Ling Muのアジア旅コレクションを展示する「Ling Museum」。旅で訪れた順番にアジア・中東から一か国ずつ、その国のポップスのCDとカセットテープの数々を展示します。

 

★第二十六回「シリア」

 訪問時期:2006年5月

 訪問地:ダマスカス、パルミラ、アレッポ

 

 

左上:ジョルジュ・ワスーフ「Kalam el Nass」…アラブポップス界でもかなり有名なポジションにいるシリア人歌手。シリア国内でもトップクラス。みんなで歌って騒ぐ系のコテコテアラブポップスかな。

左下:アサラ「Ady」…同じくアラブポップス界で有名なシリア人女性歌手。

中上:ロパ「Atansyat」

右上:サード・アル・フサイニー「Mosafer」…実は現地ではなく、Ling Mu少年時代にかつて下北沢にあったアジア音楽専門カセット店で購入。当然初めて聴いたシリアポップスでもあるが、このアルバムは外国人でもとっつき易いメロディーでなかなか。

右下:オムニバス「Best Pop Syria」…ダブケと呼ばれる祝いのダンスの時にかけられる音頭調の曲中心。外国人女性の水着ジャケは音楽と関係無し。これをガンガンかけ続ける長距離運転手の好みか。

【収録アーティスト】アベッド・アズリエ、ジョルジュ・ワスーフ、マジド・エル・イシク、クルナ・サワ他

 

 

上:サモ・ゼイン「Finally Tonight with You」…若者に聞くとシリアでナンバー1だと言われるアーティスト。珍しく洗練されたバラード調の曲が多い。

下:ルワイダ「Min Nathra」

 

(Ling Muコメント)

・従来レパント地方と呼ばれ、隣国レバノンと常に一体の歴史を歩んできたシリアだが、欧米風な雰囲気が融合して洗練されたレバノンポップスに比べると、シリアポップス(シリア出身歌手によるアラブポップス)はもっと伝統色があってこってりした曲が多い気がする。エジプトポップスの方がむしろ近い感じ?

 

・カセット/CD屋でシリアのナンバーワンの作品を求めると、店員が中年以上ならジョルジュ・ワスーフ、若者ならサモ・ゼインがよく紹介された。シリア人アーティストの作品と言っているのに、レバノン人歌手の作品を勧められることも多かったのは、単に何でも売ればいいという商魂か、レバノンを別の国と思っていない人が多いためか(実際レバノンは旧宗主国フランスによって不当に分割された地域と考えるシリア人も少なくない)。

 

・伝統的なラインダンス「ダブケ」を踊る際にかけられる歌謡曲が演歌的な位置付けで根付いており、結婚式等祝い事で歌手が呼ばれてガンガン歌い踊る。その代表的な歌手オマール・スレイマンがワールド音楽のジャンルで世界的にブレイクしたことがある。内戦から逃れて国外脱出したが、残念ながら脱出先のトルコで逮捕されたとのニュースを聞いた。彼ももちろんだが、他のシリア人歌手達は大丈夫なのだろうか。無事を祈りたい。

 

次回はカタールを訪ねます。