Ling Muのアジア旅コレクションを展示する「Ling Museum」。旅で訪れた順番にアジア・中東から一か国ずつ、その国のポップスのCDとカセットテープの数々を展示します。

 

★第三十九回「トルコ」

 訪問時期:2012年5月

 訪問地:イスタンブール、デニズリ、ギョレメ、ユルギュップ、メルシン、スィリフケ

 

 

左上:アジダ・ペッカン「Seni Sectim」…トルコポップス界のベテランの一人。言葉わからなくてもこの歌声はジーンとくる。

左中:バルシュ・マンチョ「Live in Japan」…今は亡きアナドル・ロックのアーティストによる日本ライブアルバム。かなり上手な日本語のMCも入っているし、"時の旅人"という日本語曲も披露した。

左下:モル・ヴェ・オテスィ「Masumiyetin Ziyan Olmaz」…トルコのロックと言えばこのバンド。

右上:カルゴ「Yildizlarin Altinda」…お気に入りのロックバンド。タイトル曲のYou tubeを見て気に入った。出会ったオヤジ達が実は天使?! 原曲はトルコ歌謡界の大御所ゼキ・ミュレンの懐メロ

右中:エディップ・アクバイラム「Özgürlük」…70~80年代から活躍するトルコオリジナルのロック「アナドル・ロック」の旗手の一人。ロックなんだけどどこか哀愁のあり、民族楽器サズも使われている。

右下:ニル「Nil FM」…この時点での正しい芸名はニル・カライブラヒムギル。多分長いのでその後「ニル」にした。どこか東欧風のメロが入ってる感じがすごくいい。トルコ航空に乗ってイスタンブールに行った際にトルコポップスを聞いていたが彼女の曲が一番好きな曲調だった。

 

 

左上:ハンデ・イェネル「Tesekkurler」…現地でタクシーに乗ったらよく流れていたので流行っていたのだろう。

左中:メラル - ズハル「Koyutürk Şarkılarıyla」…トルコのザ・ピーナッツ。60~70年代歌謡曲って世界共通なのか、昭和ポップスと似た香りがする。

左下:メリケ・デミラ「Geri Dönüşüm」…トルコのオールディーズにちょっとハマったので。「Arkadaş(友達)」はいい曲。

右上:エゴイスト「Artik Yetar」…女性ボーカルのロックバンド。

右中:オムニバス「Bak Bir Varmış Bir Yokmuş - 2」…60~70年代のトルコポップスのオムニバス。この時代の方がイスラム色が薄く、西洋的なのは発見。"ある愛の詩"のトルコ語カバーもあり。

【収録アーティスト】アジダ・ペッカン、アイ・フェリ、ダリオ・モレノ、エンギン・エヴィン、フュション・オナル、ギョニュル・トゥルグット、フメイラ、イルハム・ゲンチェル、ラレ・ベルクス、メリケ・デミラ、ネスリン・スィパヒ、ニルフェル、オミュル・ギョクセル、ラナ・アラギョズ、セルジュク・アラギョズ、タンジュ・オカン、ヤシャル・ギュベニル、アイラ・アルガン、アイテン・アルプマン

右下:ヨンジャ・エヴシミク「Kendine Gel!」…噂によると中島みゆきの”ルージュ"をトルコ語カバーで歌ったらしいがこのアルバムには無し。

 

 

左上:タルカン「Ölürüm Sana」…恐らく一番名の知れたトルコのアーティスト。リッキー・マーティンの出現によりラテン風ダンスポップが世界中でブレイクした頃、中東にもこんな感じのアーティストが多く現れた。

左下:セゼン・アクス「Git」…トルコ歌謡界の大御所。ハスキーな声と哀愁あるメロディーがいい。

右上:モル・ヴェ・オテスィ「Dunya Yalan Soyluyor」…このバンドの"Cambaz"という曲が好きだったが上記CDには入っておらず、もっとよく探してみたらカセットテープで見つかった。

右下:ファティ・エルコチ「Ellerim Bomboş」…90年代、アジアポップスの祭典ABUソングフェスティバルの前身であるABUゴールデンカイト・ソングコンテストにトルコ代表で参加。ヒゲもじゃながら甘いバラードが得意。

 

(Ling Muコメント)

・中東の国ながら共和国革命以来、欧州的な世俗社会を目指してきたトルコ。そのポップスも本当にイスラムの国かと思うぐらい欧米風のポップスが主流だった。その一方で演歌的立ち位置である民謡を現代風にアレンジしたハルクや、アラブ風音楽の大衆歌謡アラベスク等、民族色の濃いジャンルもあって住み分けがされていた。

 

・ヨーロッパのポップスの祭典 "ユーロビジョンコンテスト"にも代表を出しているが、そこでは中東チックなメロディのアーティストが出場することが多く、ヨーロッパ人に異国情緒を与えてポイントを稼いでいる感もあった。一方、アジア各国のポップスの祭典であるABUソングフェスティバルにレギュラー参加している唯一の中東の国でもある。2019年の東京大会ではトルコポップス界のスーパースター、ムスタファ・サンダルが来日出場した。

 

・ロックの歴史は意外と長く、トルコ伝統音楽と欧米ロックを融合させた"アナドル・ロック(アナトリアのロック)"というジャンルがあり、エルキン・コライ、バルシュ・マンチョ、エディップ・アクバイラムといった伝説のスターを数々生み出している。最近ではアメリカ発ラテンポップの世界的ヒットの影響で男性歌手タルカンが有名になった。

 

・訪問した当時、CD屋さんではカセットもまだ少し売られており、PCからCD-Rにダウンロードするサービスも行われていた。都市の中心では本屋さんにCDコーナーがあったりもした。

 

次回は北キプロスを訪ねます。