手当たり次第観ていた2009年から2010年にかけて
「まだ結論出してはいけない、まだまだいるはずだ」
と東寺を含めた関西3館を可能な限り、目一杯私は手を広げていた。
つまらぬ大人の事情で、劇場へ「乗れる」「乗れない」の有無をわかっていたのかは、この時定かではない。
「まだまだいるのではないか」
その一点で私は身軽にそれぞれの劇場へと足を運んだ。
導き出された結論は、「篠崎ひめ」、「夏野かをり」、「岩崎彩菜」と、東洋では所属のこの3人のステージが鉄板であり、私の好みに当てはまったのであった。ステージの内容は、いずれもタイプは異なった。独創的な篠崎ひめ、圧倒的なダンス力を誇る夏野かをり。岩崎彩菜はその二人と明らかに違った。女性らしい丸みと細い体を兼ね備え、限りなく透明に近い白い肌に軟体動物よりも柔らかい体。慈愛に満ち溢れたそのベッドショーは、乾いた男達の心の隙間に潤いを与え、自然と笑顔になれた。アイドルアレルギーを今以上に持っていた当時でさえ、まるで美少女アニメのような面持ちもあり、そのベッドショーに私は釘付けになったのであった。そして私の好みには反して、何故かこの3人はいずれも東洋ではトリを務めることはなかった。
篠崎ひめ、夏野かをりは華々しく盛大に引退興行をし、踊り子人生を全うし、惜しまれつつ引退した。岩崎彩菜は、休業という形を取った。それも2度の休業。ポラの時は
「戻って来るよ」
と言ってファンと別れたが、あまりにも長すぎた。休業は戻って来る前提で暫く休むことであると、文字通り「休む」ことだと思うが、これが踊り子の場合は少々異なる。
「踊り子の休業は限りなく引退に近い」
と身を持って体験しているファンは、待ち続けるというより、私を含め諦めていたにちがいない。そしてこれだけ期間が空けば、今までの多くの踊り子の例がそうであったように、引退公演をせぬまま、自然と辞めたと皆が思っていた。
しかしながら、彩ちゅが戻って来た。実に3年半ぶりに東洋に乗るであった。こんなにも嬉しい、心震わす復帰はあるまい。
ステージ外では一切愛想をふりまかない踊り子も多く観てきた。しかし彼女は晃生の長い階段を、実に楽しそうにニコニコしながら上っていたのも思い出す。内面から漲る愛の力が滲み出ているように感じたものだ。
復帰したステージが、何も知らないまま観ていた時より、劣化していたと感じたならば、一度だけ観て帰るつもりだったのだが、その心配は全く必要なかった。やや細くなったスタイルに、往時を彷彿とさせるベッドショーには、当時よりも大きな感動を覚えた。休業中も高いレベルのレッスンを繰り返していたにちがいない。
ステージ中あれ程煩かった、周防客が
「これがストリップなのか」
と舌を巻き、愛でている呟きが漏れた。もっとも美しい彩ちゅのスワンを観ようものなら、知らぬ世界に興味本位で飛び込んで来た人間でさえも、魅了されたのであろう。
2015年8中 東洋ショー
(香盤)
1. 伊吹千夏 (東洋)
2. 青山ゆい (東洋)
3. 桃瀬れな (東洋)
4. 岩崎彩菜 (東洋) 復帰♪
5. 水元ゆうな (東洋) (1日~15日)/周防ゆきこ (東洋) (15日~30日)
2演目:桃瀬れな/水元ゆうな
1演目:伊吹千夏/青山ゆい/岩崎彩菜/周防ゆきこ
伊吹千夏さん
☆バ-レスク
バイクで颯爽と現れ、バーレスクダンサーとして、舞台に立つストーリー物。
仕事を終えると、盆で着替え何事も無かったようにバイクで去っていく。
青山ゆいさん
☆永遠
ピンクの花が沢山付いたホワホワの白いドレスにピンクのイシスウイング。ゆっくりとした動きの中から、一枚脱ぐと白のブラに白のロングスカート。白のヴェールで顔を隠し、激しいダンスを魅せる。
バレエのダイナミックな動きでラストへ。
膝の調子が良くないみたいなので心配ですね。
桃瀬れなさん
☆レディれなちゃん
黒と赤のドレス姿。スカートを手に持って踊ると、黒いガーターと黒のロングブーツを魅せ、激しいダンスから始まる。ベッドではオナベ。最後はポーズを切る。
格好良い洋楽で全曲を構成されてある。れなちゃんの大人っぽいステージは初めて観たかな。
☆ピース
ブルーと白の水兵さん。元気いっぱいのダンスから、曲が変わると、向日葵を持って登場。その向日葵を渡す相手を選ぶ。れなちゃんが一輪持ち、ベッドショー。
とても激しいダンスから、観ていてとても楽しいステージでしたね。
岩崎彩菜さん
☆復帰作
白いドレス姿に白のロングブーツ。洋楽の両手に白い布を持ち華麗にダンス。曲が変わると、本舞台にシルエットに映し出され、ゆっくりとした舞から盆入り。綺麗なベッドショー。
後から暗がりの中のメモを観たら、
「ダンス-白ドレス、ベッド-スワンキレイ」
としか書かれてないから、なんら一見レベルと変わらない(笑)。
それにしても綺麗なベッドショーで、なんとも気持ちの良いラストで締めくくりますね。余韻で動けないぐらい(笑)。
水元ゆうなさん
☆胸にリボンの付いた水玉の白のセパレート姿で登場。ゆっくりとした動き。青と銀のドレスに変わると激しくダンス。曲が変わると、シャワーを浴びるシルエット。バスタオルを巻いて出てくると、椅子に座り、色っぽくクリームを全身に塗り誘惑。ムードのあるバラードでのベッドショー。最後はバスタオルを巻いて、ポーズを決める。
お正月とG.W.お盆興行と言えば、水元さん。全国に多くのファンを持っている。ムーディーなバラードでポーズを決める様は、東洋のトリに相応しい。
周防ゆきこさん
☆SORA
ブルーと白のキラキラしたドレス姿。頭にはウサ耳。青い星の付いたステッキを持ちゆっくりとダンス。曲が変わると、オレンジと白のフワリとしたワンピース姿に。花道を手を振りながら回転盆まで元気に走り回ります。暗転後、胸に白の大きなリボンの付いたピンクのドレスに変わり、盆入り。脱いだ衣装を抱きしめ、ポーズを決める。ベッドでの切ない表情で、客席を見つめるのが印象的。
客席が良く見えていますね。これからが期待が持てますね。劇場に乗り続けてくれれば、良いのですが。
仕事を終え、十三のジムへ行くのが私の日課となっている。出るのはだいたい21時半で、そこから買い物をして、晩飯にありつけるのが23時。寝るのは午前1時前で、早朝5時に起きる。仕事の日はこれが十数年続いているから、何も思わないし、何も感じなくなった。
HPを何気に見ていたら、十三のすぐ傍の東洋が21時45分からの夜間割りだと気が付く。普段はその近さゆえ、夜間割りなど関係無く、これが盲点であった。東洋は23時ピッタリに終演するから、生活リズムを1時間半スライドしたら良いだけだと気が付く。まぁ、寝るのはもっと遅くなるのだが(笑)。帰り道にちょっと寄るだけ。それを今週3回も繰り返した(笑)。ジャスト21時45分ピッタリに2000円客として入ると、桃瀬れなちゃんのなんとも盛り上がる、向日葵の出し物の2曲目に、全てブチ当たった。
「少しぐらいは押せよ」
と、どんな客入りだろうと、恐ろしく進行通りのタイムテーブルを進めるが東洋ショーの魅力でもあろう。
「あと3分で良いんだ。それも無理なのか」
と、あれ程時間押しが嫌いな私でも、この時だけは東洋のピッタリ進行を身勝手ながら妬んだ。
生きて行こう どこかでまためぐるよ 遠い昔からある場所 夜の間でさえ 季節は変わって行く 雨はやがてあがっていた “記憶の中でずっと二人は生きて行ける” 君の声が今も胸に響くよ それは愛が彷徨う影 君は少し泣いた? あの時見えなかった
観劇日:8/13(木)ほか