ユエンユエンから、意外に早くメールが来ました。

「貴方に別の小姐が出来たと知ってから、体調を壊してずっと寝ていた。

いま蘇州に帰ってきた。でも出勤はしたくない。もし貴方が会って

くれないのなら、○○有限公司まで会いに行きます。いいですか?」

 

なぜか私の会社の名前を知っていました。名刺を渡した覚えは無い

のですが、なんらかの弾みでばれていたのかもしれません。

 

会社まで来る・・・私はこれを脅しと受け取りました。浮気した

だとか、鍵をくれだとか、今から家に行くとか、彼女のメールは

叱責や脅しじみたメールが多いです。ひょっとして誰かが知恵を

付けているのかも?と思いました。

 

実際に会社に来られるのは、鬱陶しいので、「私は時間のある

時に店に行くといったでしょ?」

 

と返信したのですが、「私は今出勤できません。どうしても会え

ないのなら、償いをください」と行ってきました。やはり金です。

これは最早、例の封筒の話を出すしかないと思い、「それなら、

先に貴女が盗んだ100,000円を返してください」とメール

しました。このメールは後から思えば失敗なのかもしれません。

 

「貴方は、私がお金を盗んだと言うの?意味がわかりません」と

返信が着たので、「でも、貴方は封筒の上に自分で書いたでしょ?」

と送ったら、「意味が良く分かりません。」とメールが来た後に、

電話がかかってきました。

 

はっきり言って出たくなかったのですが、これは出ないわけには

いかないと思い、出ました。

 

「今話し大丈夫ですか?貴方の書いたメールの意味がわかり

ません。どういうことですか?」

 

正直電話で話しても埒が明かないと思い、

 

「明日店に行くから、そこで証拠を見せるよ」と言ってその場を

収めました。

 

次の日は突発で用事が入ったため、「突然事情が出来て

今日は行けなくなった。明日行きます。ごめんね」とメールを

したら「分かった。明日もまた突発の事情ができない事を願って

います」と嫌味を込めた返信が返ってきて、うんざりしました。

 

翌々日に、場所を商業街の北門付近にして、待ち合わせました。

私としては証拠を見せて、その反応を見ながら、もう二度と会う

つもりのない事を分からせる事が目的となります。

 

しかし、かなり警戒する必要があると思いました。向こうはどうにか

してお金をせびろうとしてくる事は明白です。場合によっては、

脅迫される可能性もあると思いましたし、仲間を集めている

可能性もあると思いました。

 

そこで、私は、財布も持たず、現金をポケットに入れ、その現金を

取られた時を想定し、靴下の中に100元を忍ばせ、鍵も家の

鍵だけをポケットに入れ、余計なものは一切持たず、証拠の

封筒、それをデジカメで移してプリントアウトしたものを持って

いきました。

 

また少しでも心情を訴えられるように、手紙を書きました。

無論中国語です。

 

それらを装備し、指定の場所に向かいました。後ろから突然

襲われないように、背中には人が来る事が出来ないような

ところに立ち、周りに不信な人間が居ないかを確認しながら、

彼女を待ちます。

 

彼女は私を認めると、信号を渡ってこちらに来ました。どうやら

一人のようです。彼女の両手にも気を配りました。最悪の場合、

刺してきたり、何かで脅してきたりする可能性は否定できません。

 

早速彼女に、例の封筒を見せました。

 

「何これ?誰が書いたの?」と聞く彼女。私は「さあ?」と答える

だけです。彼女は携帯を手に持ち「疑ってるんでしょ?それなら

110番しようか?」とその手の脅しをかけてきました。

 

私はあくまで冷静を装い、「そんな必要ないでしょ?貴女が

書いたのでなければ何の問題もないことだから」と言うと、

「ここに何が入っていたと言うの?」と聞くので、「以前は

20万円入っていたけど、違う時に見たら、10万円しか

なかった。」と普通に答えました。

 

「なんで私の名前が書いてあるの?おかしい。貴方が自分で

書いたんじゃないの?」と聞いてきたので、それは織り込み済み

で、「そんなはずはないよ。この『円』の漢字見て。これは日本語?

それとも中国語?」と言うと「なにこれ?日本語じゃないの?」と

聞いてきたので、「これは日本語じゃない。日本語にこんな漢字は

ない。初めてみた。どうして私がこんな漢字を書けるの?」と

聞きました。

 

しかし彼女はその強硬な姿勢を一切崩さず、何かあれば「じゃ

110番しよう」と脅してきます。中国語もそれほどだし、もし本当に

呼んだら日本人の私はかなり不利です。

 

そこは押し問答が続いて、「貴女が書いたんじゃないんだね?

分かったよ」とこちらから折れました。すると今度は、「私は

お金は要らない。仕事も要らない。貴方がいればいいの。

今から貴方の家に行こう」「結婚してよ」と言っていました。

 

私は当然「ごめんね、ダメ」と断りました。

 

「どうして?結婚して一緒に日本に行くって言ったじゃない?

その為にお金くれたじゃない?」

 

「でもそのお金で自動車学校に行ったんでしょ?意味がわからない」

「そんなの仕方がないじゃない。(以下意味不明の事を言っていた)」

 

「もう私要らないの?」「うん、ごめんね」「ごめんねなんて言わないで」

と押し問答です。

 

「じゃ、どうしても分かれるなら、故郷に帰るからお金頂戴」・・・始まり

ました。またこの話です。

「幾ら欲しいの?」と聞いても最初は答えてくれません。そこは織り

込み済みで、ポケットから500元を取り出し、「これで故郷に帰って」

と渡そうとしたら、拒否して「そんなんじゃ足りない!」と受け取り

ません。「じゃ、幾ら欲しいの?」と再度聞くと「20,000元」と答え

ました。

 

「馬鹿な!私はもう7,000元もあげて、もうお金が無い」と言い

ました。おそらく10万円も彼女が盗んでいると今でも思っています。

もうお金は出せません。出したくありませんでした。

 

振り切って「もう行くね」というと、「ダメ。一緒に家に言ってくれない

限り離さない」と言って聞きません。そんな押し問答が20分も

続きました。

 

「分かった。店に行こう。ママと話をする」と言う流れになったので、

私も第3者がいた方が良くなりそうに思って「分かった、そうしよう」

と言って、店に行きました。

 

(続く)