Ling Muのアジア旅コレクションを展示する「Ling Museum」。旅で訪れた順番にアジア・中東から一か国ずつ、その国のポップスのCDとカセットテープの数々を展示します。

 

★第十八回「モンゴル」

 訪問時期:1999年8月

 訪問地:ウランバートル

 

左上:ハランガ「Best of Haranga」…モンゴルでトップクラスのロックバンド。激しいのもバラードも聴かせる曲ばかり。

左中:ハランガ「The Sound of the Century」

左下:ニキトン「The Ballad Of Swan Couple」…ハランガに続けといろいろなバンドが現れた時期だった。古いヒット曲をリバイバルしたものもある。

右上:オユンナ「共に生きて」…日本を拠点に活動していた女性歌手。ほとんど日本語曲だが、2曲程モンゴル語曲もあり。NHK番組「アジア発見」の主題歌が収録。

右中:ミンジェ「Magic Dove」…なかなかポップで歌唱力のある女性アーティスト。

右下:オムニバス「BRAVO Mongolian Super Hits」…訪問当時の流行りの線の曲を集めたアルバムだが中には70年代っぽい昭和感のある曲もあって面白い。一組のアーティストのアルバムよりも、こうしたオムニバスが多かった。

【収録アーティスト】ブラック・ローズ(ハル・サルナイ)、カメルトン、エル・コンドル、フリーゾーン、ノミン・タルスト、スパイク、スンス、TLG、ミンジェ

 

左上:オムニバス「Sensational 90's」…ポップス、ロック、ヒップホップといろいろ入っていてモンゴルの今の曲が幅広く聴ける。

【収録アーティスト】アンギルマー、アリオナー、ブラック・ローズ(ハル・サルナイ)、ボロール、カメルトン、チンギス・ハーン(ソヨル・エルデネ)、ホンフ、ハランガ、フルド、ニキトン、サラントヤ、シグテー、T.バト、タイワンバト、ウェ・テンジギンヘン

左中:チンギス・ハーン「Чингисийн Баатрууд」…民主化後のモンゴルで一番人気だったポップバンド。現代の大御所歌手にはこのグループの元ボーカルが多い。

中上:アリオナー「Баяртай Гeж Би Хeлж Чдeхгун」…モンゴルらしい高音の歌声とポップな曲調がいい!

中中:ブルー・スカイ「Blue Sky 2」…チンギス・ハーンと人気を二分したポップバンド。ほんとは「Blue Sky 1」も持っていたが、テープが伸びてダメになってしまった。

中下:サラントヤ「Аргагуй Амраг」…元ブルー・スカイのボーカルでモンゴル最高の実力を持つ女性歌手。

右上:ナスンタグトホ「Тавилан」

右中:オユンナ「Тэнгисийн Дуу」…一見日本リリースのアルバム「共に生きて」の現地バージョンかなと思ったが、選曲はかなり違うので別アルバムか。でも紅白歌合戦で歌った「天の子守歌」や「アジア発見」テーマ曲が原語で収録。

右下:オムニバス「6'45''」…モンゴルの代表的歌手達が中国・内蒙古のフフホトで歌った時のライブアルバム。中国語による司会のMCが入っているが、その口調がライブと言うより文化交流イベントのようで時代を感じさせられる。

【収録アーティスト】ブルー・スカイ(ホホ・テンゲル)、チンギス・ハーン(ソヨル・エルデネ)、ガンホヤグ、ナンディンチチグ、トゥメン・アグト

 

(Ling Muコメント)

・モンゴルのポップスって東アジアでも最も日本人に知られていない領域の一つ。80年代頃はオユンナやソロンゴといった日本で活躍するアーティストがいた。日本受けするからか「草原の少女」的イメージを前面に出していたが、本国でこういうスタイルの歌手はあまりいない。ただ社会主義時代からちょっと昭和感のあるポップスが存在していた。

 

・民主化後のモンゴルで人気を二分したポップスグループは「チンギス・ハーン(現地名:ソヨル・エルデネ)」と「ブルー・スカイ(現地名:ホホ・テンゲル)」。それぞれ二、三人のボーカルがいるのが特徴だが、「チンギス~」のジャルガルサイハンやアリオナー、ナスンタグトホ、「ブルー~」のガンホヤグ、サラントヤといった超大御所歌手は元々これらグループのボーカルからソロに転身した人達。

 

・訪問当時、デパートのオーディオ機器売り場にCDが売られていた。まだCDが高価でそこまで普及していなかったためか、モンゴルのアーティストの作品は少なめだった。ひょっとすると、上記に挙げられたCDがあの時売られていた全てだったかも。

 

・カセットテープを売る店は一か所だけ行くことができた。キヨスクのような店舗で窓一面にカセットを並べていた。しかし、モンゴルポップスのカセットは実はほとんど中国の内蒙古で製作されたものを逆輸入しているようだった。なのでこれらカセットのジャケットや歌詞カードは中国で使われている縦書きのモンゴル文字や、中には中国語さえ見られた。モンゴル本国ではロシアと同じキリル文字が一般的で、モンゴル文字はあまり普及していない。内蒙古のモンゴル族はモンゴル本国人口の三倍おり、内蒙古はモンゴルポップスの大きな市場でもあるのだろう。

 

・今や数多くのヒップホップグループやガールズグループ等、モンゴルポップスも多様化。都内で行われるモンゴルイベントではこうしたアーティストが来日ライブをすることもある。多くはイベントに集う在日モンゴル人向けであるが、ホーミーに代表される伝統的な音楽とメタルを融合させた「ザ・フー」というバンド等、国際的にも注目されるアーティストが現れつつある。

 

次回は台湾を訪ねます。