私、自閉症です。 -119ページ目

変更しないで!

私が小学生の時に経験したパニックの中で一番大きかったものは、電車の回数券が原因で起こったパニックだったと思います。


小学校3年生から5年生までの2年間、私は合唱団に入っていました。
とても活動の多い合唱団で、月に1度くらいは舞台や人前で歌う機会がありました。
当時、大きくなったら歌手になりたいと思っていた私にとって、人前で歌うことはとても楽しい時間でした。


合唱団の練習場所は、電車で一つ隣の駅でした。
練習がある土曜日になると、駅まで行って、切符を買い、改札を通り、電車に乗り、そこにはいつも変わらない手順がありました。
ある日、母が突然電車の回数券を買ってきて言いました。
「今度から切符は買わなくていいから、この回数券を駅員さんに渡してね」
「そんなん嫌や!切符の方がいい~!」
私は一日中泣いて騒いで大騒ぎでした。


つい最近まで、この時なぜ私はたかが回数券でこんなにも大きなパニックを起こしたのか、なにがそんなに嫌だったのかが自分でも分かりませんでした。
病院の心理士の先生にこの話をした時、「それは、駅で切符を買って、改札を通って、電車に乗るというルーティン(手順)が変わってしまうことが嫌だったんですね」と言われて初めて、私は、切符→回数券の変化を受け入れられなくてパニックを起こしていた自分に気が付くことができたのです。


自閉症は、突然の変更は苦手です。

これは、脳の前頭前野の不具合と関係があり、実行機能の障害と言われています。
脳の前頭前野は ・複数の様々な情報を整理する ・物事を順序立てて考える ・優先順位を決定する ・変更を考慮しつつ計画を立てて、実行する ・物事の結果に見通しを持つ など、とても多岐に渡る様々な仕事をしています。
これがうまく機能していないと ・選べない ・決められない ・変更や予想外の出来事に弱い ・時間を有効に使った計画が立てられない ・物事の始まりと終わりが分かりにくい など、様々な不具合が表れます。
同じ自閉症でも、人によって、どの部分にどれぐらいの困難が表れるのかは違いがあります。
私の場合、新しい刺激や変化を求める時も多いのですが、それはあくまで自分で望んだ変更であって、予想していない変更にはやはり抵抗や不快な気持ちが生まれやすくなります。


後日談ですが、この回数券騒ぎの数日後、私は突然「回数券でもまあいいか」と回数券という変更を受け入れました。
そして母に「回数券はどこ?」と聞きました。
すると母は、すでに回数券を駅に返しに行ってしまっていたのです。
確かに、私はあんなにも「回数券は嫌だ」と泣いて騒いで大騒ぎでしたから、母の気持ちも分かります。
でも私は「回数券はもう返した」と聞いて、安心するどころか、「ええーっ。せっかく回数券でもまあいいかと思ったのに!(せっかく回数券を受け入れたのに損した!)」と、大人に振り回されたと感じて、すごく不満が残ったのでした・・・。


変更に対してパニックを起こしている時、その根底には様々な理由があるのだと思います。

それは同じ自閉症であっても、個々によって違うものなのかもしれません。
この時の私のパニックは、変更を絶対に受け入れることができない!という頑なな気持ちだったのではなく、ただ変更を受け入れるまでのプロセスとして、変更に対する自分の不快な気持ちを表現していただけだったのかもしれないなと思います。

だからこそ、自分の不快な気持ちを泣き叫んで全て放出した後には、ケロッとして回数券を受け入れてしまったのかもしれません。

何となく、怒りや悲しさを泣いて表現した後に少し気持ちが落ち着くのと、似ているような気がします。

当時の母の対応は、私があまりにうるさいのでどうしていいか分からず放ったらかしでしたが、もしこの時に母が「分かった!じゃあもう切符にしたらいいやん!」などと言おうものなら、「一体どっちやねん!」とますます私の混乱とパニックはひどくなるばかりだっただろうなと思います。


私はつい最近までずっと、自分がパニックを起こした理由が分かりませんでしたが、自分が変化に対して弱さを持っているという特性を、もっと小さい頃から自覚できていれば良かったなと思います。
例えば熱がある時に、風邪をひいているなど熱の理由が分かっていればその対策も立てやすくなりますが、自分がなぜ熱を出しているのか分からなければ、どんな対策を取れば良いのか分からず不安も強くなります。
日常生活の中では様々な不快感が起こりますが、自分の不快感の明確な原因が分からなければ、ただイライラしたり、不安が強くなるばかりです。
私は、息子が変化に対して不安になっている時には、「変わってしまうなんて嫌やなぁ」と声をかけるようにしています。
小さい頃から、自分が突然の変更に対して弱さを持っていることを知ってい
れば、自分の感情に対する対策も立てやすく、また、自分の不快感に振り回されることも少しは減るのではないかなと思うのです。


とはいえ、突然の変更やパニックでの感情の放出は、本人にとってストレスに違いありません。

変更せざるをえない時には、いきなり変更をつきつけるのではなく、事前に変更への予告をしたり、納得できる説明をしたりするなど、本人が変更を受け入れやすい環境が整えられていることが、やはり一番理想的なのだろうなと思います。




≪ブログランキングに参加していますので、ぽちっとクリックお願いします♪≫にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 発達障害・自閉症へ
にほんブログ村

雨が降るワケ

早いものでブログを初めて1カ月が過ぎました。ずっと固い話が続いているので、今日は息子語録を一つ。


保育園の頃、雨が多くてなかなか外で遊べない日が続いた時のことです。

「なぁ、なんで雨が降るの!?」

「う~ん・・・お水がなかったら困るやろ?(←とっさの出来事にイマイチ対応できない私(笑))」

「・・・・・・あ~!そっか!お水がなかったら泥団子作れないもんね♪」


水道の蛇口から出てくるお水を思い浮かべた時に、真っ先に出てきたのが泥団子だったんだなと思います(^^)



≪ブログランキングに参加していますので、ぽちっとクリックお願いします♪≫にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 発達障害・自閉症へ
にほんブログ村

時間割の用意

明日の持ち物の準備は、できるだけ前日にすませるようにしています。
それでも、ついうっかり忘れ物をしてしまうことはとても多いです。


息子が小学校に入学した当初、明日の時間割の用意を一緒にすることは、とても大変なことでした。
毎日の持ち物はプリントにきちんと書かれてあるのですが、これがなぜか私の頭に全く入りません。
時間割の用意が終わって息子が遊びだしても、私は一人でプリントとランドセルの中を何度も見比べて確認していました。
何度確認しても、何か見落としているような気がして不安でたまらないのです。
そして息子が学校に行っても、何か忘れているのではないかと、ずっと不安がつきまといます。


しばらくしてから、何か良い対策はないかと思い、自分で写真入りの毎日の持ち物表を作ってみました。
そうすると、プリントの文字だけでは全く私の頭に入らなかったのに、写真入りの持ち物表はそのまま映像として私の頭の中に焼き付いてしまいました。
それからは、何度もプリントとランドセルの中を見比べて確認しなくても安心できるようになりました。
そして入学して三カ月ほど経った頃には、息子も一人で時間割の用意ができるようになりました。
 
私は、文字のみで大丈夫な時もあります。

けれどこの時は、文字だけでは上手くいきませんでした。

自閉症は、耳(聴覚)よりも目(視覚)で見て理解する方が得意ですが、文字のみで良い時、絵が必要な時、写真が必要な時、その時と場合によって必要な方法は様々に違うのかもしれません。

私が自閉症の診断を受け、自閉症支援について勉強して良かったこと、それは自分が自閉症特性で困った時に、こういった視覚支援を自分自身で作ることができるようになったことだと思います。

私、自閉症です。-zikanwari1

(見えにくいのですが、参考までに一例をUPします。画像が悪くてごめんなさいm(_ _ )m)


≪ブログランキングに参加していますので、ぽちっとクリックお願いします♪≫にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 発達障害・自閉症へ
にほんブログ村