Ling Muのアジア旅コレクションを展示する「Ling Museum」。旅で訪れた順番にアジア・中東から一か国ずつ、その国のポップスのCDとカセットテープの数々を展示します。

 

★第四十回「北キプロス」

 訪問時期:2012年5月

 訪問地:ギルネ、レフコシャ



左上:ジェブデット・アクテペ「Hasertim Sana」…ギター一本で情熱的に歌うシンガーソングライター。間奏の所でトルコ語の語りが入るのが特徴。

左中:ウムット・アルバイラク「Umut」…中堅女性歌手と思しき実力派。少し東ヨーロッパ風のメロがある。

左下:ヨルジュラリ「Sabret Gülüm」…フォーク系グループ。楽器的、曲調的にギリシャの要素が感じられるのはこの国ならではか。哀愁あるこの曲なんかいい。

右上:エイレム「Bugun Burda」

右中:ファーメ&ジャポン「Ikisi Bir Arada...」…ヒップホップのデュオ。なんで日本を意味するジャポンなのかなと思ったら、二人のうち一人が何となく日本人に似てなくもない(普通のトルコ人でもたまに日本人に似た容姿の人がいる)。

右下:トラフィック「Daglar Mi Yoller Mi」…この国のポップバンドのようだが、あまり特徴は無い感じ。

 

(Ling Muコメント)

・エーゲ海に浮かぶ島キプロス。ギリシャとトルコの間にあり、二つの民族が共存していた国だが、現在北半分がトルコ人の国「北キプロス・トルコ共和国」、南半分がギリシャ人の国「キプロス共和国」の二つの国に分断している。南側はギリシャ文化圏でEU加盟国なので欧州の一国と数えられるが、北側はトルコのみが承認している言わばトルコの属国である。なのでここでは北側は中東の一郭と見なし紹介したい。

 

・とは言え民族的にはトルコと同じなので、この国の人々はほぼトルコ本国のポップスを聴いている。CDを売る店にも何軒か訪ねたが、90%以上トルコの作品であり、ほんの片隅に申し訳程度に北キプロス出身歌手の作品が置かれていた。YouTubeで北キプロス歌手の曲は聴いたことがあったのでポップスが存在するとは思っていたが、本国でも存在感は大きくない様子だった。

 

・とりあえずCDはあるだけ買ってみた(それでも5, 6本)が、基本トルコポップスと大きくは変わらない。地方のトルコ人歌手といった感じである。ただ、ヨルジュラリというグループ等どこかギリシャっぽい響きを感じる曲もあって、この両国融合感こそ北キプロスらしさなのかな、と信じたくなったりする。

 

・南側の方が独自のポップスが確立しており、今年日本で開催された「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」にも出演したグループ、ムッシュ・ドゥマニ等国際的にも名の知れたアーティストもいる。一応北側からグリーンラインを越えて南側の首都ニコシアを三時間ばかり散歩し、CD屋さんも見つけたものの、トルコリラしか持っていなかったので買い物ができず何も買えなかった。ま、南側は欧州なのでコレクション対象ではなかったけど、それでもちょっと惜しかった。

 

次回はチュニジアを訪ねます。