Ling Muのアジア旅コレクションを展示する「Ling Museum」。旅で訪れた順番にアジア・中東から一か国ずつ、その国のポップスのCDとカセットテープの数々を展示します。

 

★第三十五回「ブータン」

 訪問時期:2010年5月

 訪問地:ティンプー、プナカ、ウォンディフォダン、パロ

 


左上:タシ・ネンチャ「Zangtho Pelri」…どちらかと言うと伝統音楽のグループだが、まだポップスが確立していない頃、現代楽器を使って伝統と現代を融合させるアレンジ等を行い、ブータン・ポップスの礎を築いたグループでもある。でもこのアルバムはやはり伝統寄り。

左下:ツェテン・ドルジ「Denmay」…ギターを持って後ろを向いた姿のジャケだが、全体的に暗めでよく見えない。ポップスの作品はオムニバスが多いので、単独アルバムが出ているということはそこそこ有名なのだろう。

右上:オムニバス「Yue Ghi Bhu」…映画のサントラ盤がポップス作品になるのはインドに似ているが、もちろん映画とは関係の無いアルバムも多い。本アルバムはのんびりした演歌調が多いね。

【収録アーティスト】デチェン・ペム、ジグメ・ニドゥップ、ナムゲイ・ジグス、リンチェン・ナムゲイ

右下:オムニバス「Sem Gawai Tasha」…出国時に余った現地通貨を使い切るため、たまたま免税店で見つけて購入したので詳細は全く不明。ジャケットからは映画かドラマのサントラ盤に見えるが、ググってもこのジャケット以上の情報は見つからず。なので誰が歌っているのかもわからない。

【収録アーティスト】不明



左上:ツェリン・ドルジ「Kolors」…民族衣装 "ゴ" を着てエレキを持った、正にブータンポップスと聞いて思い描く絵柄のジャケットがいい!そして曲調がJ-Popに近くて聞き心地が良い。ただ名前がツェテン・ドルジとよく混同する。

左下:ケンチョ・ワンディ「Demissa」…見た目、ブータンの長渕剛。実際ギター一本で歌うシンガーソングライターのようで、曲は少しロックっぽさも漂う。

右上:オムニバス「Alone...a Salitary Soul」…のんびり系ヒマラヤポップスな感じのオムニバス。文化圏も近いだけあってチベット風なメロディも感じる。

【収録アーティスト】ナムゲイ・ジグス、ペマ・タイ、ソナム・ヤンキ、ウゲン・ティンレイ

右下:オムニバス「Miss You」…四人組のバンドのアルバムかと思って買ったら、四人の別々の歌手のオムニバスアルバムだった。シンセサイザーの打ち込みを多用している分、上記「Alone...~」よりやや賑やかに聞こえる。

【収録アーティスト】ジミー・シンゲ、ニマ・ワンディ、タンディン・ソナム、テシ・ドルジ

 

(Ling Muコメント)

・ブータンはインドほどではないものの、映画挿入曲がヒット曲となることも多く、You Tubeでもブータン映画のミュージカルシーンを見ることができる。なのでCDにもこうした映画のサントラ盤が見られるが、映画とは関係の無い普通のポップスも多い。曲的にインドの影響を受けているかと言うとそうでもなく、ちょっと洒落た雰囲気の歌手の作品はJ-Popと曲調が似ていたりする。

 

・国語であるゾンカ語は方言の差が激しく、標準語として統一された形態がしっかりできていないこともあって、驚くほど英語が普及している国である。でもブータンポップスに英語曲は見られない。サビに英語を使うケースも少なく、そこはよく頑張っているが、ブータン人がそもそもちゃんと聴いているのか。欧米の英語ポップスやインド映画音楽ばかりではいけないぞ。

 

・伝統音楽を中心に演奏するグループ「タシ・ネンチャ」が現代風の音楽を取り入れてアレンジしたことからブータンポップスが発展していったと言われる(映画サントラ曲は古くから存在していたかも知れないが)。彼等は90年代に国際交流基金の招待で来日コンサートを行ったことがあり、見に行ったことがある。終了後に係の方に彼等のCDかカセットは入手できないか尋ねた所、基金がサンプル曲を数曲保管しているので、空カセットを送ればダビングするとの神対応をして下さった。サンプル曲なので四、五曲だったが忘れられない思い出。尚、このグループは「花  すべての人の心に花を」を日本語のままで歌っている。

 

次回は北朝鮮を訪ねます。