つLing Muのアジア旅コレクションを展示する「Ling Museum」。旅で訪れた順番にアジア・中東から一か国ずつ、その国のポップスのCDとカセットテープの数々を展示します。

 

★第三十三回「ベトナム 」

 訪問時期:2009年5月

 訪問地:ホーチミン、ホイアン、ハノイ、タイニン

 


左上:ミー・リン「Mua Thu Khong Tro Lai」…NHK BSでかつてあった番組「Asia Live」に出演した時は可愛らしいアイドルだったけど今やハノイを代表するベテラン歌手。歌唱力も断トツ。

左中:タム・カー・アオ・チャン「Chao!」…今は解散したアオザイ姿の三人娘グループ。本作品は4枚目のアルバムだが、ベトナム版と日本版があり、実は両方持っている。曲編成は近いが日本版では彼女等は日本語で歌っている。キャンディーズのカバーもあって、これが結構ハマる。

左下:AC&M「Xin chao」…ベトナムのゴスペラーズ?! ベトナム語のアカペラ曲が時に美しく、時に懐かしく(田舎っぽくて)。

右上:ミー・タム「Trai Tim Em Con Yeu」…何か70~80年代の日本のポップスや歌謡曲のような響きがあってなかなかよし。

右中:オムニバス「Rock Saigon」…歌っているのはベトナムの有名なポップス歌手達で、ロック調な曲を集めたオムニバスという感じ。

【収録アーティスト】ボネール・チン、F5、ホン・ゴック、カシム・ホアン・ブー、カン・ドゥー、マット・ゴック、ミー・フォン、ミー・タム、グエン・ダット、タイン・ラム、トゥアン・カン

右下:オムニバス「Rock the Nation」…こちらのアルバムの方がよりロックらしい。ベトナムにこんなにバンドがあったんだと、バンドブームだった時代に中国に住んだ自分には懐かしいオムニバス。

【収録アーティスト】ダ・バン、ホーリー・レッドクロス、グー・クン、プロフェシー、サゴメタル、スタッパント、ティタニウム、レイジー・ドールズ、サイレント



上:オムニバス「Lan Song Xanh Live Show 2000」…ハノイで開催されたポップスライブアルバム。東南アジアのポップスのライブは沢山の歌手達が出演する歌謡ショーな雰囲気なんだね。

【収録アーティスト】バー・コン・メオ、ホン・ゴック、ホン・ニュン、ラム・チューン、ミン・トゥアン、フォン・タイン、

左下:タム・カー・アオ・チャン「Tam Ca Ao Trang」…上記三人娘のファーストアルバム。この時代、中島みゆきの「ルージュ」がアジア各国でカバーされたが、ここで彼女達もカバーしている。

右下:バオ・イェン「Nguoi Dep Trong Mo」

 

(Ling Muコメント)

・ベトナムが開放政策を取る以前は本国のポップスは非常に乏しく、80年代のベトナムポップスの中心は実はアメリカにあった。つまりアメリカへ脱出したカン・リーを代表とする旧南系歌手達が亡命者コミュニティで歌う曲がほとんど。この亡命歌手の音楽シーンは本国とは別に今も健在だ。

 

・ドイモイが始まった90年代以降、ベトナム本国のポップスは急速に発展。日本や欧米、中華圏のポップスをカバーしたものからロックまであっという間に周辺国と変わらない多種多様な音楽が生まれていった。そこは中国と近いプロセスを歩んでいるため、同じ歌手が70~80年代歌謡っぽい曲からヒップホップまで同じ時代の音楽のように歌う光景が見られる。

 

・ベトナムではカーニャックと呼ばれる歌謡ショーがレストラン等で頻繁に行われるが、この国のトップクラスの歌手が普通に出演するというアジアポップス好きには驚愕のエンターテイメントがある。地元のライブハウスに気軽に行ったら、武道館を埋めるようなアーティスト、紅白に毎回出場するような歌手がごっそり出演しているような超お得感である。僕も現地で一回見に行ったが、クアン・ユンとホン・ニュンという男女共に大スターが出演しており、その素敵な生歌にしびれまくっていた。

 

次回はネパールを訪ねます。