あわよくば1対1でステージを観られるかもしれない。
他劇場とは違い、1人でも入ればそこで途中終演することがない劇場でしか決して味わうことができないその状況を、私は密かに睨んでいた。過去、1対3までは経験したことはあるものの、マンツーマンでは今までにない。その時この状況を、踊り子がどう演じるのかを興味を持った。客の多少に関係無く全力を投じるのか、はたまた投げやりにその場を無難にこなすのか、ステージに向かう姿勢がわかるかもしれないと思えた。
踊り子と私とのガチンコ。私は決して席を立つことが許されない。
公的には、広く伝えるとは名ばかりのストブログとして偽善者ぶっている私も、こうも滅多なチャンスはそうあるまいと、私的感情に赴くまま道後観劇を考えていた。閑散とした夏の温泉地で、しかも平日。どこからか「今でしょ。」と聞こえてくる。
いつもより1時間早く出社し18時に仕事を終わらせる。昼休みなどいらなかった。帰り際、上司のつまらぬ話に付き合わされるも、18時半、吹田インターに私は飛び乗った。小走りでパーキングの休憩を済ませ、松山に着いたのは22時を少し回った程度であった。
音楽が漏れ、震える手で場内に入るドアを開けると20名弱の入りで、まさに3stのパチンコフィナーレが終了しようとしていた時であった。その時私はホっと胸を撫で下ろしたものだから、少なすぎる入りを、実は本心では望んでいないということであったか。
翌日、梅雨の明けた伊予の地は、朝の晴天と打って変わって豪雨となった。人っ子一人いないハイカラ通りに、
「もしかしたら~」
と前日の入場直前まで望んでいたことが頭に過ぎり、開演5分前に私は入場した。扉を開けると、場内には私を含め3人であった。
どこの劇場に行こうとも、どこかしらかで会ったような客は1人はいるもので、その過去の記憶にない客2人であった。浴衣は着ていなく一見である確率が高かったら、またまた
「あわよくば~」
と思った。しかし始まってみれば、1stトリ頃には20名弱と、温泉客も増え賑わいというか、騒がしいいつもの道後となる。後から駆けつけてきたスザンヌさんと昨年の12中TS以来再会。終わってみれば、いつものように楽しいひと時を過ごせた。
2013年7頭 道後ミュージック
(香盤)
1. 伊吹千夏 (東洋)
2. 橘真帆 (杉プロ)
3. 目黒あいら (晃生)
4演目:目黒あいら
2演目:伊吹千夏
1演目:橘真帆
伊吹千夏さん。2013年4中の晃生ショー以来です。
☆イエロベースの七色のドレスから、アイドルダンス。
そこからポーズベッド。
☆迷彩柄のドレス。脱げば、同柄のセパレート。
こちらもポーズベッド。
ポラに
「はじめまして。」
と書かれてあったが、会うのは実は4回目だったりする(笑)私は目立たぬ客といったところか(笑)
洋楽の選曲に痺れるものを感じる。拾いたかったもののこれは断念。スタイルが良く東洋ショー再開が待ち遠しい。
橘真帆さん。初見の踊り子さんです。
☆上は紫、下は黒の豪華ドレス。手にはオレンジのバラを一輪持ち回転盆に座った状態でスタート。一舞した後、暗転。赤い花のプリントされたベージュのシースルで登場。バラを持ちながらのポーズベッド。
ポラの時
「お兄さん、どこかでお会いしたことある?」
「いえないですよ。初めてです。」
「どこかで観た気がするな~」
「似ている人は、3人はいると言いますからね。」
温泉客との会話も楽しい美人の踊り子さん。
目黒あいらさん。2013年5結の若松劇場以来です。
1ヶ月ぶりにあいらちゃんが帰ってきた。道後での出し物は「アメリカン」、「クレヨン」、「カリフォルニア(新作)」。私の観劇日以降、周年作も出していたようですから4個出し。
ストリップには1日4公演あり、踊り子の出し物はだいたい1個か2個。全員が1演目だとわかれば、私の場合1回り観て帰る。全員の踊り子が2個なら、1巡目の記憶が曖昧になるから3回りは観たいところ。地方の劇場だからといって手を抜くことは一切ない。だから帰れない(笑)
新作は、前日よりも少しベッドが変わっていた。
「昨日と少し変えたね。」
と私が聞くと
「昨日のは失敗したんだよ。」
とご返答。まぁ、失敗だとは誰も気付くことはない。前日見せた手を使わないスワンも良かったのですけど、本人は納得していなかったのでしょうか。
新作についてはスザンヌさんのレポに詳しい。
日付が変わる頃、終演。遅めの晩御飯を食べるため、近くを散策するも真っ暗で何もない。諦めかけたその時、路地中に1軒のラーメン屋を見つけた。
「他はないみたいですし、ラーメン500円ですね。」
「ここに決めましょうか。」
とスザンヌさんと話をしていると、
「お兄さん、ラーメン500円。遊びは1万円。」
今後聞くことのないであろう、謎の呼び込みをして来る女性が現れた。
「意味がわからへんねんけど。」
と言い、私達は中に入った。
そこにはカラオケがあるスナックであった。
「お兄さん、本当にラーメンだけ?」
と胸を強調した40代ぐらい方が言ってくる(笑)
「ラーメンだけです。ここは、本当にラーメン屋?」
「そうですよ。気にしないで。」
とママは笑っていた。私達はヒソヒソと
「温泉客もいますから、大丈夫だと思いますがボラれたら逃げよう。」
とお互い笑った。会計時、案の定
「10万円。」
と言われ、一瞬肝を冷やすも
「ホンマに?」
「ウソ。500円。」
と言いい、スナックのママは笑っていた。
辿り着て、その着地点がストリップであるという友人スザンヌさんと、そのいかがわしいスナックでスト談義を交わす。およそわたしなどとは経験値が違う、その深みのある話にただ頷くしかなかった。
「ストリップの頂点が知りたい。」
という大きなテーゼのもと、観劇をしているというそのスタイルに、今香盤は大満足であったという言葉を聞けたと時、私も追いかけている踊り子に間違いないと確信が持てるに至った。このいかがわしいスナックから今すぐにでも立ち去りたいという気持ちと、このままずっとストリップの話を続けられるような相反する気持ちが、スナックにしては、どう考えても“普通”味のラーメンをすする間、始終続いた。
観劇日:7/2(火)4stから終演まで (22:30~23:55)
7/3(水)開演から終演まで (17:00~24:00)