とりあえず言い訳を考えていた。
花道のない晃生ショーのステージで、それもたかだか盆でのダンスができないぐらいで、自身の行かない理由になるものかと。
5頭の晃生で私はある違和感がよぎる。どこかおかしい。それがやがて「盆ダンス禁止」というのがわかる。このことに常連の間でも、気付く人と気付かない人がいることが確かであり、
「言われるまでわからなかった」
という知り合いも多かった。
この週より晃生ショーは、「回転盆で靴を履いたままのダンス禁止」という、全国の劇場で初のダンス規制が入る。これにより踊り子は、素足でしか回転盆に入れなくなった。
他劇では許されていた盆ダンスを、晃生ショーでは本ステージのみで踊ることとなった。この腑に落ちない謎の規制により、それぞれの踊り子は演目によっては大きくステージ内容の変更を余儀なくされた。
事実、ゆのさんは新作初出しを取り止め、五木麗菜さんは、最後まで回転盆に来なかったとの情報もあった。
別に本舞台のみで踊っていようとも、さして変わるものではないのではないかとも思えたりもした。しかし今週のあいらちゃんのステージを観て、やはりステージはこうでないといけないと私は確信を持つ。ダンスにおける縦の動き、奥行きが制限され、「盆ダンス禁止」ではそのステージそのものの魅力が半減される。悪名高い「ダンスカット」ほどではないにせよ、「盆ダンス禁止」はそれに近いものを感じた。
この間、爆サイではこのことに一切話題すらならなかったから、書き込む連中などは、劇場に行っていないのか、何も観れていないのかが簡単に判断できよう。
「あいらちゃん、7月の開館記念は?」
「乗らないよ。盆で踊れないから」
5頭の小倉で即答した。4結の周年を終え、7月の晃生ショーの開館記念に出るものだと、当然私は思っていた。
「開館記念やで」
「出ない。盆で踊れなかったらあいらじゃないでしょ」
「そうやな」
「俺は東洋が閉まっていて、晃生までも行けないのか」
地元ホームの劇場に行けない。
「そうか、じゃあ追いかけるよ」
となったのは自然の成り行きといえよう。2年前の休館時期を除いては、いまだかつて2週と空けたことのない晃生観劇を、4ヶ月に渡り、私はホームから距離を置いた。
そして近い人にだけ、言っておいた。
「9頭の晃生で、あいらが盆で踊らなかったら、自分はあいらファンを辞める」
あいら観劇を辞めるなら、これは私自身のストリップの引退を意味していたかもしれない。混んでいたら3列目で観ているから、ダンス中に盆に来ずともあまり関係ないかもしれない。けどこのあいらちゃんの言葉を信じてみようと思った。
「別に辞める必要ないやん?」
「いや、あいらちゃんがウソついたら辞めますよ」
そして9頭を迎える。3人目の六花ましろさんまで絨毯が敷かれたままであった。この日、トップから当然盆ダンスはなかった。
「おお、俺も今日で最後になるのか」
一瞬よぎる。
「見栄張って、2曲目ぐらいであいらに見えるようにして帰る」
と強がっていたものの
「晃生に行かずとも、違う劇場行くか」
とも弱音が出そうになる。
ましろちゃんのオープンショーが終わり、音楽が止む。照明室から舌足らずの投光さんが急いで降りてきて、回転盆から絨毯を舞台裏へと下げた。
そしてこれでもかというぐいに、あいらちゃんはヒールで回転盆のアクリル板を甲高く踏み鳴らした。
ステージが終わり、デジで
「あいらちゃん、盆で踊ったな」
「え!?言ったじゃん。盆で踊れなかったら乗らないって」
「そうやなー」
と笑った。
どこまでもワガママなんだ。
そしてあいらを貫き通した。そういう踊り子。
まぁ、絨毯が敷き直されたフィナーレの時、ブーツで出て来て、回転盆の上を膝立ちで歩いていたところは、どこまでも茶目っ気がある(笑)
2013年9頭 晃生ショー
(香盤)
1. 山口桃華 (TS)
2. 心愛 (東寺)
3. 六花ましろ (道頓堀)
4. 目黒あいら (晃生)
5. 川村あいね (東洋)
3演目:目黒あいら/川村あいね
2演目:山口桃華
1演目:心愛/六花ましろ
あいらさんは、今週6個用意しているそうです。
“所属の妙”が味わえる香盤。お時間のある方は是非どうぞ♪
観劇日:9/4(水) 1st心愛さんから4st目黒あいらさんまで (12:40~22:50)