Ling Muのアジア旅コレクションを展示する「Ling Museum」。旅で訪れた順番にアジア・中東から一か国ずつ、その国のポップスのCDとカセットテープの数々を展示します。

 

★第二十一回「カンボジア」

 訪問時期:2002年8月

 訪問地:プノンペン、プレイベン、シエムリアプ

 

左上:プリアブ・ソワット「Kit Yang Na?」…カンボジアポップス第一人者。日本でアセアン系音楽祭が開催されると、ほぼこの人がカンボジア代表でやって来る。

左下:デング・フィーバー「Venus On Earth」…今や幻の60年代カンボジアポップスをリバイバルしたバンド。面白い試み!

右上:オムニバス「Do Re Mi」:タイトル曲の"Do Re Mi"は現地でも流行っていたけど、タイのヒット曲をクメール語にカバーしたもの。

【収録アーティスト】プリアブ・ソワット、ケム・レッカナー

右下:オムニバス「Cambodian Rocks」…60年代のカンボジアで流行っていた当時のロックの数々。ポル・ポト政権下でこれら音楽は禁止され、歌手も殺害されたが、奇跡的に残っていた貴重な音源。

【収録アーティスト】リエブ・トゥク、メアス・サモン、ペン・ロン、ロス・セレイソティア、シン・シサモット、ヨル・アウラロン

 

左:MKS 「MKS Vol.6」…男性アイドルグループっぽい元気な曲が多くて好き。アンコール・ワットを背景に水かけ祭り?

右:オムニバス「Top Hit Vol.2」…誰の歌が収録されているのかよくわからない複数の歌手のオムニバス、現地に結構多い。

【収録アーティスト】ソプヘップ・チョーイ、プリアブ・ソワット他

 

(Ling Muコメント)

・60~70年代のカンボジアにはヒットメーカー、シン・シサモットによる沢山の流行曲や、アメリカの影響を受けたロックが存在していたが、ポル・ポト政権樹立後、流行音楽は禁止され、当時のスター歌手は政権によって殺害、もしくは混乱の中で死亡。その後の内戦までポップスが完全に途絶える時代があった。

 

・90年代の内戦終結に伴い少しずつカンボジアポップスが復活。歌手と言うより曲先行で流行し、複数の歌手達によるヒット曲のオムニバスカセットが中心に広まる。"アラッピヤー(A Happy Year)"等、みんな歌えるような曲が次々生まれる。中にはジャケットも無く、空のカセットに曲が吹き込まれただけのものがいっちょ前に売られていた。

 

・今はプリアブ・ソワットやミエ・ソックサピーア、メーン・ケアウペッチャンダー等によるミュージックビデオ等の展開で人気歌手も増加。曲はタイや中華ポップスをクメール語にカバーしたものも多い。

 

・カンボジア国内でメジャーというわけではないが、米国人リーダーとカンボジア人ボーカル等で結成されたデング・フィーバーというバンドは、かつて消滅した60年代ロックをリバイバルしていて面白い。

 

次回はミャンマーを訪ねます。