性の確保という観点で、サンジョイのような商品しか選択肢がないように思えるが、自分にはまだ稼ぐ時間がこの先十分にあると思える若い人たちには、長期に渡ってコツコツとファンドを買っていくオフショア積立も選択肢の1つとなるだろう。

 

時代の変化とともに、金融商品のトレンドも変化して行くが、香港で感じる露骨な変化と比べて、日本の金融商品のトレンドは政策上の理由か10年くらい遅れているように感じられる。