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上目遣いでその男を見やる。
すると向こうもしゃがんで目線を合わせてきた。
「琴南さん・・・酒臭いよ?」
「飲んでません!飲み会があって・・・でも私お酒は飲んでませんし・・・・ちょ、ち、近いです!!!」
奏江はぎょっとした。
自分の顔の目の前に社の顔が現れたからだ。
「やっぱり飲んでるでしょ」
「飲んでませんって!」
「・・・とりあえず部室いこうか?歩ける?」
「大丈夫です!」
ムッとして勢いよく立ち上がった奏江だったがすぐにしゃがみこんでしまった。
「・・・ほら、大丈夫?」
「きゃっ」
社は奏江の腕を抱えて立たせた。
ラブミー部の部室は目と鼻の先。ドアを開けると会議室仕様のテーブルと椅子があり、近場の椅子に奏江を座らせ、隣に自分も座った。
「はい、どーぞ」
社はミネラルウォーターのキャップを外し奏江に差し出した。
「・・・・ありがとうございます」
奏江は一気に飲み干したいのを我慢して少しずつ喉に流し込んだ。
そんな奏江の様子を見て、社は問いただした。
「何杯飲んだの?」
「飲んでませんってば・・・最初にウーロン茶を飲んでその後はジュースを何杯か・・・」
「店員から受け取った?」
「いえ、全部松田さんですけど・・・」
「ウーロン以外は全部カクテルかな」
「!」
奏江は驚愕の顔をして、ここまでのことを頭の中で思い返し、うなだれた。
「・・・・そんなことをする意味がわかりません」
「そう?彼は君のことが好きなんだろ?そしてマネージャーもそのことを知っている」
「・・・・・・・・・」
「こういう君を見たかったんだろうねぇ」
「・・・・・・・こんな・・・酔っ払いを、ですか?」
「酔っている女性は魅惑的だからね」
「・・・私ですよ?」
「君、だからでしょ?」
奏江はつっぷしていた顔を上げて恨めしそうに社を見た。
続く
需要があるのか果てしなく謎。まーいいや。