★毎年恒例タイフェスティバル。代々木公園一帯がタイ関係の模擬店で埋め尽くされる大イベント。今回も横浜タイ語グループのおやさんの呼びかけで、この"タイ化"した代々木を散策しよう! ってことになった。

★混雑必至なので、花見さながら早起きして場所を陣取ろうと気合を入れていた。しかし翌月曜日に職場で試験を受けさせられる僕、土曜の夜は勉強していた為、当日起きられず。おやさんからのメールに返信するので精一杯。もうあと30分寝る。。。

★10:30集合の予定を12時に変更し、原宿駅でおやさんと合流、徒歩で代々木公園へ。入り口をくぐるとそこは日本人もタイ人も入り乱れた雑踏。。。周りからはごく自然にタイ語が聞こえてくる。早速場所取りにかかるが、時既に遅かったか、ほとんど店舗と通路以外はすべてゴザを敷いた人々で埋め尽くされていた。あちこち探した結果、やっと気持ち程度のスペースを見つけ、ビニールシートを敷く。とりあえず拠点は確保したんで、タイ料理を満喫しに出発!

★アツアツの焼きそば「パッタイ」にチリペッパーと砂糖とナンプラーをふりかけて頬張る。当然これだけでは収まらず、別の屋台に並んでタケノコのレッドカレーを欠食児童のように食らう。これら屋台は関東周辺のタイ料理店が出張してきて開いている。言わばタイ料理店見本市と言った所か。店で食べれば千円近くの料理もここでは平均500円だ。でも何だかんだで沢山食べてしまうので結局料理店の思惑にはまっていく我々。

★陣地に引き返すとタイ語組のTomさんが奥さんを連れて来ていた。続いて「なし」さんとnamthipさん、Kさんが次々と会場入り。おやさんもタイビールと各種料理の買出しから戻って来た。皆揃ったところで、思い思いにタイを食べ、タイを語る。みんなタイが大好きなんだなぁ。僕はアジア全ての国が好きだが、特定の国にハマッてはいない。タイも、中国も、ミャンマーも、イラクも、モルディブもそれぞれに限り無い魅力を感じている。大好きな国はここだと言える人が羨ましく感じることもあるが、ま、「広く浅く」もいいかもね。と言いながら本当は「広く深く」を目指している自分。

★時計はやがて2時を回り、会場内のステージが騒がしくなってきた。今回このフェスティバルではタイの若手女性歌手ラーンナー・カムミンと、往年の超人気フォークロックバンド、カラバオのライブが行われる。先発はラーンナー・カムミンのステージ。チェンマイが生んだ若手有望株だと大絶賛するのはチェンマイ在住歴のあるnamthip嬢。いち早くステージへと駆け出す彼女の後を追って僕も見てみることに。

★ショーはもう始まっていた。歌に合わせて合唱する人々。前方を陣取り、同じような振り付けをしながら踊る女の子達。歌手の目を引こうと必死に手を振ってアピールする兄ちゃん。熱いぜ、タイの観衆。熱い。曲は80年代頃の誰もが口ずさめるような「古き良きポップス」という感じでアジのある歌が多かった。この歌手、僕は知らなかったので、どうせありがちなチャラチャラしたアイドルか何かかと思ってあなどっていたが、意外にもこれは収穫。だが曲の合間のラーンナーと観客のやり取りがわからん。namthip嬢は周囲のタイ人と一緒にそれを聞いて笑っている。いいなぁ~。

★そこへいきなり携帯が鳴る。今会場入りしたゆきさんからの連絡だ。名残惜しくもステージから離れて電話を取る。この時近くにあった店舗に目をやると、カラバオのCDとTシャツが売られていた。「今ならCD買ったら、カラバオがサインしますよ。」とタイ人の店員。えっ?!、と店の奥を見ると何と、カラバオの全メンバーがいるではないか!Tシャツにサインをしたり、ファンと一緒に写真を撮ったりしている。こんなこともあろうかと思ってアジアの歌手のサインを詰め込んだサイン帳を持って来ていたのは幸運だった。ついでに記念写真も。しかしカラバオって、メンバーみんな長髪にヒゲ面なので、誰がリーダーのエット・カラバオかよくわからない。後でわかったことだが、写っていたのはどうやらエットではなくギター奏者だったみたい。ま、いいか。

★ここでやって来たゆきさんに付き添って会場を回っていると、またまた電話。前日声をかけていたミャンマー人のテテ・ウーさんが原宿駅に着いたとのこと。僕とゆきさんで迎えに行くことにした。

★代々木公園を出るとポツリポツリと振り出した雨、原宿駅に着くといきなり降りが強くなってきた。今朝から駅前で傘を売り歩いていた黒人の男が商売にいそしむ。奴は知ってたのか、今日の天気を。

★人混みに埋もれる駅前。携帯使って場所確認をしながらやっとテテ・ウーさんと落ち合う。我々三人が会場に戻ろうとすると突然の落雷!次の瞬間雨はバケツをひっくり返したような超大振りとなった。傘をさしていても全く意味無し。誰もがズブ濡れ、会場はてんやわんやの大混乱。大部分が傘を用意して来なかったのか、陣取っていた人々は一目散に屋根のある食事スペースに避難し始め、そこは朝の山手線状態となっていた。その中には既に陣地から撤退していたおやさん一行もいた。

★タイフェスティバル、ついに天気までタイを演出か。雨は熱帯のスコールの如くその後すぐに止んだ。止むと同時に食事スペースから一斉に飛び出す人々で再びごった返す会場。その勢いでまた皆とはぐれてしまった。仕方無くテテ・ウーさんと会場をブラブラ。彼女は店先に立つ度にタイ人の店員からタイ語で応対される。しかも彼等、チンプンカンプンの彼女の様子を見て、このタイ人、何で話が通じないのかと言うような顔でキョトンとしている。東南アジア人って彼等同士も見分けがつかないものなのかなぁ。

★ステージ近くでゆきさんと再び合流した時、ステージではカラバオのライブが始まった。恐らくその場にいたほとんどのタイ人、血が騒ぎ出したかのように歓喜の奇声を上げる。連中ってすっごいカリスマ。カラバオとは水牛の意味なので、水牛の頭蓋骨を掲げる観客も。自然保護のメッセージソングを歌うカラバオと、動物の頭蓋骨を手にはしゃぐファンが一体となるこの矛盾。しかしさすがライブの引力とはすごいもの。つい一歩、また一歩と引き付けられてしまったが、他の二人が少し疲れている様子だったので、二、三曲だけ聴いてこの場を後にした。そりゃ、一日中こんな雑踏を見ていたら疲れてくるわな。

★三人が渋谷の駅に着いた頃、とりあえずはぐれた他のみんなにメールすると、namthip嬢から返信が届く。「カラバオ、最高!」。やっぱりまだ会場にいるようだ。明日は試験だし、早めに帰国するとしよう。ズブ濡れの上着を羽織ってクシャミ一つしながら、山手線でバンコクを立ったのだった。