Ling Muのアジア旅コレクションを展示する「Ling Museum」。旅で訪れた順番にアジア・中東から一か国ずつ、その国のポップスのCDとカセットテープの数々を展示します。

 

★第四十一回「チュニジア」

 訪問時期:2013年1月

 訪問地:エル・ジェム、タメルザ、トズール、ドゥーズ、クサルギレン、マトマタ、タタウィン、メドニン、カルタゴ、シディ・ブーサイド、チュニス

 


左上:モハメド・ジェベリ「Mohamed Jebeli 1」…正統派アラブ歌謡のスター。レバノンやエジプトでも有名なナンバーを歌っている。

左中:ガリア・ベナーリ&ティムナー「Wild Harissa」…アラブ・アンダルース音楽と呼ばれるイベリア半島の音楽とアラブ音楽が融合した曲を現代風に哀愁込めて歌うグループ。ラテン風の曲調と見事に噛み合っていて、地中海を挟んだ南欧との近さを感じる。

左下:エメル・マトルティ「Kelmti Horra」…ジャスミン革命の際、立ち上がる人々をメッセージソングで鼓舞した女性歌手。メッセージ性だけでなく素晴らしい声量と広い音域、これはみんなついて行くよな、という納得の歌唱力。昨年来日ライブしたそうだが気付くの遅く残念!

右上バルティ「Balti & Le Best Du Rap Francais」…チュニジアで割と流行っていたヒップホップの代表的歌手。フランス語によるラップアルバムというのは、フランス語が浸透しているマグレブ諸国ならでは。

右中:エル・ジェネラル「Sound of Tunisia」…同じくチュニジア・ヒップホップ界の第一人者。タイトル曲"Sound of Tunisia"は複数のアーティストと一緒に英語やアラビア語で歌われた感動的な曲。Ling Muは結婚披露宴のBGMでも流してしまった。

右下:ミラス「Shehili」…チュニジアのメタルバンド。メンバーが魔法を駆使して子供を助けに魔界に乗り込む動画のシリーズはよく作り込んである。ボーナストラックにはメイン曲の日本語バージョンが収録されているが決しておふざけではなく、カッコよく歌いこなしている所はさすが、の一言。



左上:アミナ「Yalil」…90年代から女優兼歌手として活躍。細野晴臣とコラボした縁で日本でも発売されたアルバム。

右上オムニバス「Rap Tunisien 3」…アラブの春に関係してると思われるラップミュージックのオムニバスアルバム。リビアの国旗をセンターに置いているのでリビアのヒップホップかとちょっと期待したのだが詳しい解説は無く表記もアラビア語のみなので詳しいことは全く不明。

【収録アーティスト】不明

下:ウレド・ジュイニ「Sans Visa」…CD屋さんの奥の方にまだカセットテープも少し売られていたので興味本位に一つ買ってみた。

 

(Ling Muコメント)

・チュニジアはアフリカの国なのでアジア・ポップ・コレクションという題目だと語弊があるけど、北アフリカは中東の一郭であり、そこのポップスはアラブポップスの一郭である以上切り離しては考えられないので、ここのコーナーでは北アフリカまで紹介します。と言ってもまだチュニジアしか行ったことないけど。

 

・アラブポップスの有名な線ではラティファという女性歌手がチュニジア出身だが、地中海色の強いアラブ・アンダルース音楽や革命ラップ、スピードメタル等この国ならではの豊富な表現方法による作品も多くて面白い。

 

・アジアのポップスの祭典ABUソングフェスティバルの2016年インドネシア大会にアラブ枠として同国のルツフィ・ブシュナクが出場。他の国が全員若い女性歌手である中、10分以上ある伝統大衆歌謡を歌い上げたのはまるで"無法松の一生"を熱唱する村田英雄のような貫禄があってすごいインパクトだった。


・僕が一番好きなチュニジアのアーティストは上記でも紹介したヒップホップのエル・ジェネラルとジャスミン革命でメッセージソングを歌って活躍したエメル・マトルティ。これは彼女の代表作https://m.youtube.com/watch?v=wJ79iEfus8E&feature=emb_title


。2015年にチュニジアの民主化勢力がノーベル平和賞を受賞した式典で歌った時のもの。

 

次回は「カラカルパクスタン共和国」を訪ねます。