私、自閉症です。 -121ページ目

ゲームに勝ちたい!

友達との遊びにおいて、ゲームや勝負事はよくあることですが、これは本当に大変な遊びでした。
勝負になると、なぜか「絶対勝ちたい!」と思ってしまうのです。
「ゲームは負けても次がある」、「負けることも勝つこともある」と、普段はそう思っているのですが、いざゲームが始まるとダメなのです。

心の底から「勝ちたい!」という気持ちがわき上がり、その強い思いは自分でも制御することができません。
一体何の闘争本能か・・・と思います。


国語~読書感想文 の記事に書きましたが、自閉症は自分の内面の感情を上手に意識することができません。
そのため、感情の表現がゼロか100かとても極端なものになってしまい、ゲームに負けた時のとても強い感情表現を見て、周りの友達が驚いてしまうことがあります。
周りの友達にしてみれば、「そこまで勝ちにこだわらなくても・・・」、「別に負けたっていいじゃない」と言いたいところだろうなと思います。


私はゲームに負けると、悔しくて泣きました。ふてくされました。すねました。人のせいにしました。
その態度は、マナーが良いとはとても言えません。
そんな時、周りの大人は色々と声をかけ、励まし、なぐさめようとしてくれるのですが、
「次頑張ろう」と言われても、私は『次』ではなく『今』勝ちたかったのであり、
「泣いたら楽しくないよ」と言われても、私は『泣いたから』ではなく『負けたから』楽しくないのであり、
「ゲームは勝つことも負けることもあるからおもしろいのよ」と言われても、強い闘争本能に振り回されている私にとって、ゲームに負けることがおもしろいはずがなかったのです。
そして、それらの正しい考え方を心から受け入れることができないからこそ苦しく、負けた時に周りが望むような態度を取ることができないことがとても悲しかったのです。


そのうち、成長とともに、私は少しずつ負けることを受け入れられるようになっていきました。
特に何かきっかけがあったわけではないのですが、おそらく、周りの友達が負けた時の様子を見て、負けた時の態度の取り方を少しずつ学んでいったのだろうなと思います。
また、ゲームは勝つことも負けることもあることを、経験しながら受け入れ、理解していったのだと思います。
最近では、負けを受け入れるどころか、勝ちたいとさえ思わなくなりました。
多分、息子が勝ちにこだわってかんしゃくを起こしている様子を見て、「こんなに激しいかんしゃくを起こされるぐらいなら私が負けるから!」と、自ら負けることを望むようになったからなのではないかと思います。


こういった勝つことに対するこだわりへの対応方法としては、
「ゲームに負けても、泣かずに我慢することがカッコ良いね」と負けた時の態度の取り方を教えたり、泣く以外の感情の発散方法を一緒に探したり、負けた時の正しいリアクションの取り方、表情、態度などを教えることが大切なようです。

それらは、負けた時の正しい表現方法を知らない子どもにとって、とても大切なことだと私も理解しています。
ただもう一つだけ、私は、もし
負けた時に「負けて悔しかったね」とたった一言、自分の悔しい、悲しい気持ちに寄り添ってもらうことができていたら、私はどれだけ救われていただろうかと感じることがあります。
心の底からわき上がる強い闘争本能に振り回される苦しい気持ち、勝ちたいというこだわりが満たされなかった悲しい気持ちに、もしたった一言でも寄り添ってもらうことができていたら・・・、

もしかしたら、自分の心の琴線に触れられて、私はもっと激しく泣いてしまっていたかもしれません。

けれど、そうして泣いた後は、自分の気持ちを分かってもらえた安心感が残っていたのではないかと思います。

そして、「誰も私の気持ちを分かってくれない」という悲しさを感じることは、なかっただろうなと思うのです。



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マンモス校の友達付き合い

小学校に入学してから、マイルールを存分に発揮してグループを仕切ろうとしていた私ですが、そのことが原因で大きなトラブルになるようなことはありませんでした。
女の子によく見られるグループ対立などはありましたが、特に自分がいじめの対象になったり、仲間外れになったりすることはありませんでした。


私が入学した小学校は、生徒数の多いマンモス校だったことが、一因としてあるのかもしれません。
1学年は約250人、42人学級が6クラスあり、全校生徒は約1500人いました。
1クラスに42人もの子どもがいると、やはり色々なタイプの子がいます。
私の仕切りたがりを、わがままと疎ましく感じる子もいれば、リーダーシップと感じてくれる子もいます。
同じクラスの中に、気が合わない子もいれば、気が合う子もいるのです。

また、1学年に約250人もの子どもがいると、クラス替えでは、クラスのメンバーは総入れ替えになります。
クラス内でトラブルが起こったとしても、それは期間限定のもので、クラス替えでリセットされていました。

小学生時代の私は人間関係でたくさんの失敗をしましたが(今も失敗していますが)、クラス内で友達グループを移動したり、クラス替えでリセットされることによって、失敗してもやり直すことができていました。

そうしていくつかの友達グループを移動するうちに、私は失敗とやり直しを繰り返しながら、周りの女の子達の様子の真似をするようになり、少しずつ友達とのスムーズなコミュニケーションの方法を模倣することによって学んでいきました。

そのうち、いわゆる普通の子たちと変わらないフリをすることができるようになっていったのです。

もし私が、少人数の学校に通っていたとしたら・・・、

もし失敗した時に、ゼロからのやり直しが難しい状況であったとしたら・・・、

あれだけ自分のマイルールを押し付けてグループを仕切ろうとし、さらにそれをフォローしてくれる大人もいないという状況では、そのうちいじめにあったり、仲間外れになったりすることもあったのかもしれないなと思います。


自閉症の場合、少人数の関わりの方が、本人の負担は少ないのだそうです。

確かに、周りにたくさんの様々な個性の人間がいれば、それだけでも圧倒され大きなストレスとなります。
けれど小学生の私は、周りにたくさんの人間がいたからこそ救われていた面がありました。

少数の関わりが向いているのか、多数の関わりが向いているのかは、本人の自閉症の特性や周囲のメンバーの特性、また、フォローしてくれる大人の存在など、その状況によって様々に違うのかもしれないなと感じています。



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私がルールブック

小学校に入学してからの私は、徐々に積極奇異型に変わっていきました。

これは特に何かきっかけがあったわけではなく、ただ自然にそのように変わり、3年生に上がる頃には、友達グループを仕切りたがるようになっていました。
休み時間には遊びのルールを提案したり(押し付けたり)、下校時間には一緒に下校するメンバーを日替わりで指定したり(押し付けたり)、自分がルールを作っては、仕切ろうとしていました。
相手の気持ちは全く考えずに、ただ自分の気持ちだけを押しつけていたので、周りから見ればわがままな子どもだったのではないかと思います。

私のマイルールは、おもに休み時間や下校時間、放課後など、大人の目が届かない時間帯に発揮されていたので、大人から注意されることもほとんどありませんでした。


自閉症は、脳の前頭連合野の働きに不具合があります。

前頭連合野には、「セオリー・オブ・マインド=心の理論」と呼ばれる働きがありますが、これは、相手の表情や身振りなどから、相手の立場や考え、心の動きなどを、限りなく正確に推測する能力です。

これは一般的には自然に身に付き、自動的に機能する能力ですが、自閉症の場合、このセオリー・オブ・マインドがうまく機能していません。

相手の気持ちを表情から読み取ったり、直感で感じ取ったりすることに困難があるために、人の気持ちを考えないような言動をしたり、空気が読めない、KYな言動を取ってしまったりすることがあります。


私は成長するに従って、少しずつ、相手の気持ちを考えて行動することができるようになっていきました。
けれどそれは、相手の気持ちが分かるようになったわけではなく、今までの経験を元に、自分の頭をフル回転させて、相手の気持ちを自分なりに逐一分析しながらコミュニケーションしているだけなので、大人になった今でも、相手の気持ちを読み間違えて失敗してしまうことはあります。
友達付き合いは楽しいものですが、あまり頻度が多くなるとエネルギーを使い果たして疲れきってしまいます。


学校は、ただでさえ毎日新しいことを勉強して、昨日よりも今日、今日よりも明日、学習面においても、人間性においても、常に成長することを求められる場所です。
そんな毎日の中で、勉強にも、友達付き合いにも膨大なエネルギーを使い続けていれば、時にはエネルギーが切れてしまうこともあります。
人間のエネルギーは自動的に補充されるものではなく、
エネルギーが切れたまま無理に動き続けていれば、やはりいつかは壊れてしまいます。
壊れる前に、思い切ってリフレッシュ休暇を取って充電することは、決して怠けているのではなく、毎日の生活を送る上で必要不可欠なことなのではないかと感じています。




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