最近つとに思う事がある。

ステージの大きな流れとして、エアリアルが増えてきた。はっきり申し上げると、これを私はあまり好きになれない。
一応、
「凄いねぇ~」
と皆の意見に合わすのだけど、本音は好きではない。
構成上、エアリアルがメインとなるところがどうも気に食わないのである。

どちらかと言うと、美しいベッドショーや色気のあるベッドの方が好きで、そこからの立ち上がりこそがストリップの醍醐味だと思っている。

とは言いつつも、2結の東洋ショーで観た、加瀬あゆむさんの白い着物の出し物におけるエアリアルは良かった。しっかりとしたベッドショーから、余韻を残しつつ最後に本舞台の幕が開くと、天井からティシューが垂れ下がっていて、思わず見入ってしまった。それに加え東洋の演出も素晴らしかった。しかしこの演目はベッドショーがメインだったように思う。

女性受け、一見受け、一般受け、そして常連受けが良いのはわかっている。
演目の「受け」こそがポラ売れにリンクするのもわかっている。こういうのはまず出来ない。でも何かが私の中では違う。香盤上、2人や3人もいらない。

勝手に決めた1年半の謹慎を経て、久しく行っていなかった2015年の3結晃生で、悠那がエアリアルをやっていたのには驚いた。驚いたというのは、やはり驚いたというのであって、ツイッターで情報を得ていたわけで
「あらためて驚きに行った」
という表現の方がその時の感情としては正しい。

「フェアリー」という出し物で、森の妖精が楽しげに舞っている時、雷鳴が響き渡ると、まるで豹変したかのように何かが降りて来て、エアリアルポールとなるものであった。

レッスンはしている情報は得ていたが、ここまで出来るとは思ってもいなかった。そしてその後も「フェアリー」を出し続けるが、最初に観た時よりも明らかに技が増えていく。ファーストインパクトを越える驚きが、観る度に続いていった。

しかしながら、凄いなとは思うのであるが私にはエアリアルがどうも好きになれない。まるで「天狗ベッドが嫌い」という、アイドル館の常連達のように。

しばらくして、悠那は晃生の天井の照明を、ポールをしている時に蹴落とした(笑)。
「悠ちゃん、やったねぇ~」
とポラで私が笑いながら言うと、
「今週、2回目。怒られる~」
と笑っていたのが懐かしい(笑)。こんなものは車を運転時における外輪差でバンパーを軽くこするもので大したことは無いが、しかし慣れてくると客は、より高い刺激を求めてくる。「ピエロ」の時のフープが、身を乗り出したカブリ客に当たるぐらいなら微笑ましいけれど、エアエリアルによる踊り子自身の事故が怖いというのもある。誰かが事故してからでは遅いのである。

私は仕事上ダンボールを大量に触るので、軍手をしていても手はカサカサで乾ききっている。ジムでバーベルなんぞも握っているから、豆だらけで手のひらに水分が全く無い。チンチnと肉体は10代でも、手のひらだけはまるで70代の爺さん。こんな手で愛撫しても気持ち良くなんかないであろう。まぁ、もっぱら舌技ですが(笑)。


そんな手で写真撮ってから握手すると、グローブを付けてポールを握っているにも関わらず悠那も手がカサカサになっていた。さすがに女の子の手は潤っていないとイカンでしょう(笑)。力学的に見てもポールの方が、ティシューやフープのよりも力を必要とされる。

「手はカサカサやし、体はアザだらけやし、ポールはあんまりやらん方がええで」
と私は言い続けたものの、
「そんなの言うの、たかぴょんだけだよ」
と素人の忠告などに聞く耳など、悠那ちゃんにはある筈も無かったですが(笑)。

昨年の周年作の「タイムトラベラー」を10頭の広島で観た。事前の情報からエアリアルフープがあるのはわかっていた。今はエアリアルに夢中だから今後のこの路線で行くのかと思っていた。

最初、観た時は悠那が意図するものがわからなかった。強いメッセージがあるのはわかる。途中、タイムスリップして過去の演目をこれでもかと再演するのであるが、そちらばかりに私自身目がいっていた。
「ほとんど観た出し物でしょ?」
と聞いてきたけれど
1つだけ観てないのがある」
と私は答えた。しかしこれはそういうのではないはずだと思っていた。広島では3個出しで、周年作を2回観られたのだが、はっきり言ってよくわからなかった。

その後何回か観ているうちに、
「なるほどそういうことだったのか」
と、こう理解するに至った。空中技は構成上演目の中頃にある。これが肝であった。普通、派手なフープ技など最後のメインにするものと思っていた。過去の演目にも目が行く。でも違った。意図はそこでは無かった。

フープを終え現代に戻って来た時、悠那は一瞬我を忘れているのだ。今の、現在のその状況を飲み込めない。フープに振り回され、前のめりなって過去から現代に引き戻されてきた。自分の姿を見ると、
「さっき、踊っていたのと同じ衣装だ。今、踊っている途中なのだ」
とその時やっと気付くわけである。その後の何ともパワフルで楽しげなダンスは、客全員をハッピーにさせてくれるのはご覧の通り。今を力強く生きるという躍動感と高揚感はたまらないものがこの演目にはあった。

エアリアルがメインでは無かった。これぞ悠那の真骨頂、ストーリーのある出し物とはこういうことだと思わす、まさにそれは大作であったとは数ヶ月たってからやっと私は気付いたのであった。

「ははは。悠ちゃんやっぱり凄いわ。さすが俺の愛する踊り子やわ」
と、嫌悪感があった空中技の見方が変わった瞬間でもあった。解釈が違うかもしれませんがご容赦下さいね。受け手はそれぞれの感じ方があっても良いですから(笑)。

2
中は劇場に東洋と晃生へ2度ずつ4回行く予定をしていたので、冒頭のホワイトデーのつまらぬ話と短い演目レポでブログは書けるかなと思っていた。14日の引退発表の後、17日に晃生ショーに私は行った。初日には行ったのだけど、全員が2個出しだったので、記憶が曖昧になっていたのと、出し物も増える可能性もあったからであった。結果的に虹歩さんは出し物が1つ増え3個出しになっていた。虹歩さんのステージを観ている時は心が奪われるも、ポラの時に

「大丈夫?元気出して」

と励まされた。

「自分なんか間が空いての6年ですから」

と私は答えた。

「大和は?TSは?」

「連休が取れないので厳しいです」

社会人なんてそんなものだ。付き合いの長さは、別れの時の悲しみが比例し付きまとう。虹歩さんの方が私なんかよりもっと辛いであろう。

「こんな時こそ客が無理する時だ」と関東にいる先輩からメッセージを頂いた。それはわかっているものの、私はG.W.に連休を取れるような会社では無く、ラストの渋谷で押せば1回で帰阪しなければならない可能性も出てくる。4結の広島ぐらいなら大阪から日帰りでも行けよう。限られた観られる日を出来るだけ楽しみたいと考えている。

13年もやれば立派。引退興行もホームでやる。これ以上求めるものは何も無い。ハッピーに明るくお別れしたい。



(コース)

3/2131 大和ミュージック

4/110 TSミュージック

4/2130 広島第一劇場

5/110 渋谷道頓堀劇場 (引退)