アメーバを通じ東寺でストブロガーの方と出会った。
「やっぱり、好きな踊り子ってバレますよね~」
という話になった。
踊り子は皆美しく、全てが良香盤のように書かねばならぬという暗黙ルールに倣い、当初私もそれを目指していた。しかしどうにもペンが進まない。というよりむしろ、何も感じない踊り子を記す時には、これ以上のない苦痛が生じた。言葉が全く湧いてこず、なんとか捻りだそうにも、客観描写のみとなる。好きな踊り子でさえ、ステージを観た時の感情の起伏がどんなに激しくとも、文章では冷静且つ正確、何も感情を入れないのが、今までのストブログであり、初めはそれを私は目指していた。しかしそれを世に出した時、それは少なからずいる私の読者の読みたいものとは思えないであろうし、であるからそれによりストブログがつまらないものと言われる所以であると感じていた。
しかししばらくして、私のこの考えはすぐに破綻が起きる。数年前東洋に行った際、仲間内で書いた文章で
「トリよりも、トリ前の方がどう観ても素晴らしいではないか」
と、多少柔らかくして書いたものの、趣旨はこのままであることに間違いなく、それを自分なりに記した。その時、一斉に非難を私は浴びた。トリのロック嬢など、褒め言葉しか書かぬのが、今までのストブログそのもので、しかしどんなに観ても、トリ前の演目の方が良かったのであり、そう思ってしまったのであるから、始末に負えない。この強張った空気こそが、私は馴染めないものであった。トップだろうと、2番手だろうと、トリだろうと良いステージというものは良い。どんなにAVで有名だろうと、私には見た目の美しい踊り子だけなのであり、ステージの、何か訴えかけるものなにかが全てであり、その時の私には、それはトリ前のステージであったに他ならない。
しかし無類の客入りを誇るトリの小向美奈子は、パンツを履いてステージをするといった一点で、誰でも批判しても良いという論調があるのは、何故だか釈然としない部分もあるのであるが。
昨年の7月の浅草で篠崎ひめ出演が決まり、なんとかして2連休を作り日程を合わせ、ストリップ総本山浅草の地に踏み入れた。観劇後に数日かけ徹夜で仕上がった文章が、これが私らしくひめだけとなった。
これを世に出した場合、ロック客から非難を喰らうかもしれない。しかし、ひめはもう引退が決まっていた。この踊り子を知らずして、ストリップは語れまい。
ストリップを広く愛するという、書く者にとって一番の必要性を欠けており、平等性が全く無いと自認している私には、その時の東寺のだだっ広いロビーで
「僕は、わかるように書いていますよ。数記事読めば、バレバレですよね」
と答えた。さすがにロック系を好む方だけあって、その方にとってそれは許されないらしい。行った劇場、香盤を全て記すという、途方もない仕事量、熱意に、私はただただ感服するばかりで、
「よくぞここまで文体の統一性と、ボキャブラリーに溢れ、精力的なのだ」
といつも舌を巻いている。
私は問いかけた。
「初見の天板の姐さんと、4年追いかけている踊り子と同じ文量で書かないといけないものなのですか?」
「そんなことありません。自分のブログには、好き放題書いて良いものです」
とおっしゃられた。そうだ。この空気こそがいけないのだ。かつてイチローがWBCで打てなかった時、メディアは非難轟々であった。プロとはそういうものだ。
同志といおうか、ストリップを愛する知人に
「もう限定で書くのは止めて、全員公開で書かないか?」
と、私は大同団結を提言した。晃生に強制捜査が入り休館中、ナニワが閉館となった2年前の12月頃である。関西のストリップは衰退の一途で、素人館は週末でも閑古鳥、東洋でも平日の入りは厳しかった。
「匿名の輩がいるので、無理です。お任せします」
という真っ当な返事が、何人か返ってきた。加えて
「書いたところで、打っても響かないスト客なんて意味がない」
私の目指すところは決まった。スト観の固まりきった今までの客なんてどうでも良い。ほっておいても
「あっちの方が良香盤だ」
と言って行くものだ。ストリップを知らぬ者、ただそれだけで、私の好きな踊り子を世に広めようと決意した。私がストリップを覚えた頃は、Tim氏のブログを全て読んだもので、初心者が私のブログで格好の道標となるよう、努めてきたつもりだ。
何度東洋ショーに行こうとも、どんなにルックスの良い踊り子を観ようとも、ステージを観る頻度が多くなりすぎたのか、余程のことがない限りピクりとも反応しない。その感度が異常に悪くなっている。アイドルステージというものに、私は重度のステージインポになりつつあった。私の中では、ストリップとアイドルはノットイコールであり、東洋の多くがアイドル踊り子ゆえ、どんなにハード面が悪かろうと、晃生に出演する踊り子に惹かれていったのは、自然の成り行きであった。
クレイグ、ひろたん、はる氏といったアメーバの強力な面々に、東洋を愛する人達が皆、ストリップを、関西のストリップこそが東洋ショーであるというその当時の空気が、そこにはあった。仕方ない。その時晃生ショーは、公然猥褻で休館していたのであるから。しかし、それだけではないだろうと、私は常々思っていた。そこに、あいら、悠那、HIKARU、虹歩といった、どう考えても、私のストリップそのものの踊り子が一切登場しないのであった。なにも私がアンチ東洋というわけではない。「関西のストリップは東洋だけではないであろう」というのが私のスタンスであった。
下記の観劇回数を見る限り、異常数値は悠那であろう。大阪在住の私が、
ホームが道劇の悠那が、この回数というのがおかしい。しかしながら、9結の晃生に私は行かなかった。
「なにも1週観に行かないぐらい~」
と思うかもしれない。限られた観劇回数の中で、昨年は全て広島からまさごまで押さえていた。
そしてなにより、私がストリップを覚えてから、「悠那 in 関西」は全て観てきた。それも我ホーム晃生ショーだ。それが今年の9結で終焉を迎えてしまう。ご存知の通り、私はあいらを選んだ。最後の若松を選んだ。
その週の遇数回に、悠那最高作と目される演目を、出しているという情報を得ていた。先だって7結のまさご座のロビーでの会話で
「悠那が凄い新作を出した」
というのを、知らぬ人達が名古屋弁で噂していた。食指がこれ以上のない刺激を受ける。どう考えても行かぬ理由などあるまい。
「仕事帰りの4回目なら観られるが、盆ダンス禁止で観たところで―」
と頭に過ぎる。この盆ダンス禁止こそが、私にはどうも馴染めない。その一語に尽きた。
さすがにゲストで呼ばれているのだから、後輩踊り子も沢山いることだし、小さくなりすぎたストリップの、そのナンセンスな劇場ルールに従うであろう。事実、観に行った知人も「回転盆に来なかった」と言っていた。
そして9頭を迎える。前記事で記した通り、この時、あいらが盆で踊った。もしもこの時、盆で踊らなかったら、私は観ること自体を辞める覚悟で観に行ったものの、踊り子としての、あいらとしてのそのスタンスを貫き通した。やはり私の観る目には、全く間違いが無かったのである。
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【10劇場】 1名
52回 目黒あいら (晃生24/東洋⑤/広島④/道後④/若松④/小倉③/大和③/まさご②/渋谷②/TS①)
【8劇場】 1名
32回 匠悠那 (晃生⑭/小倉④/広島④/東寺④/大和②/渋谷②/東洋①/まさご①)
【6劇場】 2名
26回 星川音々 (東洋⑱/小倉④/歌舞伎①/TS①/浅草①/大和①)
13回 虹歩 (東寺③/晃生③/大和③/小倉②/ワラビ①/TS①)
【5劇場】 2名
25回 篠崎ひめ (東洋⑲/晃生③/東寺①/浅草①/大和①)
14回 ゆの (晃生⑧/まさご②/若松②/広島①/大和①)
【4劇場】 14名
19回 RiN (晃生⑯/東寺①/東洋①/大和①)
14回 神崎雪乃 (晃生⑨/広島③/東洋①/大和①)
12回 井吹天音 (晃生⑤/まさご③/広島③/銀映①)
10回 南かずさ (晃生⑥/ナニワ②/福山①/大和①)
9回 HIKARU (東寺④/晃生③/大和①/広島①)
8回 真白希実 (東洋③/東寺③/広島①/浅草①)
7回 香坂玲来 (晃生③/大和②/広島①/まさご①)
6回 桃乃ララ (晃生③/若松②/道後①/広島①)
6回 海宙まみん (晃生③/ワラビ①/まさご①/TS①)
6回 早瀬みな (晃生③/あわら①/東洋①/まさご①)
6回 雪見ほのか (東洋②/東寺②/歌舞伎①/大和①)
6回 浅葱アゲハ (まさご③/東寺①/小倉①/大和①)
5回 大友輝 (東洋②/東寺①/小倉①/大和①)
5回 上田結舞 (東洋②/東寺①/広島①/浅草①)
【3劇場】 14名
22回 羽音芽美 (晃生⑳/東洋①/東寺①)
15回 仁豊 (晃生⑫/東寺②/小倉①)
15回 川中理紗子 (晃生⑬/広島①/大和①)
11回 結奈美子 (晃生⑨/銀映①/九条①)
11回 鮎原かおり (晃生⑧/大和②/まさご①)
10回 山口桃華 (晃生⑧/まさご①/大和①)
10回 心愛 (晃生⑧/東寺①/歌舞伎①)
7回 伊吹千夏 (東洋④/道後②/晃生①)
7回 HIRO (東洋④/東寺②/小倉①)
6回 林里南 (東洋③/東寺②/広島①)
6回 聖京香 (広島③/東寺②/東洋①)
4回 若尾光 (ナニワ②/晃生①/道後①)
4回 北川れん (晃生②/まさご①/TS①)
3回 レイ若葉 (晃生①/ワラビ①/まさご①)
【2劇場】
25回 遠野こころ (東洋24/晃生①)
23回 川村あいね (東洋19/晃生④)
他は割愛
【1劇場】
27回 木城レナ (東洋27)
他は割愛
(2010年1頭~2013年9中)
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やはり、ホームの劇場は偉大だ。
広く薄く、目立たぬよう立ち振る舞っていた私も、ストリップ衰退の歯止めをかけようとする少しの使命感と、スト客特有のプライドだけが大きく、いざ表現の場を持ってしまうと、変な文章になっていったきらいがある。そしてホームの劇場があるとはいえ、観る踊り子はどう考えても隔たる。
私は少々、背伸びした観劇をしてしまったのかもしれない。身の丈にあった観劇が望ましい。東洋もあと少しで再開だ。しかし私はアイドル踊り子を好まない。そして盆ダンス禁止も好まない。
(敬称略)