二人とも、あたふた出かけようとして
玄関に出ると、家の前に車が止まって
いる。誰だろうと見ていたら「何ですか?」
と仰るので、「何ですかとは何ですか?」
と答えた。
「私は民生委員ですが、市から引き継ぎ
をうけましてね。佐藤○○さんはどうですか?」
佐藤○○とは五年前に亡くなった妻の母である。
はあ?と言ってポカンとしておられたが、私たち
は急いでいたのでそのまま出かけた。
あとで考えたら何か腑に落ちないので、市の
担当課に問い合わせたところ、「亡くなられた
方のことをいちいち民生委員に伝えることはしていないので、古いデータを持って
訪問されたんでしょう」という、明快な回答。
今、社会問題となっている、孤独死、孤立死が後を絶たない現実が、にわかに
身近に感じられた。