メロキュン企画第8弾!
今回のお題テーマは『新春!!蓮キョ☆メロキュンカルタ大会!!』
沢山の札が素敵な作家様によってアップされております!
企画に関しては総合案内ピコ様
のブログをご参照ください!
参加者全員でフルコンプを目指すことになりました
読み専の方も気軽に参加してみてくださいね!一緒にフルコンプを目指しましょう~
今回ゲットしたお題は【に】
短めのつもりでしたが、またしても分割…後編です。
さてメロキュン要素は発生したのでしょうか??
日本語はムズカシイ?後編
前編はこちら→ 日本語はムズカシイ?前編
「どうぞ」
「お邪魔します」
玄関のドアを開ければ、買い物袋を手にしたキョーコがいた。
恋人になっても、スキンシップを恥ずかしがり自分と蓮では釣り合わない、スキャンダルだと蓮にとっては嬉しくない遠慮の言葉を繰り返すキョーコ。
でも伝家の宝刀、食事をダシに誘いをかければ先輩後輩時代から蓮の食事事情を気にかけていたキョーコを自宅に誘い出すことができる。
「重かっただろう?電話くれれば買い物一緒に付き合ったのに」
「いえ、敦賀さんと買い物なんて撮られたらどうするんですか!ただでさえ目立つんですから」
「だったらここの下でいいじゃないか。そこなら前に一緒に買い物しただろう?」
「ここは私の心臓に悪いです」
(心臓に悪い…って、どういうことだ?)
庶民なキョーコと蓮では経済観念はだいぶ隔たりがあった。キョーコの言う意味をうまく解釈できない蓮は時折些細なことで首をひねることになる。
こんな感じで、買い物デートすらままならない状態なのだ。 蓮は玄関先でキョーコの買い物袋を奪ってキッチンへ移動した。
「あれ?何か調べものされてたんですか?」
リビングの端に今どけましたと言わんばかりの分厚い本たちと台本をみて、資料だろうと思ったキョーコが買ってきた食品を整理しながら蓮に問いかけた。
「ああ、今度の仕事の資料でね」
「えっと、時代劇?ですか?それになんで辞書とか…」
「時代設定が平安時代でね。知らない言葉が多くて確認の為に」
「そうですね、現代じゃ馴染みのない単語とかも出てきそうですしね」
付き合うようになり蓮が誘いを掛けるためキョーコが蓮の自宅で過ごす時間は倍増した。
食に興味の薄い蓮だが料理をするキョーコを手伝うようになり、今ではキョーコの手伝いに一緒にキッチンに立つ。
近くにいる分、自然とキッチンでの会話が弾む。
スキャンダルを理由に外でのデートを敬遠するキョーコだが、こうして自宅で自然体でくつろげる時間は思いのほか心地よいと蓮は感じていた。
(…なんだ、これ?)
キョーコの買い物の品の整理を手伝っていた蓮は、見慣れないそれに手を止めた。
小さな個装のパッケージが詰まったその袋。
あまり立ち入らないからはっきりとは分からないが、菓子コーナーにありそうなそれを蓮が不思議そうに見つめた。
「最上さん、これ何?」
食に興味のない蓮はもとより、キョーコも蓮の自宅に駄菓子など買ってこない。この袋の中にあるってことはわざわざキョーコが買ったに違いないのだが、何の目的でこんなものを買ったのか蓮には皆目見当がつかなかった。
「ああそれ、炒り大豆です」
「大豆?」
(このまま食べるんだろうか?)
首をかしげる蓮が手にしているのは5センチ大の個装の袋に入った炒り大豆のパック。蓮の様子にキョーコがクスリと笑った。
「2月に入ったじゃないですか」
「うん、そうだね」
「たまにはイベント的なのもいいかなって思って」
「2月のイベント?」
2月でイベントといえば自分の誕生日とバレンタインデー。
蓮の頭の中にはそれしか浮かんでこない。
(どう考えてもその二つには関係なさそうだな)
大豆との関連性を考えてみても、蓮には引っかかるところすらない。
「節分、しませんか?」
「え?」
クエスチョンマークが浮かんだままの蓮の耳に入ってきたキョーコの口から出たあまり聞きなれない言葉。
(せつ、ぶん…?)
何の事だか、どういう漢字で表記されるのかすぐには思い至らなかった蓮は、そういえばさっき調べた言葉に音が似てるな、と思った 。
「そう。してみませんか?」
小首を傾げて聞いてくるキョーコが愛らしくて、その仕草に蓮は思わず口元が緩む。
(きっと違う意味のものなんだろうけど…)
思わずキスしたいな、と思った蓮は思い浮かべた先ほどの学習内容と今のキョーコの言葉をつなぎ合わせてほんのちょっと意地悪な悪戯を思いついた。
「したいの?」
少し考え込んでいたためフリーズしていた蓮にキョーコは迷惑だったかと一瞬不安そうな目をしたが、蓮が聞き返してくれたことでほっとした表情を見せた。
「ダメ…ですか?」
(とんでもない)
おずおずと聞いてくるキョーコの様子に蓮のゆるんだ口元は笑みを作っていた。
「いいよ」
蓮は素早くキョーコを抱き寄せて、唇を重ねる。
キョーコが逃げ出そうとするのは毎度のことなので、抱き寄せた手は腰をホールドし片手で顎を捕える。びっくりして思わず開いた唇にチャンスとばかりに舌をすべり込ませてキスを深めていく。
がっちりと体を固定されて逃げることができないキョーコは、深くなるキスに次第に酔わされていってしまう。
蓮は抱きしめたキョーコの体の強張りがなくなって自分の腕に体を預けるようになってきたのを確認してから一度唇を解放する。
「気持ち良くなった?」
若干トロンとしたキョーコの顔を、満足げに…でもどことなく意地悪げな表情で蓮は覗き込んだ。
蓮の表情を視線の先に捕えたキョーコは、しばらく呆けていたがいつも自分をいいように言いくるめてしまうその表情に我に返り、次第に顔を赤くしていった。
(…真っ赤だ)
「な、な…何するんですかっ!?破廉恥です!」
恥ずかしさもあるが、それ以上に怒りもあるんだろう。真っ赤な顔でキョーコは蓮に詰め寄った。
キョーコの口から飛び出た例の言葉に蓮は内心で苦笑した。
「何って…キス?」
「だから何で!?」
「したいって言っただろう?」
「言ってません!!」
ずいっと顔を近づけて否定するキョーコ。距離が近づいたことに嬉しくなった蓮は懲りずに目の前の唇にちゅっと触れるだけのキスを贈る。
「だって最上さんがかわいいから」
「もうっ、はぐらかさないでください!私はキスしてほしいなんて一言も言ってません!」
「俺とキスしたくないの?」
「っ!…そういうわけじゃ…」
蓮が哀願するような表情を作って見せれば途端にキョーコの勢いがしゅんと弱まる。なんだかんだ言ってキス自体を嫌がられているわけではないことがわかる反応に蓮は上機嫌になった
「そうじゃなくて!私は今キスしたいなんて言ってませんけど!?」
蓮の機嫌の変化を察知したキョーコは、キッと蓮を見上げた。
「接吻ってキスのことじゃないの?」
「は?」
「したいって言っただろう?」
急に飛び出てきた『接吻』という単語にキョーコは固まった。
単語は知っているが早々日常生活で使う言葉ではない上に、何の脈絡でその言葉が出てきたのか。キョーコは蓮の話から、先ほど自分が発した別の単語を思い出した。
「…敦賀さん、私は『節分』と言ったんです」
「せつぶん?」
「今日は節分でしょう?立春の前日のことで無病息災を願って豆まきをしたり恵方巻きを食べたり。買い物に行ったら節分関連の商品が出回っていて、それを見たら豆まきなんかもいいかな~なんて思って大豆を買ってきただけで」
(そういえば、そんな行事あったな。ニュースで見かける程度の知識しかないけど)
キョーコの説明に蓮は記憶の端に辛うじて引っ掛かっていた節分に関する知識を引っ張り出した。
「うん、恵方巻きとは無理…かな?」
「まぁ確かに…」
ニュースで聞きかじった知識で蓮が答える。
キョーコは食の細い蓮が恵方巻きを丸ごと1本食べきるなんて到底やりたがらないであろうことを容易に想像できた。
「で、豆まきがしたいの?」
「…子供っぽいですか?」
蓮がもとの話題に修正した。
いつの間にか後ろから抱えられる体制となっていたキョーコは投げかけられた質問に、頭を上方にそらして蓮を見上げた。
「…いや。でも俺はしなくてもいいかな?」
「やっぱり子供っぽいですよね、豆まきなんて…」
「そうじゃなくて」
蓮は言葉を区切り、キョーコを見下ろして微笑んだ。
「…福はもう俺の内に来てるからね?」
悪戯っぽく笑う蓮に、キョーコは疑問の表情を浮かべるが、蓮はそんな腕の中のキョーコをぎゅっと抱きしめた。
「君が腕の中にいてくれるからね。十分幸せだよ?」
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糖度足りないでしょうかね?
っていうか足りませんね。
やっぱり前半のフリが無駄に長かったorz
そして過ぎてしまった節分ネタという二重の失態…許してくださいませ…
実はこのネタ、よくしていただいてるスキビ作家のゆみーのんさまのお子様たちの勘違いネタが元ネタであります。
ゆみーのんさん、ネタ提供ありがとうございました!