Ling Muのアジア旅コレクションを展示する「Ling Museum」。旅で訪れた順番にアジア・中東から一か国ずつ、その国のポップスのCDとカセットテープの数々を展示します。

 

★第二十回「フィリピン」

 訪問時期:2001年1月、2004年2月

 訪問地:マニラ、セブ、ボホール

 

左上:フレディ・アギラー「Estudyante Blues」…メッセージ性の強い歌で圧倒的な支持を集める国民的フォークシンガー。

左中:ガリー・バレンシアノ「Revive」…人気No 1の男性ポップス歌手。実は日本の紅白歌合戦にも出場したことがある。ごめんなさい、マニラの市場の片隅で買った海賊版です。

左下:レジーン「Listen Without Prejudice」…歌唱力はこの人かレア・サロンガが一、ニを競うと思う。

右上:スモーキー・マウンテン「Smokey Mountain」:若さ溢れる男女グループ、ダンスも歌唱力も抜群。メッセージソングも多く、遠い国へ出稼ぎに行った母親を想う歌「Mama」は泣ける。

右中:ホセ・マリ・チャン「Constant Change」

右下:サマンサ「Love Me」…ジャケットのビジュアルが気に入って買ったけどフィリピンのアーティストはみんな上手いから安心して聴ける。

 

左上:フレディ・アギラー「Greatest Hits」

左中:フレディ・アギラー「The Best of Freddie Aguilar Vol.1」…フィリピン人なら誰でも知っている名曲"アナック"、"マグダレーナ"、"バヤンコ"みんな入っていて、心が震える曲ばかり。

左下:スモーキー・マウンテン「Paraiso」…一回目のメンバーチェンジで出たセカンドアルバム。タイトル曲の"パライソ"は、これぞスモーキー・マウンテン!と唸らせる名曲。

中上:マーティン・ニーベラ「Forever」…英語曲が多いが、しっとり聴かせる大人の曲って感じ。普通に流して違和感無いいい曲。

中中:シャロン・クネータ「Sinasamba Kita」…女優、司会、歌手として王道を通ってきた大スター。タガログ語曲が多く、情感込めて歌い上げるスタイルも正に王道。

中下:マリベス「Alone Against the World」…"デンパサール・ムーン"という曲がインドネシアで大ヒット。本国よりインドネシアで有名かも。

右上:ジェッサ・サラゴサ「Siya Ba Ang Dahilan」…宇多田ヒカルの"First Love"を英語でカバーしたのがいいね。

右中:オムニバス「Tanging Yaman」…フィリピン映画のサントラ。見てはいないのだが地元の知人がお勧めということで購入。ミュージカル調、ロック調、バラード調いろんな曲があって、どんな内容の映画なのか興味は尽きない。

【収録アーティスト】キャロル・バナワ、インゴ1587、ジェミー・リベラ、ジミー・ボンドック、ローズ・フロック、ノイジー・ネイバーズ、ティーンハーツ、ティンティン・アーナルド、92AD、III オブ・ア・カインド

 

上:ドンナ「Habang May Buhay」…サマンサ同様ジャケ買いだったけど、こちらはタガログ語曲が素敵だね。

下:バンナ・バンナ「Vanna Vanna」…こんなノリノリの曲が実は地元ではよく流れていて人気かも。

 

(Ling Muコメント)

・一説によるとフィリピンの歌手人口は3万組以上と言われ、実はアジア最大のエンタメ大国!

 

・アジア各国のポップスを聴いているけど正直歌唱力のレベルはフィリピンがダントツ。ブロードウェイのミュージカル「ミス・サイゴン」でも主演したレア・サロンガや上記のレジーン等、世界トップレベルの実力を持ったシンガーは多い。

 

・アメリカ統治時代の影響もあり英語が広く普及しているフィリピンの歌謡界では英語曲も昔から浸透しており、アーティストのアルバムでも全体の50〜80%の割合で英語曲が入っているのが平均的。最近は国語であるタガログ語の曲も重視されてきており、特にタガログ語曲を中心にOPM(オリジナル・フィリピーノ・ミュージック)という呼び方もされる。

 

・欧米歌手の作品とあまり変わらない英語曲が多いこともあり、アジア音楽やワールド音楽が好きな人々からはオリジナリティが薄いと思われ注目度が低い。一方欧米ポップスが好きな人々からはコピーのようなレッテルを貼られがちで、どの層からもあまりスポットが当たらないのが本当にもったいない。張りのある声量で情熱的に歌い上げるバラード調の曲なんかマレーシアやインドネシアのスローロックともつながる何かを感じるし、アメリカ、ラテン、アジアの要素が混じったタガログ語曲もフィリピンならではの音楽だと思う。

 

カセット屋に行くと女性店員が何人かおり、それぞれが気に入った歌手のアルバムをお薦めだといって次々と手にもたせ、2, 3分しないうちに両手一杯にカセットを持たされてしまった。しれっと棚に戻すのがバレると何戻してるのよ、と再び手に乗せられたり、サービス旺盛にカセットに収録された曲をそらんじてくれたり。どうやら彼女等は各レコード会社から派遣された販売員で、それぞれ自分の所属する会社からリリースされたアルバムを買わせようとしているようだ。

 

次回はカンボジアを訪ねます。