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【会員制コラム:ブロックチェーンとトークンエコノミーはどのような社会構造の変化をもたらすのか?】

【ブロックチェーンとトークンエコノミーはどのような社会構造の変化をもたらすのか?】

 

<ブロックチェーンとトークンエコノミーはどのような変化をもたらすのか?>

 

【要約:ブロックチェーンによって生まれるトークンエコノミーは、シェアリングエコノミーよりも大きな領域に及び、貨幣をはじめとした公共財のやりとりをしなやかなものにする。特に、これまで貨幣経済の影に隠れてきた社会関係資本や自然資本の価値が見直され、ブロックチェーン上での共有地化(コモンズ化)が進む。トークンエコノミーは国家の弱体化を補い、小さな共同体のアップデートを促す】

 

 

 

2017年のビットコインの暴騰と暴落に代表される仮想通貨バブルと共に、仮想通貨の運用を支えているブロックチェーンというテクノロジーそのものが徐々に知られるようになってきました。投機やマネーロンダリングに利用されるなど仮想通貨に悪い印象を持つ人は少なくないかもしれません。しかし、ブロックチェーンは、貨幣だけでなく様々な領域で使われることが想定され、インターネットと同じように社会を変える可能性があると言われています。

 

 

1)ブロックチェーンとは何か?

ブロックチェーンとは分散型台帳とも呼ばれ、信用を担保する仲介者がいなくとも大勢の参加者で台帳を共有しあうことによって、お金の取引を始めとした様々な約束を安価に安全に記録してくれるテクノロジーです。これは、「帳簿やデータベースは特定の主体が管理するもの。約束は国や企業や個人や神などの特定の主体が信用を担保して成り立つもの 」という、これまでの考え方を大きく変えることになります。

 

誰もが大勢の参加者によって成立する信用をもとに、安価に容易に価値をやりとりできるようになる。という経済の変化はトークンエコノミーとも呼ばれ、貨幣をはじめとした公共財に大きな影響をもたらします。例えば、現在、ブロックチェーンには以下のような用途が考えられ、世界で盛んに実証実験が行われています。

 

・公証:国家や特定の団体が担保していた資格や成績表をブロックチェーン上に記載する動きが広がっています。例えばマサチューセッツ工科大学は、紙の証明書に加えて、ブロックチェーンを用いたデジタル学位を開始しました。学生が登録したデバイスでしか表示されないといった不正対策がなされ、進学や就職などの際には第三者にシェアすることができます。シェアされた第三者は大学の確認用サイトで学位の裏付けを取ることができるため、大学職員の確認作業が簡略化できます。国連やフィンランドでは、ブロックチェーンを活用して、どこの国にも存在が担保できなかった難民などの身分証明と金融・社会支援を開始しています。

 

・仲介不要:弁護士や土地登記所やローン査定者など多くの仲介人が必要だった不動産取引がシンプルに行えるようになります。これまで取引処理に必要だった煩雑な約束の数々をブロックチェーンで自動執行する(スマートコントラクトと呼ばれる)ようにしておくことで、迅速で高い透明性を持つ取引処理が行えるようになるでしょう。

 

ジョージアやスウェーデンでは、ブロックチェーンを用いた土地取引が計画されています。取引をシンプルにすることで、不動産の部分購入や時間限定の購入などの新しい市場が生まれてくることも期待できます。同様に処理が煩雑な海外送金や寄付もスマートに行えるようになるでしょう。

 

・データ連携:これまで特定の管理者がいる場合には実現しえなかった企業間や組織間や個人間でのデータの共有ができるようになり、食品トレーサビリティをはじめとしてサプライチェーン全体の効率化などを目的としたデータ連携とデータ活用ができるようになります。例えば、世界中の医療機関が各々持っているデータのうち、個人が特定できるデータは除いて、手術情報などの医療行為データや、患者の服薬データをブロックチェーンで共有し、世界中の研究者がブロックチェーン上の履歴を分析することで、これまで以上の医療の発展が見込まれます。

 

共有されたデータは、医療保険や年金制度にも大きな影響を与えることでしょう。IoT(Internet of things)の進展で様々なデータが生まれてきていますが、データの性質上、第三者に気軽に出せないデータも多く事業者間でのデータ活用が進んでいません。安全に安価にデータ共有できる仕組みは連携とデータ活用を加速させるでしょう。

 

・造幣:銀行や通貨を作る敷居が低くなり、企業や国家に代わって誰でも銀行や通貨が開設運用できるようになります。楽天ポイントやAmazonポイントなど、すでに企業が発行するポイントが通貨の役割を果たしてる場合が多いですが、ブロックチェーンによって、この動きがさらに加速するでしょう。 個人・民間企業・公共団体・共同団体・コンソーシアム・ファンクラブ・国家・宗教団体などがポイントを発行するように、様々な通貨が無数に発行され、それぞれの共同体の目的に合わせた独自の経済圏を構築していくでしょう。

 

ポイントなどの代替貨幣をトークンと呼び、これらの交換によって生まれる経済圏をトークンエコノミーと呼びます。本当は価値があったにも関わらず法定通貨には反映されていない価値に対して、トークンを発行することで貨幣や証券の特性を持たせることができます。個人を証券化できる日本のVALUが有名ですね。

 

・決済:個人間の少額支払いの敷居がより低くなります。Apple payやSUICAなど、すでに私たちはデジタル決済を使うことで意識せずに支払いをする暮らしに変わってきていますが、この動きがさらに加速します。例えば、自動運転が実用化された時の道路のゆずり合いが考えられます。

 

これまでは、その都度、ドライバー同士のコミュニケーションで道路のゆずり合いが行われてきましたが、このゆずり合いを仮想通貨のやり取りで行うこともできます。目的地を入力する時に、「すべて相手に道をゆずる。」と事前設定しておくと、目的地に着いた時には道をゆずった分だけ対向車からトークンを受け取る。

 

もしくは後続車に贈る。といった仕組みが生まれてくるかもしれません。 仮想通貨のIOTAが 自動車の後続車が先頭車に省エネ分だけトークンを贈るという実験を始めています。安全に、ほぼ無料でデータ共有できる仕組みは、人同士、モノ同士、人とモノの連携を加速させるでしょう。

 

・調達:トークンを発行し法定通貨と交換することをICO(イニシャル・コイン・オファリング)と呼びます。資金を集める敷居が株式公開と比べて低くなり、会社という器がなくても資金調達できるので、プロジエクトを柔軟に開始することができます。Ready forやCampfireなどが実施している共感によってプロジェクト資金を集めるクラウドファンディングとも近い仕組みです。

 

例えば、自治体がICOすることで地方交付税や住民税に加えて、独自に資金調達を行えるようになり、より地方の特性や課題に合わせた公共サービスを展開できるようになります。

 

自治体コインを購入した出資者も、自治体コインの価値を高めるため、実際に訪れて消費や宣伝をする、新しい事業を始めるといった活性化に協力するようになり、交流人口、関係人口の増加が見込まれます。 ICO とは、株式投資と近く、利害を一致させる仲間づくりを通じて事業開発することで、ともに価値を高めていくインセンティブを生む仕組みとも言えます。

 

この仕組みは、2017年にはベネズエラという国がICOするなど、自治体だけでなく、マンションの自治会から国家まで含めて多くの共同体が活用できる仕組みです。

 

いくつかの用途を示すことで、ブロックチェーンというものが少しイメージしやすくなったと思います。これまで決済を伴った何かしらのサービスを運用する場合、運営元がデータベースを運用するために取引手数料をとるか、経済圏の規模の経済性を活かし手数料が低くても利益がでる構造にするという手段がありましたが、トークン発行を用いることで、小さな経済圏でも通貨発行益によりサービス運用を行うことができます。

 

今のインターネットが、誰でも情報を、ほぼ無料で容易にやりとりできるようになった「情報のインターネット」とすれば、ブロックチェーンは誰でも価値を容易にほぼ無料でやりとりしながら共創できるようになる「価値のインターネット」とも呼ばれ、大きく社会を変えていくものと考えられています。では、具体的に社会はどう変わっていくのでしょうか。

 

 

(2)ブロックチェーンは社会の何を変えていくのか?

 

ブロックチェーンとトークンエコノミーの発展によって大きく社会に4つの変化がやってくるでしょう。

 

1、法定通貨の相対的な価値低下による国家の弱体化

 

2、経済的価値の相対的な低下による社会関係資本・自然資本の見直し

 

3、公共財を管理する主体の選択肢が増える

 

4、変化に対して試行錯誤できる経済圏が生まれる

 

 

1つめの変化は、法定通貨の相対的な価値低下により国家が弱体化していきます。インターネットが誰もが情報を発信できるインフラになったことで、世の中に大量の情報が生まれ、ひとつひとつの情報の価値が相対的に低下しました。ブロックチェーンとは誰もが価値交換できるインフラです。

 

世の中に大量の貨幣が生まれ、ひとつひとつの貨幣の持つ価値が相対的に低下することが考えられます。例えば、様々な通貨が無数に発行されるようになった時、無数の通貨を集約する財布サービスを提供する企業が多く出てくるでしょう。

 

この財布に、取引ごとに無数の通貨の中からどの通貨を今利用すれば財布の持ち主にとって合理的なのかを人工知能が決めてくれるような機能があれば、私たちは通貨そのものや決済を意識することなく、より自分自身の目的や共感に応じた価値のやり取りができるようになります。

 

これまで法定通貨で価値のやりとりをしていましたが、無数の通貨が存在する世界では法定通貨を使わなくても価値がやりとりできるようになります。法定通貨の価値は相対的に下落し、税収を拠りどころとする国家の弱体化をもたらします。

 

代わって、人々から多くの共感を集めて大きな経済圏を構築できる企業や団体は中小国家のような影響力を持つようになり、次第に国家が果たしてきた役割を代替することが求められるようになるでしょう。

 

すでに上場企業の株主に公的年金が占める割合が高くなり、ESG投資(環境・持続性・ガバナンス)が求められるなど、民間企業も利潤だけを求められる存在から、社会的価値も生み出す存在へと成熟が求められています。個人・民間企業・自治体がともに、共通の志や目的に沿ったトークンを発行し、共創することで、個人の利潤と社会的価値創出が両立できるインセンティブを得ることができます。

 

2つ目の変化は、従来の経済的活動の相対的な価値が低下し、社会関係資本と自然資本が見直されます。世の中に大量の貨幣が生まれることは、従来の経済活動の価値が相対的に低下することが考えられます。

 

インターネットの登場前は情報とは貴重なものでしたが、インターネットの登場でインターネットが生み出す情報そのものの価値が下がり、情報から生み出されるデータや情報を生み出すプラットフォームそのものに価値がある社会になりました。同じようにブロックチェーンの登場で、経済活動そのものの価値が下がり、経済活動から生み出される何かや、経済活動を生み出すプラットフォームそのものに価値がある社会になってくと考えられます。

では、それらは何かと言うと、「社会関係資本」と「自然資本」の2つです。下図のハーマン・デイリーのピラミッドと呼ばれる枠組みで社会を眺めると、経済活動は私たちの活動のごく一部に過ぎないことを表しています。

 

 

貨幣経済は人間活動の一部にすぎない。

 

 

経済活動とは自然資本によって生み出されたものを、金融資本をテコにして財やサービスを生み出す行為です。生み出された財やサービスは、私たちの人間関係つまり社会関係資本を豊かにします。相互の善意や友情、信頼といった社会関係資本を蓄積することで初めて私たちはウェルビーイング(心身および社会的に良好な状態)を達成できます。

 

社会の成熟化で、お金と商品の交換によって得られるものだけを求めることで幸せを感じることができる人が少なくなってきています。つまり、GDP という指標が豊かさと直結する時代ではなくなってきています。自然資本や社会関係資本といった「見えない資本」を可視化することで、GDPに代わって、私たちそれぞれのウェルビーイングを目指すための指標にできるのではないかと考えています。

 

 

自然資本をどれだけ有効に活用しているか、社会関係資本をどれだけ生み出しているかといった指標は経済活動を行う上でも重要な資本であるにも関わらず、財務諸表に反映されていません。これらをトークン化して可視化することで、共通の指標として扱えるようになります。指標は人々の行動の指針となり、多くの人たちがウェルビーイングに近づいていける社会になっていくでしょう。

 

 

自然資本の可視化とは、二酸化炭素排出量の可視化と排出権の売買が行われているように、例えば、様々なセンサーから得られた天然資源の量や自然の豊かさなどの数値と企業の経済活動への影響度をブックチェーン上に記録し可視化することで、サプライチェーン全体が効率化することと同じ効果が得られるかもしれません。

 

社会関係資本の可視化とは、オークションサイト出品者へのレビューやfacebookのイイネ!や中国の芝麻信用などが代表例です。

 

これは、評判、勲章、学位、資格といった個人や団体に紐づくものと、感謝、贈与、信頼性、家族、人間関係など人と人との間にあるものとに分けられます。

 

両者とも、お金以上に価値があると思う人が多いので経済活動にも大きな影響を及ぼしますが、お金に交換すると価値がなくなると思う人も多いことが特長です。社会関係資本をお金に交換し経済活動に取り込む場合は、投げ銭や寄付経済圏となります。コンテンツ制作者に数銭のコインを贈与できるモナコインなどが代表例です。

 

 

お金に交換せず独自の経済圏をつくる場合は、共感経済圏や感謝経済圏とも呼ばれています。Q&Aサイトを運営するオウケイウェイブは、他者からどれほど“感謝”されているかをスコア化し、スコアの高い人が様々な優待を得られる“感謝経済”の仕組みを開発しています。取引履歴やフィードバックをもとに適切にトークンの発行設計をすることで、家族内の肩たたき券をやりとりするような掛値なしの関係を、家族以外にも拡張できるかもしれません。

 

社会関係資本を貨幣に交換する場合でも、自動運転での道のゆずり合いといった価値交換がミリ秒単位でなされるようになると、貨幣交換そのものよりも、移動に対する価値観や態度そのものが価値となっていきます。このような公共サービスが増えてくると、自然や社会に対する態度そのものが価値となる時代がやってくるようにも思われます。

 

貨幣で交換可能な資本以外もトークン化できる

 

3つ目の変化は、公共財を管理する主体の選択肢が増え、公共財のあり方が変わります。これまでの事例で紹介してきたように、ブロックチェーンはお金、資格、ルールや規範、社会関係、自然といった公共財に大きな影響を及ぼします。

 

公共財とは多くの人々にとって必需品であり共同で利用できる財やサービスのことを指し、現在、その多くは政府や公共団体によって提供されていますが民間によって提供される場合もあります。民間で提供される代表的な公共サービスは教育です。

 

教育は江戸時代には寺子屋や私塾で行われていた経緯もあり、現在も寺が保育園などの経営を行っているケースが多く見られます。 鉄道・通信・郵便・図書館といった公共サービスは、最初は国が提供してきましたが、複雑化した住民ニーズに効率よく応えるため徐々に民営化されています。

 

 

この状況をまとめると、教育・医療・里山・井戸といった近代以前から公共財として存在していたものは、寺や村落などが継続して管理運営する。舗装道路・鉄道・水道といった近代化に必要で、多額の初期投資を必要とした公共財は国家が集権的に投資を行い、ニーズの多様化とともに市場原理に任せ民営化していく。

 

国防や警察など国家が官僚基準で管理した方が皆が安心できる公共財は、国家が管理し続ける。といった傾向が見られます。

 

最近では Airbnb ・メルカリ・ Wikipedia に代表されるシェアリングエコノミーが盛んです。インターネットという新しい公共財の発達で、個人が所有している空間や生活用品や知識をまるで共有財のように扱うことができるようにもなりました。

 

大勢の参加者で台帳を共有しあうことによって信用を生み出すという考え方がブロックチェーンで技術的に可能になったということは、江戸時代の村単位で里山を共有地として管理することで全員が利益を得ることができるというコモンズの考え方に近いものがあります。

 

また、すべての履歴が透明化されているため、誰が共有地に貢 献しているのかが明確化され、共有地にタダ乗りし続ける人がいた場合には発見できるようにもなっています。

誰が主体で、資本の管理・運営をするのか?

 

 

ブロックチェーン登場前は、公共財を国管理で行うのか個人管理で行うのかを便宜上制度で切り分けざるをえませんでした。ブロックチェーンを用いて現在の共有財を管理することで、近代以前の共有地に近いやり方でWebサービスのように効率的できめ細やかなニーズにも対応できるように共有財と公共サービスをアップデートできる可能性があります。

 

もちろんすべての共有財をブロックチェーンを用いて管理していくというわけではなく、国が官僚基準で集権的に管理した方が皆が安心できる共有財、ブロックチェーンでオープンに管理した方が皆が安心できる共有財、個人や企業が市場基準で分散的に管理した方が安心できる共有財、と3つに分けられます。

 

 

共有財を誰が管理するかについては様々な考え方があるかと思います。極端な場合ですと、国防や警備まですべて民営化してしまった方が効率化するというリバタリアン的な共同体から、すべてを国有化してしまった方が平等だという共産主義的な共同体まで意見が存在するでしょう。

 

その2つの間のどこに位置したいかは、トップダウンではなく、それぞれの地域自治体やトークンを発行する共同体内の特色と目的を鑑みながらボトムアップに決められるべきだと思います。ブロックチェーンとは信頼の担保という面で、個人と国家の中間の存在ですので、個人の利益の最大化と社会の価値の最大化を両立できる公共財という選択肢が増えることになります。

 

 

4つめの変化は、共同体がアップデートして、環境変化に対して試行錯誤しやすい経済圏が生まれてきます。日本では明治維新以降は、集権的に社会づくりが行われ、60年前からはGDP という単一の指標に基づいて効率的な社会づくりが行われてきました。世界でも群を抜く経済成長と復興を成し遂げ、生活が豊かになった反面、画一的な社会になりすぎてしまった弊害もあります。

 

一方で、テクノロジーは指数関数的に急速に進歩し、再生医療や自動運転など様々なことが実現可能になってきますが、社会制度をその進歩に対応させるには、現存の画一的をよしとする社会では時間がかかりすぎます。環境があまり変わらず、目指す目標がひとつの場合には、効率的で合理的な活動を可能にする集権的な仕組みが適していますが、環境が激しく変化し、目指す目標が複数ある複雑な場合には、それぞれが試行錯誤できる分散型の仕組みが適しています。

 

 

地域でトークンを発行すると、地域の自然特性に合わせた社会づくりができるでしょうし、新しいテクノロジーを社会実験できる特区を設定しベーシックインカムとして住民にトークンを発行することで、自治体・住民・参加企業が創出した価値を公平に分配できる社会づくりができます。地域にとどまらず、多様な価値観に合わせて様々なトークンを発行し、私たちそれぞれのウェルビーイングを目指すための指標にすることで、トークン保持者が協力しあいながら世界中で生まれてくるテクノロジーを取捨選択し、社会づくりを試行錯誤していく。環境変化がより激しくなると、集権的で効率的な共同体に代わり、創発がボトムアップで起こりやすい共同体が生き残り、社会全体に影響を与えて行くことになるでしょう。

 

 

(3)4つの変化のまとめ

 

2つ目の変化を縦軸に 3つ目の変化を横軸に整理すると、下図のようになります。現在のシェアリングエコノミーは、乗り物、空間、人、物のシェアリングを指しており、主に個人ごとに管理していた財を、中央集権的なプラットフォームで共有するムーブメントです。

 

今後は、分散的なプラットフォームという選択肢が増えることで、国や自治体が管理していた公共財までもがシェアリングエコノミー化することが予測されます。

 

 

トークンエコノミーはシェアリングエコノミーより大きい領域に広がる

 

これまで述べてきたように、表内の項目のうち、どれを国や個人管理にするかブロックチェーンで管理するのかはトークンを発行する共同体ごとにボトムアップで決められていくので共同体によって異なります。

 

19世紀末から20世紀中頃にかけて、行き過ぎたグローバル資本主義が、国や地域の労働規範や福祉規範に合わせるように、大きくは社会主義と資本主義という2つのイデオロギーに分かれました。同様に、21世紀初旬から中旬にかけても、行きすぎたグローバル資本主義に何らかの調整弁が働き、それぞれの共同体が持つ労働規範や福祉規範に合わせて、様々な種類の資本主義へと分化して行くでしょう。

 

世界中では、多くの領域においてブロックチェーンを前提とした公共サービスが世界では開発されていきますので、共同体の基準に合わせてこれらのサービスを取捨選択肢し活用していくと、共同体の自治力や共同体そのものの価値がより高まるのではないでしょうか。様々な共同体の魅力を高めるためにブロックチェーンを活用することで、次第に衰えていく国家の力を少しでも補うことができます。

 

今後、法定通貨が作り出してきた従来の「エコノミー」経済圏に加え、ブロックチェーンが創りだす「トークンエコノミー」経済圏の中でも過ごす人々が徐々に増えていくでしょう。

 

これまでは、「一つの経済圏の中で、個人の価値観に照らし合わせながら、どうやって豊かに暮らして行くか?」と問いながら生きてきましたが、「メリット、デメリットを個人の価値観や身体的特徴に照らし合わせながら、どの経済圏を選び、どうやって過ごして行くか。」と問いながら生きていく時代がやってくるでしょう。

 

 

(4)変わるのにはどれくらいの時間がかかるのか?

 

1990年代末のドットコムバブル時には過剰な期待にWEBサービスを実現するためのテクノロジーが追いついておらず、10数年の時間をかけて実現されていきました。ブロックチェーンは、現在想定されているサービスを実現していくために乗り越えなければならない技術的課題がまだまだ多いのも事実です。

 

テクノロジーのトレンドに対する世の中の期待値や普及時期を示したガートナー社のハイプサイクルによると、2017年の時点で、ブロックチェーンは期待の最高値にあり、今後、現状のテクノロジーによる制約が明らかになるにつれ、失望が広がっていくことが暗示されています。しかし、他のテクノロジーが辿ってきた熱狂とその後の隆盛の歴史と同じく、本当の変化はその時から始まります。時間をかけながらエンジニアと初期採用者の智の集積によって克服されていくでしょう。

 

 テクノロジーは社会や暮らしを便利にするだけでなく、社会や暮らしそのものを変える力を持っています。ドットコムバブルから十数年かけて、インターネットが社会や私たちの暮らしを大きく変えたように、ビットコインバブルから十数年後の2040年頃までにはブロックチェーンは、社会や私たちの暮らしを大きく変えているでしょう。


 

【会員制コラム:とってもやさしいトークンエコノミー解説】

【とってもやさしいトークンエコノミー解説】

 

最後に質問🌟
Q.あなたは、1ですか? 2ですか?

 

 

◼トークンエコノミーとは

「トークン」という言葉は「代替貨幣」という意味があります。「エコノミー」は「経済」です。つまり直訳すると「代替貨幣の経済」という意味です。

 

なので仮想通貨の話題の中で出てくる「トークンエコノミー」とは仮想通貨で作られる経済圏という解釈で大丈夫です。

 


◼トークンエコノミーと今までのエコノミー

現在の経済では法定通貨(国が発行するお金。日本円、米ドル等。)が商品やサービスの仲介役を担います。Aという商品を購入したければ「法定通貨でいくら」という価値基準で交換が行われます。

 


生産者やサービス提供者(事業者)と通貨発行を行う主体(国)は別にあり、通貨発行主体が定めた媒体(法定通貨)によって交換が行われております。


それに対し「トークンエコノミー」では通貨は必ずしも発行主体と生産者が分かれている必要がありません。


「トークン」は「代替貨幣」と訳される事からも分かるように「商品」を「代替貨幣」である「トークン」で表す事ができます。


例えばAという商品のトークン(代替貨幣)とBという商品のトークン(代替貨幣)を仮想通貨で発行します。

Aのトークン1枚分とBのトークン2枚分が同じ価値になるからAという商品をBのトークン2枚で買う、という事が可能になります。


この交換の過程に国という通貨発行主体が必要ないのが「トークンエコノミー」の一つの形です。

 

 

◼日本円は必要ない?


上記のような交換(A商品に対しBトークン×2枚の価値が等しいので交換が成立する)時に「国という通貨発行主体が必要ない」と述べましたが、価値をどう表現するのか?という疑問を持つ方もいるかと思います。


Aトークン=100円、Bトークン=50円という表現をすれば確かに「A=B×2枚」と直感的に理解できますがこれでは今までの経済圏にトークンという代替物を置いているだけです。

しかし今では日本円でなくともAトークン=1BTC、Bトークン=0.5BTCと、日本円の代わりにビットコインを基軸として置く事ができます。もちろん基軸となる通貨がビットコインでなくても構いません。


このように日本円を完全に介さずに経済を「トークン」で回す事が「トークンエコノミー」では可能になります。

 

 

◼トークンエコノミーの実用例

「トークンエコノミー」の定義は曖昧で、可能性はいくつも存在します。

 

先の例のように商品をトークンに置き換えて生産者(事業者)が貨幣(トークン)を発行するのもトークンエコノミーの一つですが、トークンエコノミーでは今までに価値を付けられなかったものに価値を付与する事が可能になります。


最たる例に「人物」が挙げられます。


Cさんという「人物」のトークンを発行するとします。Cさんが100枚の「Cさんトークン」を発行し、Cさんの可能性に賭ける投資家が購入をします。投資家の需要が増えれば100枚という限定された供給の中では市場原理で価格が上昇します。


Cさんが100枚のうち10枚を保有しておいて「Cさんトークン」の価格が1枚あたり10BTCになればCさんは10枚×10BTC=100BTC分の資産を保有する事になります。

 

A商品が1BTCだとすると「Cさんトークン1枚」を持って10個のA商品を購入できます。今までの経済に無かった経済圏が出来上がります。これが「トークンエコノミー」の一つの実用例です。

 

自分が提供できるサービスだけで使える仮想通貨(独自トークン)の発行もサービスのうちの一つです。まさにトークンエコノミーの形成がなされてます。

 

人物の他にも、どんなモノでもトークンは発行(紐付け)できます。

 

トークンは、その提供するモノ/サービス/権利などに価値を見出だす人がいて、仮想通貨と交換する事で、価値を付与する事ができます。

 

よって、人の時間、権利、技術、ノウハウ、ビジネスモデル、現物資産、車、馬、ライセンス、お店、優待券、サービス回数券、ゲームのキャラクターなどあらゆる価値にトークンを発行して、お金を得る事ができる時代になっています。

 

 

この理論を聞くと完全に二極化します。

 

1.話もちんぷんかんぷん過ぎて、全く理解しようとしなくなる人

 

2.理解はできないが、何となくイメージできてワクワクする人

 

これを、0=1理論と呼んでおり、従来の当たり前の事が当たり前じゃない事を拒絶する人/受け入れられる人です。

 

Q.あなたは、1ですか? 2ですか?

【会員制コラム:ビットコインは何者か?】

【ビットコインは何者か?】

 

すべては2009年にはじまりました。

 

ビットコインとはご存知「仮想通貨」の代名詞として広く知られるようになりました。

 

ブロックチェーン技術という基盤技術をもとに作られたのがビットコインで、その歴史は2009年から始まっています。

 

ビットコインを支えるブロックチェーンは、1990年代にインターネットが世に広まったとき以来の衝撃的なプロダクトで、まさに「革命」と言われています。

 

世間ではAIだフィンテックだIoTだと言われていますが、なかでももっとも革新的なのがブロックチェーンであります。(そのブロックチェーン技術で初めて作られた仮想通貨=暗号通貨がビットコインになります。)

 

 

◼ビットコインの特徴

概論ですので技術的なことはさておき、ビットコインの特徴を挙げてみましょう。

管理者がいないセキュリティが堅牢送金時間が激早送金コストが激安

 

 

1. 管理者がいない

なんといってもビットコインの最大の特徴はこれ、管理者がいないということです。

例えば円やドルなどの法定通貨(仮想通貨と区別してフィアットと呼ばれます)は発行体がいます。

各国の中央銀行(日本は黒田バズーカの日本銀行)がそうです。

管理者がいる、ということはどういうことでしょうか?

日本円は、管理者がいることで1万円札には1万円の価値が国の信用により担保されています。

1万円札なんて、物質的にはただの紙です。1万円札の製造原価は約20円なのですから、信用担保がなければ成り立ちません。

世界中で1万円札を1万円の価値で財や別の貨幣に交換できるのは、日本銀行、ひいては日本国が世界中から信用を得ているためです。

 

では、もしあなたが信用の低い国に生まれていたとしたらどうでしょう?

国際的に信用度の低い新興国なので、紙幣に信用度がありません。

隣町のスーパーマーケットでは、自国通貨がいつ紙くずになってもおかしくないので米ドルでしか支払いを受け付けてくれません。

 

そうした場合には当然、価値が暴落しない通貨を持たざるを得ません。

隣の国の通貨でも良いでしょう、米ドルでもよいかもしれません。

しかし極端な話、発行した通貨はいつかもしかしたらその発行者の信用が落ちて紙くずになってしまう可能性があるのです。

と、いうことで管理者のいないビットコインのような仮想通貨が待ち望まれていたのです。

 

 

◼ビットコインには管理者がいません。

まったくなんのことかわからないかもしれませんが、文字通り誰も貨幣を管理していないのです。

 

ピン札を刷って古い紙幣と交換することもなければ、相場に応じて為替介入なんてこともしませんし、世の中に出回る紙幣の量をコントロールしたり(いわゆる金融政策)もしません。

ただただ、誰がいくらのビットコインを持っていて、いつ誰が誰にビットコインを送ったのか・受け取ったのかを把握するシステムがあるだけです。

それがブロックチェーン技術です。(暗号化された取引データは半永久的に記録されます!)

 

 

じゃぁ一体誰がそれを把握しているのか?という話になります。

例えば円の預金口座は銀行が管理しています。

 

誰がいくら持っているか、いつ誰が誰に送金したかは銀行が把握しています。

ビットコインでは銀行にあたる管理者はいません。

 

答えは、ビットコインのネットワーク参加者全員です。

多数のネットワーク参加者が暗号化した取引記録を共有しているのです。

 

また、コインチェック問題のように、管理者(バイトレベルのサーバー管理者でした)がいた場合ハッキングの標的にもなりやすいですが、ビットコインには管理者がいないためハッキングの被害にあうこともありません。

 

銀行のようにハッキングされてデータが改ざんされたり、データを覗き見られたりする危険性がないです。

いまはただ「ビットコインに管理者はいない」ということだけ覚えてください。

これを非中央集権型といい、ブロックチェーン革命の本質になります。

 

 

2. セキュリティが堅牢

 

ビットコインの2つめの大きな特徴はセキュリティの強さです。

セキュリティが強いとはつまり、データの覗き見や改ざんが極めて困難で、事実上不可能に近いということです。

 

語弊を恐れずに言うと、これまでのインターネットの通信規格であるhttpは情報の受取手を信頼していないと成り立たないものでした。

 

しかしブロックチェーンでは相手側が信頼できるものであろうとなかろうと、関係ありません。

 

なぜなら取引自体が信用できるためです。

 

これをトラストレス トラスト システム(Trustless trust system。「相手を信用しなくても成り立つ、信用に足るシステム」とでもお考えください)と呼びます。

 

 

 

3. 送金時間が激早

 

通常、日本円を国内の誰かに送金する場合どれくらいの時間がかかるでしょうか?

おそらく10分〜20分程度でしょう。

 

では国際送金する場合は?

 

これは数時間どころか、1週間単位で待たされるのが普通です。

 

また国際送金では多数の関係者が入ってくるため、トラブルが起こりやすく、延々待たされた挙句に結局送金できなかった、ということも珍しくありません。

 

※最近では、金額制限、用途が認められない場合は送金できない鎖国状態が日本/中国などの主要国で意図的に行われています。(自国通貨の海外逃避対策より)

なぜそんなに国際送金に規制と時間かかるのでしょう?

 

順番はこうです。

 

A国からB国へ国際送金する場合、まずA国のa銀行のア支店に送金の依頼をします。

しかしa銀行はB国に直接送金できるインフラを持っていないので、a銀行は大手のb銀行に送金依頼をします。

 

そしてb銀行がB国の支店を経由してa銀行の現地にあるイ支店に振り込みます。

かくしてア支店からイ支店にお金が移動するわけです。

 

この送金にかかる手続きはシステム化が遅れており、いまだに人手で作業されています。

また、国からの規制やルールだけ厳格で条件をクリアしないと送金できません。

だからとても時間と労力がかかるのです。

 

ブロックチェーンではこのような経由をすることなく、直接ウォレットからウォレットへ送金が完了するので実にスムーズです。

 

ブロックチェーンの仕様上リアルタイムとまではいきませんが、それでもビットコインなら10分程度で送金が完了します。


※手数料を高く払うと一瞬で送金も可能です。

 

 

4. 送金コストが激安

 

現状の銀行の送金システム、とりわけ国際送金がいかに非効率的かは上述の通りです。

非効率的ということは、それだけ余分なコストが発生しているということです。

 

出稼ぎで国外ではたらく労働者が、祖国の家族に稼いだお金を送金しようとすると、およそ20%〜30%ほどが手数料等で取られてしまうのです。

 

しかしビットコインなら直接AさんからBさんに通貨を送れますし、なにより手数料をとるような管理者も存在しません。

 

厳密には、ブロックチェーンを稼働させるマイナーと呼ばれる人たちに、利用のたびに手数料のようなものを支払う必要がありますが、従来型の手数料に比べてゼロが2つくらい小さくなるほどの微々たる額です。

 

 

◼ビットコインは○○ではない

前章ではビットコインの特徴をみてきましたが、本章ではよく仮想通貨と混同されがちなものと比較しながら、「〇〇ではないもの、それがビットコイン」という切り口でみていきたいと思います。

 

ビットコインは円やドルではない

まずはこちら。ビットコインは円やドルと何が違うのでしょうか?

これは前述のとおり、最大の違いは管理者の有無です。

 

円やドルに管理者がいるのとは違い、ビットコインには管理者がいません。

いるのはネットワーク参加者だけで、参加者全員で取引記録を共有しています。

 

 

◼ビットコインは電子マネーではない

 

ビットコインは電子マネーの一種と勘違いされやすいですが、ここもやはり違います。

まずは先ほどと同様、管理者の有無が挙げられます。

 

電子マネー、例えば楽天ポイントは楽天が管理していますし、ナナコはセブンイレブンが管理しています。

 

楽天が仮に経営破綻すれば、楽天ポイントはデジタル上のゴミになりますよね。


また、法定通貨にペッグしていることも電子マネーの特徴です。

つまり1ポイント=1円などのように、かならず法定通貨に兌換(だかん)が可能なのが電子マネーです。

 

一方でビットコインは法定通貨にペッグ(連動)していません。

相場は市場によって常に変動的です。これは円やドルでも同じです。

つまり、電子マネーは仮想通貨どころか通貨ですらない、ということです。

 

 

◼ビットコインは金(=ゴールド)ではない

 

今度は金との対比です。

 

実は、金は結構仮想通貨に近いのです。

 

なぜなら、金は(どれくらいかわかりませんが)埋蔵量が有限ですよね。

同じように、ビットコインの流通量もシステム的にあらかじめ決まっており、その上限数は約2,100万枚です。

 

円やドルなら(暴落を恐れなければ)中央銀行がいくらでも刷れますが、金やビットコインは有限のため、そうはいきません。

 

そういう意味でとても類似性があります。

 

一方で、金は実物資産です。

 

仮想通貨がデジタル資産であることから、ここは圧倒的に異なります。

 

つまり、金だとAさんからBさんに送るときにコストがとてもかかりますが、仮想通貨は微々たる額で世界中の誰にでも送金が可能なのです。

 

しかし、良い所ばかり書きましたが、ビットコインは将来的に固定相場制になる説が濃厚とも言われます。

 

ビットコインは、ブロックチェーン技術の壮大なる実験であると言われてます。

 

 

現在は規制だらけで、仮想通貨市場は約80兆円規模ですが、この市場が500兆や1000兆円を超えてくると現在のフィアット(法廷)通貨の存在を脅かす存在になると言われてます。

しかし、今後10年で4000兆円~6000兆円とも言われる為、世界の中央銀行の脅威となるでしょう。

 

 

従来のフィアット通貨と仮想通貨が共存する時代が来て、お金が二重に存在する事や、裏金化や表金化(マネロン)が簡単に出来てしまうだけに、今後の急成長産業のトークンエコノミーは地域通貨の延長なので今後何億の通貨が発行され、各自の口座(ウォレット)にお金が入ってる状態になると管理すらできず、誰でも独自通貨発行や銀行業務でさえも信用があればできる時代となるので、フィアット通貨の弱体化は避けられないでしょう!

これからの時代で安全資産は、仮想通貨と現物資産の時代と言われてます。