ロックの踊り子に対する漠然としたイメージとして、「いやらしさを特に感じない」というのが当初の私にはあった。ロック館というのが存在しない関西の劇場において、東洋か東寺でゲストとして呼ばれる一部のロックの踊り子のみを、選択肢すらないままその2館で観ることになるのであるが、それも客がほぼ選ぶことが許されぬ東洋ショー1択で、たとえその時観たとしても、今後その踊り子の関西のコースが続くとは限らず、ギャラや人気、本人の意思など多くの事情が重なり、どうしても関西にいればそれは疎くなる。ステージにおけるフォーマットと言おうか、テンプレートと言おうか、多くは客受けするようなステージ構成にしているのであろうが、それがポーズベッドで締めくくるそのステージに、観る機会も少ないこともあり、私はパターンの幅が狭いように早々と結論付けていた。


そして応援客というのも似たようなものがあり、

「ロックこそがストリップだ」

というような場内における空気を、誰もが一度でも感じたことがあるであろう。

12年の浅草で篠崎ひめちゃんが浅草の舞台でオナベッドや、フリーダムにまるで音に身を任せるように、気ままに踊っていた時、非ロック客として私には、ある種誇らしく思えたものでもあった。

そうは言いつつも「いやらしさを特に感じない」というそのステージに、魅せられる部分も多く、楽しめて、そして深い感動もあるものであるから、ストリップは殊更奥が深いとも言える。


エロ目的で観劇始めた私には、そのスタートラインが他の人とちがう。

チnポがピクっとなったら、エロポラを撮っていた、のどかに観劇をスタートした私には、礎のしっかりとした、芯のあるダンスからのベッドショーは、数年の時を経てそれが虜となる。趣味としてのストリップは仕事を一瞬でも忘れるものであることに違い無いが、観劇の目的が明らかに転じていったにちがいない。

昨年引退された吉沢伊織さんのステージは、今思い返しても武者震いするような素晴らしいステージであった。引退を決意した踊り子の凜とした佇まいに、清々しいまでダンスからベッドまで1本の糸に結ばれているような、そこには踊り子そのものの集大成のストーリーがあり、それを客は記憶に焼きつけた。

私は加瀬あゆむさんを201210中でソロを2巡観ている。その後、20134月の浅草で一度。かんなさんは201012中で観ている。その週、豊田せりかさんとの「チーム桜‘NBOU」というのをやっていた。あゆむさんは3年ぶり、かんなさんは5年半以上も開いた。

その時のメモには

「チームショーは素晴らしかった」

と小学生でも書けるような恥ずかしい感想しか残っていない。

「ストリップなんざ、ダンスがキレキレ」

とさえ書いておけば、ブログでもツイッターでも、煙が立たないもので

「海老喰ってプリプリ」

と言っている食レポのようなもの。そんな恥ずかしい目を覆いたくなるようなものしか残っていない(笑)。それゆえお二人とも、過去のステージは思い出せない。その2人の踊り子がこの春に引退される。

一途な人には理解出来ないであろうが、私はどうも踊り子とは一途になれない性格にあるようだ。否、今後一途になるかもしれないが、観劇が7年をすぎようとしている今でも、ストリップは香盤というぐらいなのであるから、一人の踊り子では成立しないのではないかとさえ思っている。トップから観てトリで締めくくる。最後はオープンショーを観て終える。それが私のストリップである。

悠那を観ている時は、悠那が好きで、虹歩を観ている時は虹歩が、青山はるかちゃんを観ている時は、はるちゃんが一番好きなのだから、およそ他人には理解出来ないのであろう。

それがかつては、ひめちゃんであり、まみんちゃんでもあったわけだ。数を上げ出せばキリがない。到底一人なんぞに絞れる筈もなく、全てはステージを観た上でそう辿り着いたのであった。

そしてそれは先月東洋で観た、かんなさんでもあり、加瀬あゆむさんでもあったわけだ。それは物凄い熱量を持ってして惚れてしまったのだから、これだからストリップの魅力は始末に負えないものである(笑)。

あすかみみちゃんのブログで

「ゲストで呼ばれるんだから、2個は出したい」

と語っていたが、それは現在のそれぞれの踊り子の共通の認識かもしれない。10年に近いキャリアの踊り子2人が引退を間近に控えている。関西ラストは東洋ショーに決まった。東洋のHPは9割ぐらいの信頼度であるが、きっと記載されていない演目も観られることもあるかもしれない。きっとそれ以上の多くの演目が観られるに違いないと、大きな期待を持って私は、天満東洋ショーへと足を運んだ。

結果的に関西ラストの東洋では、かんなさんは4個、加瀬さんは6個と、当然ながら既知の演目などある筈もなく、それでいて全てが私の欲する出し物であった。

乳房の膨らんでいない汚れを知らない少女の処女性に魅力を感じることも無く、かといって最期を迎えるだけの老婆に性的魅力もあろう筈も無い。団地妻のような、およそ女の悦びを毎日貪りそれを醸すような女性に惹かれるのであり、かといって

「撮影したから見て」

というようなものも何か違う。内から漲り溢れ出るフェロモンに男達は引き寄せられるのである。お2人とも、ステージの上から女の色気の塊のようなものが、裸体から滲み出ていた。

「花魁」では、唾液が交わるような濃厚なベッドを演じる。「いやらしさを特に感じない」と私の過去の固い考えなど、この時ハッキリと消え去った。「ピエロ」では嬉し泣きしそうな、楽しくもあり、どこか寂しさも感じた。そして見事なエアリアルは東洋の見事な演出もあり、見応え十分であった。ダンスは言うまでもなくキレキレだ(笑)。お2人ともオープンショーも私好みで

「あぁ、あと2年ぐらいは一線で活躍出来るのではないか」

と、今が踊り子としての全盛にちがいないと思えた。もっと観たいと思わせる踊り子でもあった。

そして最後の深いお辞儀は好感しか抱かせない、心地良い空気が場内を包みこんだ。

「踊り子は近くにありて遠くにあるもの」

手を伸ばせば届きそうで、そのステージはあまりにも遠く、そして神々しいものでもある。どうして引退が近い踊り子には、背中に羽根があるようにも、そして後光が差しているようにさえ観えるのであろうか。

3月と4月はいつものように私に連休は無い。関東には行けず、東洋にてお別れとなった。大阪からお二人の怪我の無いように、盛大な引退興行をと切に願いたい。




20162中(~15) 東洋ショー

(香盤)

1. 上野綾 (東洋)

2. 宮野ゆかな (TS)

3. かんな (川崎) 関西ラスト

4. 渚あおい (東洋)

5. 周防ゆきこ (東洋) 引退

20162中(~20) 東洋ショー

(香盤)

1. 上野綾 (東洋)

2. 仲間直緒 (東洋)

3. 宮野ゆかな (TS)

4. かんな (川崎) 関西ラスト

5. 加瀬あゆむ (川崎) 関西ラスト

20162結 東洋ショー

(香盤)

1. 青山ゆい (東洋)

2. 仲間直緒 (東洋)

3. 川村あいね (東洋)

4. 北川れん (道頓堀)

5. 加瀬あゆむ (川崎) 関西ラスト



6演目:加瀬あゆむ

4演目:かんな

3演目:周防ゆきこ/上野綾

2演目:宮野ゆかな/渚あおい/川村あいね/北川れん

1演目:仲間直緒/青山ゆい



観劇日:2/12(金)/2/17(水)/2/24(水)/2/28(日)