広島とTSの廃館が決まっており、その4枠や6枠なりが無くなる大きさは、予想するよりも大きいようにも思える。業界全体のこの下降線を一刻も早く止めたいが、一ファンとしては、なるべく多くのステージを観て行くことに今年も変わりはない。

 

ストリップの未来そのものを憂えているが、ここで過去の演目については取り上げない。2016年の総括として、昨年観た踊り子の演目で、尚且つ私自身が初めて観た作品に限って選出した。ゆえに現役の踊り子に限っていえば、タイミングが合えさえすれば、誰でも、今年も観られることも可能である。私の評価基準に言い逃れの出来ないものとなっている。過去の名演目について語るのは楽である。HIKARUの「花魁」、篠崎ひめの「ラブレター」、ゆのの「エレジー」など。それらは時間が経つとより美化され、その淡い思い出が殊更強固なものとさせる。それはこの場では望まない。年を取ってから、増えすぎた写真を眺めながら語らい合えば良いのである。

 

私の評価に満足しない読者はたくさんおられると思う。それは当然のことであり、その反発からそれぞれの価値基準について思いめぐらせていただければ、私の目的の過半は達したこととなる。

 

 

【演目ベスト10

柏木由紀奈(ロック座) 「Honno-」 11頭 in 東洋ショー

葵マコ(東寺) 「ハレハレホー」 7中 in DX東寺/7結 in 広島/9中 in あわらM 

あすかみみ(ロック座) 「ハロウイン」 11頭 in 東洋ショー

匠悠那(道頓堀) 「シンデレラ」 2頭 in 東洋ショー/5頭 in 渋谷道頓堀

青山はるか(晃生) 「かぐや姫」 1/11中 in 晃生ショー

真白希実(浅草) 「竜宮城」 10中 in 東洋ショー

あすかみみ(ロック座) 「暴走幼稚園児★みみたん」 3中 in 東洋ショー

石原さゆみ(道頓堀) 「夏の演目」 8頭 in 晃生ショー

小宮山せりな(浅草) 「フォーリンラブ」 12頭 in 東洋ショー

羽音芽美(晃生) 「シャボン玉」 9/12結 in 晃生ショー

 

柏木由紀奈 「Honno-

一年に一回、無謀な試みとしてその年の演目のベストを選出するわけだが、何年が経とうと、これらのステージが思い出されるに違いない。今年の一位は柏木さんである。

本能を表現するのに、ストリップのステージでゆきなんは尼を選んだ。雨に濡れた体を拭い取ると、何かが降りてきたかのように、突如狂い出す。湧き上がる衝動に、今までのスト観を根底からグラつかせる。開いた口が塞がらなかった。天才の内に潜むと狂気とはこのことであり、それはまさに紙一重である。和訳してもそのステージを理解出来ぬ楽曲に、「ストリップとは感じるものだ」という熱いものを覚えた。

信頼する知人四人に

「東洋で柏木さんが狂った演目を出しています。解説して下さい」と連絡したのはここだけの話。この週は東洋へ4回行った。定型文のようなポラだったのも最後には感謝のコメントが書かれてあった。やはり良い踊り子というのは客を見ている。

 

ストリップの面白さは毎年のように更新されていく。当然ながら2016年が一番面白かった。今後は、そうは思わなくなるのではないとさえ思え、それを覆すような演目であった。柏木さんは20年先を行っていたのかもしれない。こういう演目を観てしまうと、やはりスト観劇は止められなくなる。

 

葵マコ 「ハレハレホー」

新芽が天に向かってどこまでも勢い良く昇っていく。それはまるで天井を突き破らんばかりの成長だ。蔓が、生命に力強い息吹を与える。人々に豊穣の恵みを、幸福をもたらす。掴みどころのないようなリズムからは、現代のダンスのようでもあり、古代の儀式の様にも思えた。「ステージに愛を感じる」というのはこのことを言うのであろう。

 

あすかみみ 「ハロウイン」

季節外れというのが、私は嫌いである。「終わったイベントなど~」と斜に構えていたが、すぐに前のめりとなった。そして1週すぎたぐらいでグタグタ言っている私の了見の狭さを恥た。ハロウインという祭事が、ステージでの題材として使いやすい部分もあったのであろう。アメリカのホラーコメディのようにも思え、笑いあり恐怖あり、そして骸骨とお板するところは、まさにストリップそのものとも言えよう。何よりもそのステージ構成の素晴らしさに舌を巻いた。後味の良いラストも心地良かった。

「こりゃあ、嵌るわ~」と女性のお客さんが言っていたのが忘れられない。

 

匠悠那 「シンデレラ」

悠那の現役最後の演目。召使いが、瞬きしている間にあっという間にシンデレラへと変身する。細部まで練り込まれた傑作である。長く悠那ちゃんを観て来たが、直近の演目のどれも素晴らしかった。ホームで引退興行もやり、ここまで完璧な演目を創り続けたなら、ファンも納得せざるを得なかっただろう。最後まで踊り子匠悠那を貫き通した。

「あなたは踊り子としての最高を求めて来たんだろ。その瞬間を感じましたか?」と聞きたかった。

 

青山はるか 「かぐや姫」

1週しか出せない周年作、その週に2度目の休業を発表する。そこまでしてステージで何かを残したいという強い思いが伝わり、酔いしれた。月を見つめる眼差し、そこから美しいベッドショーへと展開していく。月へ戻り、もう還って来ないと思っていたが、11中に無事快気し復帰する。ファンとしては嬉しかった。

 

 

【記憶に残った演目】

望月きらら(晃生) 「ドリームガール」 1頭 in 晃生ショー

左野しおん(道後) 「ピンクのドレス」 1中 in 晃生ショー

榎本らん(東洋) 「R☆Cafe」 1結 in 東洋ショー他

かんな(川崎) 「To Wing」 2中 in 東洋ショー

かんな(川崎) 「バーレスク」 2中 in 東洋ショー

加瀬あゆむ(川崎) 「バーレスク」 2中 in 東洋ショー

加瀬あゆむ(川崎) 「ROCK FES」 2中 in 東洋ショー

かんな(川崎) 「花魁」 2中 in 東洋ショー

かんな(川崎) 「ピエロ」 2中 in 東洋ショー

加瀬あゆむ(川崎) 「白い着物」 2結 in 東洋ショー

加瀬あゆむ(川崎) 「ナース」 2結 in 東洋ショー

加瀬あゆむ(川崎) 「赤い着物」 2結 in 東洋ショー

白砂ゆの(ロック座) 「花魁ワルツ」 3頭 in 東洋ショー

柏木由紀奈(ロック座) 「八百屋お七」 3中 in 東洋ショー

あすかみみ(ロック座) 「キュティーフェアリー」 3中 in 東洋ショー

石原さゆみ(道頓堀) 「さくらんぼ」 3結 in 東洋ショー

柏木由紀奈(ロック座)「小料理ゆきなん」 4中 in 東洋ショー

清水愛(川崎) 「GENESIS ~終わりの始まり~」 4結 in 広島第一

虹歩(カジノ) 「赤い着物」 5頭 in 晃生ショー 

来夢(晃生) 「デビュー作」 5頭他 in 晃生ショー

美月春(道頓堀) 「あんみつ姫」 6結 in晃生ショー

雪見ほのか(川崎) 「ちょうちょ」 7結 in 広島第一

吉田花(東洋) 「周年作」 7結 in 東洋ショー

武藤つぐみ(ロック座) 『Once Upon a 1st season 6景「星の銀貨」』 9月 in 浅草ロック座

榎本らん(東洋) 「Money Monste RC」 9中 in 東洋ショー

虹歩(カジノ) 「人形」 10in晃生ショー

真白希実(浅草) 「赤ずきん」 10中 in 東洋ショー

藤月ちはる(川崎) 「ちはりEva期」 12in 東洋ショー

小宮山せりな(浅草) 「せりなバニー」 12頭 in 東洋ショー

 

※演目名がわからないものについてはそのイメージとした。

 

【オープンショー】

来夢(晃生)

春野いちじく(TS)

榎本らん(東洋)

青山はるか(晃生)

柏木由紀奈(ロック座)

雪見ほのか(川崎)

橘メアリー(道頓堀)

 

来夢ちゃんは初々しさと色気を兼ね備えている。

劇場へは踊りを観に行っているはずなのだけど、私の中では、オープンショーは別に踊らなくても良いみたい(笑)。

 

 

【踊り子編】 お会いした踊り子は117名(桃色組素人は含めない)

11回 望月きらら

 9回 渚あおい/上野綾

 8回 柏木由紀奈/匠悠那

 7回 石原さゆみ/左野しおん/仲間直緒/榎本らん

 6回 愛野いずみ/青山ゆい/あすかみみ/寿恋花/坂上友香/さつき楓/空まこと/浜崎るり/美月春/水元ゆうな/来夢

 5回 葵マコ/伊吹千夏/川中理紗子/清水愛/園田しほり/虹歩/真由美/美里麻衣/宮野ゆかな

 以下省略

 

毎年のことながら、好まざるとも地元の劇場に乗る踊り子が多くなる傾向にある。当然ながら関西で観られる踊り子が、必然的に多くなる。

 

 

【劇場編】 9劇場で68

34回 東洋ショー

24回 晃生ショー

 4回 広島第一劇場

 1回 渋谷道頓堀劇場/DX東寺/大和ミュージック/浅草ロック座/まさご座/あわらミュージック

 

わざわざ遠くを探さずとも、美味はいつも身近にある。とは言いつつ、今年の2連休が5回あり、その内4回が遠くの外食へと行った。後の1回は晃生に2日連続行くという充実ぶり(笑)。残念ながら今年閉館する、TSミュージックと広島へはもう行けないだろう。

 

入場料を考えれば東洋のみの観劇だと金はたまるが、それはきっと今年も無理にちがいない。東寺が毎回プロ香盤をやってくれたら選択肢が広がると思うが、なかなかそうはいかない。

 

ポラの枚数はカウントしていない。おそらく「劇場回数」×「4枚」程度と思っている。乱雑に閉まってあるポラの山を整理するのが年始の仕事と毎年の恒例となりつつある(笑)。

 

(敬称略)