手書きケンU | shoesaddictのブログ

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今回は先日ご紹介したFlorsheim3ペア のうちの1足のご紹介。



Floesheim Imperial Quality Kenmoorの「93604」。
以前より探していた手書き表記のタイプのもをやっと入手致しました。
満を持して最後にご紹介しようと思っていたのですが、本日の外出時に履いて出かけたせいか、急に記事を書きたくなってしまった次第です。



先ずは全体像から。
Kenmoorには珍しいUチップスタイルの一足です。
以前、古靴愛好家のなおきさんが「ケンU」 として紹介されていたものの兄弟モデルとでも言いましょうか。
因みに、あちらの型番が「93619」であるのに対し、こちらは「93604」です。



履き口周りがシンプルであることに加え、羽根のサイドがモカ縫い様になっているのが大きな違いでしょうか。
こちらは羽根の羽根の留め部分が一般的なKenmoorに近い仕様であるのに対し、なおきさんのモデルは初期型Royal Imperialと似たコの字型の構造になっていますね。



なお、こちらのモデルに仕様が酷似した「3F-2397X(上写真)」は、ウェルトのサイドにもステッチが入ったノルウィージャンウェルテッド(風?)仕様です。



一方、こちらは一般的なグッドイヤーウェルテッド製法によるものです。
ノルウィージャン製法(風?)のモデルを探し続けていただけに、このペアで唯一残念なのがこの部分です。


ノルウィージャン(風?)のもには、上写真の「3S-3396X」というモデルも存在します。
この写真のものは、V-Cleatが内側に位置しており、ソールは木目調ではなく茶と濃茶のグラデーションでしたので、比較的新しい年代のものだと推測されます。
そのためか、モカ部分の縫いの密度が低いなど、そこまでクオリティが高い印象は受けません。



話を「93604」に戻しますと、踵部分の処理はドッグテイル仕様になっています。
ヒールカップの形状に沿うようなシェイプできちんと仕上げられており、非常に好印象です。



ヒップの丸みもセクシーの一言に尽きます。

続いては、年代判定の手がかりとなるディテール部分について簡単に記したいと思います。
(今後の検証のために、こうした細部をアップしておくことが大切かもしれないと思う今日この頃です)。



インソックはV字カット、靴前部はパンチングレザーが用いられており、タン裏はスエード(?)が当てられています。



踵内側下部に縦の縫い目はなく、インソック自体も質が高く経年により美しい飴色になるような皮革が用いられています。
ソック下のクッション材はU字型のタイプです。


V-cleatは外周ぴったりに打たれています。

2桁アルファベットは「IJ」ですので、Imperial Qualityのデビュー年の2年後である1959年製であって欲しいところです。
但し、ソールは木目調のような印象を受けますので、1969年製の可能性も否定できません。



最後になりましたが、古靴好きの皆様方が最も気にかけていらっしゃるであろう革質について。
こちらに関しては、一般的なKenmoorとは別格と言って差支えないかと思います。
磨くと底光りするような艶に加えて、足を包み込むかのような柔らかな弾力を兼ね備えています。
厚さも申し分ない甲革は、磨いてから数日経過してもモチモチ感をキープし続けます。

ある程度履かれた印象はあるものの、これだけの状態を保っていたのは、前の持ち主がよほどきちんとしたケアと保管を行っていた証左です。
同じ出品者から同時に入手した同サイズの2ペアも古靴好きの琴線に触れるようなモデルですので、かなりの愛好家が所有されていたのでしょう。

残り2足も近いうちにご紹介できればと思います。