日本語はムズカシイ?前編【メロキュン企画第8弾】 | 妄想最終処分場

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メロキュン企画第8弾!


今回のお題テーマは『新春!!蓮キョ☆メロキュンカルタ大会!!』

沢山の札が素敵な作家様によってアップされております!


企画に関しては総合案内ピコ様 のブログをご参照ください!


参加者全員でフルコンプを目指すことになりましたラブラブ

読み専の方も気軽に参加してみてくださいね!一緒にフルコンプを目指しましょう~



今回ゲットしたお題は【に】

さて短めのつもりですが、またしてもフリが長くなり前編からスタートです。

前編ではメロキュン要素皆無ですが、完結すればちょっとは甘さが出るはず…(たぶん)






日本語はムズカシイ?前編





蓮はリビングで台本とにらめっこをしていた。

読んでいるのではない、にらめっこ。


台本は6ヶ月クールの時代劇。時代劇といっても戦国・江戸時代ではなく平安時代あたりの設定だ。

蓮はゲスト出演でそのうちの1話で出演が決まっていた。


リビングのテーブルの上には鈍器にもなりそうな分厚く重厚な紙の塊。

背表紙があることからかろうじてそれが「本」の分類に入るものだと分かる。


背表紙にはその「本」の名前が記されている。


…広辞苑、漢字辞典、文化背景を解説した専門書等分厚い紙の束がテーブルに鎮座している。


もともとアメリカ育ちの蓮。クーの教育方針で日常会話は困らない程度に日本語はできたが細かな熟語や言い回し、慣用句などは勉強を重ねても初めて目にするものがなくなりはしない。


特に今回は時代劇。

セリフの端々に出てくる単語は、何を指すのか意味の解らないものがちょくちょく出てくる。

しかも平安時代となると更に自分が知っている物事すら別の単語と化している上、文化的な背景まで全くイメージすらできない部分も多い。

日常会話ではあまり困ることはなくなったが、普通の日本人だったら義務教育でそれなりに触れている日本史・古典の域はあまりにも知識が手薄だ。

敦賀蓮として振る舞うにもこういった勉強はしておいて損はないし、役者としても台本に理解できない単語があるのはよろしくない。


蓮は知らない単語に行きあたっては漢字辞典や広辞苑をめくりその意味を確認する。

今はネットでなんでも調べられるご時世だが、外出先では重宝するものの長時間その作業に没頭するには辞書片手のアナログ方式の方が蓮にはしっくりくる。


その中で、蓮はある傾向を掴んで分からない単語に遭遇するたびにまずは漢字そのものの意味を調べて、その後広辞苑で単語の意味を調べる。

単語が出来上がるには背景があるはず。漢字そのものの意味を理解するとおのずとその熟語の意味が推し量れるし、知識の蓄積にはこっちの方が色々と頭に入る。


源氏物語をアレンジした脚本は平安のきらびやかで風雅な時代背景のなかで、メインは男女の恋愛模様を描くモノであった。

さすがに原作である源氏物語を原文で読む余裕などは無いので、台本をなぞってストーリーや時代的な風潮を把握する。


(日本人は奥ゆかしく色事を秘めたがる文化があるのは分かっているけど…)


ストーリーははっきり言ってしまえば色男がさんざん多種多様な美女に恋をしては渡り歩いていく模様を描いたもの。最終的には自分好みの女を育てるところに行きつくが、主人公が愛してやまない好みの容姿は自分の母親だというのだから、話を要約してしまえば「顔だけイイマザコン男がさんざん美女を弄んで最終的にはロリコンになって自分が育てた娘を食ってしまう話」と何ともよろしくない状態となる。

役者として脚本や台本にケチをつける気はないが、どうしてなかなか微妙な抵抗を感じてしまう。


(オープンだって言うアメリカ人より、隠していてもやることはよっぽっどだと思う)


ついついそんな感想を持ってしまうわけで。




(えーと…「吻」?これ何て読むんだ…?)


まずは知らない単語を調べようと、台本をなぞると読み方すら分からない漢字に行き当たる。

口へんの漢字なので、口に関連する漢字かな?とまずは漢字辞典を開く。


吻(ふん):くちびる、くちさき。動物の体において、口あるいはその周辺が前方へ突出している部分を指す用語。


蓮はその漢字が使用されている単語を確認する。この「吻」という文字の前に「接」という漢字がある。


(「接」…はそのままだよな?接するとか触るって意味?)


それが合わさった接吻という単語。


(…「セツ・フン?」…何て読むんだ?)


辞書をひっくり返し、ようやく読み方にたどり着き広辞苑を引く。


せっ-ぷん【接吻】
相手の唇・頬・手などに唇をつけ、愛情・尊敬を表すこと。くちづけ。くちすい。キス


(ああ、何だキスのことか。「口先」に「接する」だから)

こんな単語ひとつ調べるにもこの調子。蓮は苦笑した。



(次は…コレ?「破廉恥」?何て読むんだ?)


「破」と「恥」はもともとの意味は知って通りでいいかもしれない。


廉(レン):私欲がなく、けじめがついている。いさぎよい。安い。

漢字の意味を知っても「破」「廉」「恥」を並べてみても意味はまったく理解できない。

おとなしく単語としての意味を確認する。


(ハ・レン・恥…ってハジ?)


なんとなくこういった単語の時、漢字は音読みだっていうことは理解できてきた蓮だったがとっさに「恥」の音読みが出てこない。


漢字辞典で「恥」の音読みを確認して広辞苑を引く。


(ハ・レン・チ…どっかで聞いたような音だな)


破廉恥(ハレンチ):廉恥を破り、恥を恥と思わず平気でいること。恥知らず。

廉恥:清らかで恥を知ること


(廉恥?ああ、「破」と「廉恥」の二つの言葉でできたいたんだ)


ついでに廉恥はもともとある言葉らしいが、破と組み合わされた「破廉恥」は明治以降に広まったとか書いてある。平安時代設定のドラマのセリフに出てくる単語としては文化的には不適切だろうけれども、古風な印象が伝わればいいのだからそんなことは気にしなくていいんだろう。


(・・・そうか、あの子がよく言う言葉か。いい意味じゃないってのは分かっていたけど…)


そこまで意味をたどって、蓮は聞き覚えのあるこの単語をどこで聞いたのかを思い出していた。


キョーコは蓮がスキンシップを図るとこの単語を口にして逃げ惑うことが多い。


さんざん追っかけてやっと恋人の座を手に入れたのに、スキンシップに過度の反応を示すキョーコ。

真っ赤になって逃げる様は可愛らしいし、自分を男として意識していることが丸わかりなので蓮にとってうれしくもある。

キョーコの反応に調子に乗ってやりすぎた事だってあるのも自覚している。


(恥知らず・・・ってそんなつもりはないんだけど)


でもようやく言葉の意味を知った蓮は、スキンシップになれていないキョーコの照れ隠しと分かっていてもちょっと不満を持ってしまう。


ピンポーン



玄関のチャイムが鳴った音で蓮ははっとした。

時計を見ればデジタルの時計は2/3/20:00の表示。台本の調べものからいろんな方向に考えを巡らせていた蓮は時間を確認するのを忘れていた。


テーブルの上の台本やら辞書類をリビングの端にまとめて置き、訪ねてきた恋人を出迎えるべく玄関に向かった。



続き→ 日本語はムズカシイ?後編

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ゴメンナサイ!

前後編になるどころか、本当は超ショートの予定だったのに!

またしても文章を無駄に引き延ばしすぎました汗



しかも前半は蓮さんの勉強タイム!何の需要もありゃしない…

それにしても接吻とか破廉恥とか出てくる台本ってどういうこと??(汗)

まあ、嘘っこ源氏物語だから主人公がその辺の美人女御に一発チュー(接吻)でもかまして「破廉恥!」ってなじられるシーンだろうなぁ。


あ、ちなみに蓮はゲストじゃないから源氏の君ではない…ハズ。