○大西委員長  次に、鈴木貴子君。

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○鈴木(貴)委員  皆さん、改めまして、おはようございます。

今日は、理事、そしてまた委員の先生方のお計らいで、私もこの内閣委員会にて委員外質問、機会を与えていただきましたこと、特に、お声をかけていただきました藤井理事、そしてまた国対の先生方にも、心から感謝をまず申し上げさせていただきたいと思います。

私は、この孤独・孤立対策、自らのライフワークの一つとして取り組んでまいりました。

遡れば、二〇二〇年の十一月だったと思いますが、先ほど、あべ先生の御質疑の中にもありましたように、二十四時間三百六十五日、相談窓口をやっている、あなたのいばしょの大空さんから、 このままでは自殺者数が過去最悪になる、これは大変ゆゆしき事態である、こんなお話をいただきまして、その足で、当時の官房長官だった加藤勝信先生のところに問題意識を共有させていただき、そして二週間後には自民党の若手有志の先生方で勉強会を立ち上げさせていただき、年明けの二月には対策室、そして大臣設置へとこぎ着けさせていただいた、こういった経緯も持っているところであります。

この孤独、孤立、今日、大臣ももちろんそうでありますし、大西委員長を始め、今日、委員の皆さん方、それぞれの皆さんが孤独にさいなまれた経験というものは誰しもが経験をしていることと思います。しかしながら、今こうして我々がここにいることができるのは、友達であるとか家族であるとか、何かのちょっとしたきっかけであったり支えがあったと思っています。

しかしながら、そういったものを運であるとかきっかけに頼るのではなくて、社会全体でやはり支えていく、どこに誰、いついかなるときにも、どこにどんなときに生まれようとも、あなたの命というものは貴いんだというメッセージを出していく、そういった意味でも、孤独・孤立対策、ましてや今回の推進法というものは大変意義がある、このようにも思っております。

ただ、一方で、やはり指摘を、指摘というか、私自身、問題意識を感じているのは、国民の皆さんにまだ孤独・孤立対策、政策というものがしっかりと認識、共有ができていないのではないか、政府との心合わせができていないのではないのかな、こういう点であります。

政府がフォーカスをしようとしている孤独、孤立の違いというものを伺おうと思ったんですが、あべ先生の質疑でその点触れていただいたところでありますので、質問の二の方に早速移らせていただきたいと思います。

孤独・孤立対策、これまでの既存の、例えば社会福祉であるとか、若しくは引きこもり対策であるとか、虐待だとか、いじめ、自殺対策、こういったものと一体何が違うんだ、こういった声も聞こえてくるところであります。是非とも、これまでの政策若しくは施策との違い、特徴若しくは関係性といったところでも結構です。改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

 

○小倉国務大臣  お答えいたします。

孤独、孤立は、その性質上、当事者等が置かれている具体的な状況は多岐にわたります。孤独、孤立の感じ方、捉え方も様々です。こうしたことに鑑み、政府の孤独・孤立対策においては、対策を始めた当初から、当事者等が望まない孤独と孤立を対象として、それぞれの状況に応じた多様なアプローチや手法により取組を進めているところであります。

他の各種支援施策との違いについて御質問がございました。

既存の福祉、経済的困窮施策、引きこもり対策などの各種支援施策は、具体的に起こる問題に対応する、いわゆる課題解決型の支援を行うものであります。他方で、孤独・孤立対策では、こうした対応のみならず、孤独、孤立の問題や、それらから生じ得る更なる問題に至らないようにする予防の観点からの取組が重要と考えております。

このため、例えば、日常の様々な分野において緩やかなつながりを築けるような、多様な各種の居場所づくりの推進などに取り組んでいきたいと考えております。

 

○鈴木(貴)委員  ありがとうございます。

今も大臣の御答弁の中にもありましたし、また、重点計画の中でも、我々が対処していく、まさにこれは国民の皆さんの税金も使わせていただくわけでありますから、この孤独、孤立というのは、大臣がおっしゃったように、望まない孤独、孤独感によって精神的な苦痛であるとか、精神的、身体に何らかの支障が、影響があるような状況、そしてまた、望まない孤立ということ。

この望まない孤独と望まない孤立という表現は、私は非常に分かりやすいなと思っております。広報といいますか周知の段階でも、こういった説明ぶり、引き続き取り組んでいただきたいと思っておりますし、既存の取組もまさに生かしていきながら、別に、何か完璧に一〇〇%新しいものとかではなくて、これまでの既存のものも生かしていきながら、縦割りの弊害といったものも乗り越えながら、各省庁、また横串も刺していき、予防という観点を盛り込んでいく、このポイントというのは非常に重要だと思います。

孤独、孤立をやっていると、自民党は何かまた価値観を押しつけてきているんじゃないのかというように時々言われるんですね。お一人様、例えば一人で旅行に行くことが駄目なのか、常に誰か人と一緒にいないといけないのかと。我々は決してそんなことを言っているわけでもないし、政府としてもそういったことに取り組んでいるわけではない。

そういった中で、やはり、苦しんでいる、若しくは孤独に溺れてしまう状況、こういったものに対して必要なときにしっかりとアプローチをしていける、その環境整備は非常に重要だと思っています。

ただ一方で、これまでの孤独・孤立政策、ともすれば、これまでの政策をただただ並べてきたのにすぎないのではないのかという御指摘もあると思います。重点計画などでも、関連施策という形で、約二百を超える事業というものが添付をされております。

これは今後、例えば、先ほどもありましたが、官房から内閣府に移行をしたときにも、ただ単に施策の取りまとめであっては本末転倒である。今の大臣の答弁を踏まえても、やはり本末転倒である。全てのあらゆる施策、あらゆる取組に対して、孤独対策、望まない孤独、望まない孤立対策という視点をしっかりと入れ込んで、その事業をブラッシュアップしていく、こういったことが必要なのではないのかな、いわゆる孤独、孤立のメインストリーム化ということが一つの肝ではないのかな、このように考えますが、いかがでしょうか。

 

○小倉国務大臣  法案の基本理念でも定めておりますとおり、孤独、孤立の問題は人生のあらゆる段階で何人にも生じ得るものであり、孤独、孤立の問題が社会全体の課題であるとの認識の下で、社会のあらゆる分野において孤独・孤立対策の推進を図っていくことが重要と考えております。

このような基本理念の下で、今後の孤独・孤立対策においては、鈴木委員が御指摘をされましたとおり、既存のあらゆる制度、施策に孤独・孤立対策の視点を入れて取組を進めることが重要と考えております。

実際に、昨年九月に開催をした、私が議長を務めます孤独・孤立対策推進会議におきましても、私から各府省庁に対して、孤独・孤立対策の視点を入れて、各種施策の充実強化により一層取り組んでいただくようお願いをしたところであります。

今回の法律の施行後におきましても、内閣府の企画立案及び総合調整機能を発揮することで、孤独・孤立対策の視点を組み入れた施策の推進に努めてまいりたいと思っております。

 

○鈴木(貴)委員  ありがとうございます。まさに視点を入れ込むと大臣からもおっしゃっていただき、大変心強く思っております。

先ほど、あべ委員の御質問の中でも、例えば住対策、住まいの話もありましたが、今、重点計画の中でも、国交省の住宅局から出しているものは、やはり経済的に困窮にある者が住まいを確保するのに様々な困難を抱えている、そこをしっかりとサポートしますというような形で、どうしても経済困窮とセットになっているような節があると思います。これをメインストリーム化することによって、例えば、地域づくり、町づくり、こういったところにも人が交流をしていく、人の動線というんでしょうか、人が必ず交わるような状況をつくっていく、こういった視点というものをしっかりと入れていく、これも大事なのではないのかな、こんなふうにも思っております。

例えば公営住宅などでも、公営住宅の一階に、例えば市役所なり役所機能の分所というんでしょうか、支所機能なんかを持たせる、フリーで誰もが使えるパソコンだとか印刷機を置く、インターネット、WiFiの環境を整備する、こういったこともしっかりと孤独・孤立施策、かつ、それは決して経済困窮の皆さんだけではない、一億二千万人全ての日本人の方に対してのサポートである、こういったようなメッセージというものを是非とも出していただきたいと思いますので、大臣、期待をしております。よろしくお願いをいたします。

そこで、周知の関係でもある国民理解の醸成という点で、強化月間というものを設けられると記載がされております。来年の五月からということでありますが、強化月間、毎月のように何か様々、何ちゃら月間、何ちゃら対策推進月間とあると思うんです。これはしっかりと、目的、そして又は目標というものを持って取り組むということが非常に重要だと思いますが、この点について是非教えてください。

 

○山本政府参考人  お答えいたします。

孤独・孤立対策強化月間は、支援を求める声を上げやすい、声をかけやすい社会の実現に向けた取組の一つとして、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの分科会が昨年十月に提言したものです。

この強化月間は、関係団体や地方自治体を広く巻き込んで、全国各地で集中的に孤独・孤立対策の関連イベント等の取組が行われることにより、孤独・孤立対策についての理解、意識や対策の機運を社会全体で高めていくことを目的としております。このように、全国各地で関係者を巻き込んで取組を行うためには準備期間が必要なことから、強化月間の本格実施は令和六年五月としています。この強化月間を効果的に実施するためには、本法案の基本理念を踏まえつつ、孤独、孤立の問題は社会の全体の課題であることを中心のメッセージとしたり、孤独、孤立の実態調査を踏まえ、孤独感が高い傾向がある年代に向けた取組を中心に据えるなど、メッセージ性やターゲットを設けることが考えられているところです。

どのようなメッセージやターゲットが望ましいか、目標の在り方も含めて、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの関係団体と連携し、令和六年五月の強化月間の実施に向けて検討してまいります。

 

○鈴木(貴)委員  山本室長、今、目的の点はよく御説明もいただき、そしてまた、目標については今後もしっかりと議論をされていくということでありました。

是非、目標はやはり大事だと思うんですね。目的があるのは当たり前。あとは目標、しかもその 目標というものが可視化をしていくということだと思います。まさに地域を、いや、社会を挙げて、一人一人の力で目標を達成していくんだ、政府が決してこれは政府だけで頑張る取組ではないと私は思っております。

そういった意味で、例えば、地方自治体のホームページに、孤独、孤立のページに直接飛ぶバナーですとか、それを全市町村の公式のホームページ、若しくは例えば社協さんのページ、こういったところにバナーを必ず張ってもらう、これの一〇〇%達成を目指すみたいな分かりやすい目標というものに是非取り組んでいただきたいなと。これはお金のかかる話でもありませんので、是非こういったものも考えていただきたいと思いますし、私もしっかりと党の中で声を上げてまいりたいと思っております。

続いて、孤独、孤立は、決して日本に住んでいらっしゃる日本人のみならず、在外邦人、いわゆる海外にお住まいの日本人の皆さんの孤独、孤立、考えていかなくてはいけないと思っております。というのも、現実問題として、事実として、在外邦人の死亡理由の第二位が自殺であります。これは、ここ最近の傾向ということではなくて、長きにわたっての特徴であり、しっかりと対策を取らなくてはいけないと思っております。

外務省の取組、これまでの、在外邦人ですから海外邦人安全課の皆さんが中心だと思いますが、これまでの取組ですとか、若しくは、在外邦人の相談というもの、今、体制を組んでいただきましたが、例えば、とある国、中国は日本人が多いわけでありますが、中国からのチャットを使った相談件数とかというのはやはり低いというようなことが挙げられていて、もしかしたら、相談のアクセスというところで、やはりそれぞれの国の体制であるとか情勢、状況によってしっかりと担保がされていないのではないのかというような指摘もあるところであります。

国ですとか地域によらず相談ができるような環境整備、整えていくことが重要だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

 

○松尾政府参考人  鈴木委員の御質問にお答えいたします。

在外邦人の保護、支援は外務省の最も重要な責務の一つであり、各在外公館の領事自身が在外邦人からの個別の相談に応じるなど、問題の解決に向けて取り組んでおります。

また、外務省は、在外公館に派遣している医務 官が電話などで相談を受け、現地医療機関についての情報提供や適切な医療を受けるための支援を行っているほか、相談件数が多いロンドン、パリ、ソウル、シドニーの四公館では日本語で診療が可能な精神科専門医と顧問医契約を結び、必要に応じて在外邦人の支援を行っております。

さらに、外務省は、SNS等で在外邦人からの相談を受け付けている国内五つのNPOとの間で緊急連絡体制を確立するなど、NPOと連携した取組を進めてきております。

また、充実した相談対応につなげるためには、在外邦人の実態の把握、分析も重要と考えており、今後、在外邦人の孤独、孤立に関する実態調査を実施することとしております。

外務省としては、これらの取組を通じ、孤独、孤立問題を始め、悩みを抱えた在外邦人に対するきめ細やかで実態に即した邦人保護の実施に努めていく考えであり、今後も必要な施策を不断に検討してまいりたいと考えております。

 

○鈴木(貴)委員  松尾参事官、御丁寧な答弁、ありがとうございます。ただ、今、松尾参事官が外務省でこれをやっていますと言ったのは、鈴木貴子外務副大臣がいたときに外務省のお尻を愛のむちでたたかせていただいた結果だ、このように認識をしております。例えば緊急連携体制なども取組をしていただいておりますし、もっともっと是非、参事官、拡充、ちょっと真後ろであれですけれども、よろしくお願いをいたします。

そして、実態調査、今、参事官いみじくもおっしゃっていただいたんですが、大臣、実態把握、 今、二年目、取り組んでいただきました。この孤独、孤立の実態把握の中に、在外邦人が入っていないんです。ですから、外務省の予算で、外務省の取組として今これを進めているわけであります。これは、本来であれば孤独、孤立の傘の中でやはり一体として取り組んでいく、そういったことが、日本政府としては、在外邦人、海外で日本のため、日本の国益を背負って、時には日の丸も背負って 頑張っている皆さんの安心、安全をしっかりと守 っていますという、必要なメッセージにもなるんだと思っております。是非、こういったところ、引き続きの更なる連携、どういった枠組みがいいのか、発信の在り方がいいのかという点、不断の議論というものを重ねていっていただきたいなと思っております。

ここで、今、外務省からも、在外邦人の孤独、孤立の問題、非常に重要だ、安心、安全、大事だという話があったんですが、今般の法律で、孤独・孤立対策推進会議が、孤独・孤立対策推進本部と、組織が改組、改変をされます。ぱっと見て、これは組織として後退をしているんじゃないかという思いを私は持っております。

というのも、実は二〇二一年の三月の予算分科会の質疑で、当時、坂本大臣、初代大臣で、大臣 ができてすぐの分科会でありますけれども、孤独、孤立というのは全省庁横断で取り組む問題なんだ、ですから、関係閣僚会議のようなものではなくて、全省庁横断で取り組むべきではないかということを私は質疑で提起をさせていただきました。そうしましたら、当時、坂本大臣は、全省庁による関係の連絡会議をつくる、そしてその中で私が司令塔になって、そして省庁の壁を取っ払って、支援を必要としている人たちに、ここにはこういう支援がある、こういう存在があるというメッセージを発するというようなことをしていかなければならないというふうに思っておりますという答弁をいただきました。

この答弁をもってして、関係省庁会議がおかげさまで全省庁関係連絡会議になりまして、野田大臣時代には、関係連絡会議が推進会議と、また一段上がっていただいたところであります。

これは、今回の法律案だと、総務、法務、文科、厚労、農林、国交、環境大臣までは本部員として明記がされております。次いで、一から七、つまり今私が述べた大臣、までに掲げるもののほか、本部長及び副本部長以外の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者が本部員として加わることができる規定になっているんです。

つまり、今、外務省の、いかに在外邦人の対策が必要かということを今私たち、大臣も含め、委員長を含め、委員の皆さんとも共有させていただいたと思いますが、外務省が入っていない、明記されていないんです。これは後退していないかと捉えられても致し方ないのではないのかなと思うんですが、これはもちろん指定される者が入れられるということでありますが、大臣、これは通告をちょっとしていなくて大変恐縮ではあるんですけれども、全省庁的に関係をしていく、これまで同様の体制で、いや、これまで以上にしっかり頑張るんだという御決意のほど、是非御答弁をお願いします。

 

○小倉国務大臣  御質問ありがとうございます。まず、今の推進会議よりも後退をしているのではないかという懸念があるという話でございました。

今回、御審議をいただいて、法律が成立した暁に発足をすることになる孤独・孤立対策推進本部、これは本部長が内閣総理大臣でございます。担当大臣と官房長官が副本部長で、全省庁の大臣を本部の中に入れることができるということでございます。まさに総理大臣をヘッドとする会議体でございますので、間違いなく政府として孤独、孤立対策にコミットしていくという、そういう意思表示だと思って今回法律を提出させていただいているわけでございます。

鈴木委員からは、在外邦人の孤独・孤立対策、より注力をすべきではないか、そういう話がございました。

これは、当然、法律がまだ成立いたしておりませんので、まだない本部でございます。法律が成立をしていただいた暁には、しっかり、在外邦人の孤独、孤立の対策、万全を期すために、この本部の中に外務大臣も含めるよう検討を進めてまいりたいというふうに思います。

 

○鈴木(貴)委員  ありがとうございます。

大臣、ついでにと言っては恐縮なんですけれども、外務大臣ももちろん是非ともお願いしたいですし、これはデジタル大臣も入っていないんですよね。DXという問題があって、もちろんデジタルもそうだと思います。復興大臣だって絶対明記すべきじゃないでしょうか。被災地における孤独、孤立の問題、何度となく言われております。財務大臣、これはもちろん予算に関わる問題ですから、財務大臣だってそうです。経産大臣、こういった商売に関すること、消費者の問題、様々にあります。防衛大臣、防衛省、いわゆる三公安職、これは自殺というのが非常に多い。特に、制服組。パワハラの問題だって、そして各種ハラスメント、 大変、我々としては絶対、断固として許してはいけないような事案も近年あったわけであります。 これは警察も入っていないんですね。警察は、もちろん、自殺の取りまとめであるとか犯罪関係、これが入ってくるわけであります。

これは全ての大臣を入れるしかないんだと思います。これまでだってそうしてきたんですから、是非とも今回のこの推進本部でもそのようにお願いをしたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

 

○小倉国務大臣  あらゆる省庁が孤独、孤立対策にアプローチをしていただきたいというのが私どもの考えでございます。当然、外務大臣に加えまして、鈴木議員が例示をいただいた様々な省庁の大臣にも参加をしていただきたいと思います。

 このような例示をしたがゆえに、これ以外は関係が薄いように捉えられてしまいかねませんので、そこら辺は、まさに全省庁の大臣がこの本部に参加をしていただくということで我々は検討を進めているということも御理解をいただけるように努力をしてまいりたいと思います。

 

○鈴木(貴)委員  ありがとうございます。

大臣は、一月二十日の大臣会見でも、孤独、孤立の推進本部は政府全体で取り組むということを早々に御発言もいただいておりましたので、もちろん、大臣の心中といいますか思いは分かった上で、改めて議事録にしっかり載せていく、この思いで質問をさせていただきました。力強い御答弁、本当に感謝を申し上げさせていただきます。

続いて、子供の自殺対策について、質問を移らさせていただきます。

これまで、自殺対策も、基本法、理念法を作らせていただいて、おかげさまで全体の自殺者数は減った。しかしながら、ここ数年、特に子供の自殺者数というものは過去最多を更新し続けてしまっている。そして、子供の自殺者数ということだけを取り出してみれば、実は、大人が下がっていっている中で、子供というのは実は決して減ってはいない、こういった問題があります。

これまでの自殺対策を振り返っての反省点は何だと考えるか、そしてまた、それを踏まえての今後の対策の展望というものを是非お聞かせいただきたいと思います。

 

○本多政府参考人  お答えいたします。

これまで、子供の自殺防止に向けて、文部科学省等と連携をして、学校での対策や家庭への支援など、幅広い取組を行ってまいりました。

そのような中で、令和四年の児童生徒の自殺者数が、委員おっしゃられたように、過去最多、五百十四人となったことについては、大変重く受け止めております。

今後の対策についてですが、まず、昨年十月に策定した新たな自殺総合対策大綱では、近年の自殺者数の増加を踏まえて、子供、若者の自殺対策の更なる推進、強化を図ることとしたところでございます。

具体的には、こども家庭庁、文部科学省、警察庁など、関係省庁とより一層の緊密な連携を図って、子供の自殺等の詳細な調査分析、子供、若者の利用が多いSNSを活用した相談事業を拡充する、また、多職腫の専門家から成る若者の自殺危機対応チームで子供の自殺危機に迅速に対応していく仕組みの構築などによりまして、対策を更に推進、強化していくこととしております。

子供の命を守るためのこうした取組に全力を尽くして、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指してまいります。

 

○鈴木(貴)委員  ありがとうございます。SNS相談等々もそうでありますけれども、是非とも、事後対応ではなくて、予防という意味での支援、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、私は、何よりも欠けているのは、反省がない、検証がないということだと思っております。これまで様々な取組をやってきたけれども、実際に効果が出ていないわけです。

四百十五人の子供たちが、可能性の塊のような子供たちが、未来に絶望をし、誰に頼るわけでもなく自らの命を絶ったというのは、私は、少子化が最大の国難だというのであれば、まさに、子供の自殺者数が過去最多を記録しているのは、国家の緊急事態であると。緊急事態宣言を出す、そしてまた政府一丸となって取り組むという強いメッセージ、是非とも期待をさせていただきます。

その上で、こども家庭庁の子供自殺対策に関しての立ち位置というか役割、こういった部分についても是非教えていただきたいと思います。

 

○野村政府参考人  お答え申し上げます。

子供が自ら命を絶つ、こういったことはあってはならないことではないかというふうに考えてございます。

委員御指摘のように、児童生徒の自殺者数が令和四年は五百十四人と、過去最多となっていること、これはこども家庭庁といたしましても大変重く受け止めているところでございます。

こうした状況も踏まえまして、こども家庭庁内に子供の自殺対策に関する事務を担当する室を新たに設置することといたしまして、警察庁、文科省、あるいは厚労省などの関係省庁と連携して、子供の自殺対策に取り組むことといたしました。子供、若者の自殺対策について、これまでのいろいろな課題もございましょうから、そういったことの解決に向けて、子供政策の司令塔であるこども家庭庁としてもしっかり取り組んでまいりたい、かように考えております。

 

○鈴木(貴)委員  ありがとうございます。

これまでも、文科、厚労、警察、連携をしてきたことには変わりはないと思います。どこをどのように連携を強化をしていくのか、ここが肝であります。

そして、やはり今、この室をつくっていただいたということでありますが、こども家庭庁が立ち上がって間もないわけでありますから、これは併任のポストであります。しっかりと、我々としても、立法府としても、そしてまた自民党としても、機構要求を含めて、必要な人員の体制がとれるように、また、必要なしかるべき予算を取っていけるように、また声を上げてまいりたいと思っております。

最後に、いわゆるスティグマ対策について質問をさせていただきたいと思います。

今、子供、若者の話をさせていただきましたが、一方で、中高年の孤独問題、例えば自殺という指標一つを見ると、やはり中高年の男性が一番自殺者数も高い。そして、OECD調査でも、調査対 象二十か国の中でも、日本人は友人などとの時間をほとんど過ごさない。ワーストというか、一なんですね。内閣府の調査においても、日本人は友人が著しく少なく、特に男性の四割に親しい友人がいないという結果まで報告もされております。

終身雇用文化というものもありましたし、日本には地縁、血縁という言葉がありますが、実は社縁、会社にいる間は自らのアイデンティティーがある、しかしながら、名刺を失った途端、いきなりアイデンティティークライシスに陥って、中高年の皆さんは、路頭に迷うというわけじゃないですけれども、孤独にどうしてもさいなまれているのではないのかと思っております。

加えて、日本の男性というものは、自分の内心というものを他者に打ち明けるのが非常に不得手な国民性もやはりあると思っております。

大臣は、イギリスにも出張もされた、そしてまた、メンズシェッド等々、社会的処方の視察をされたと思っておりますが、孤独・孤立対策の第一人者たる英国のまねをしたからといって、文化だとか国民性が全く違う日本では、簡単にそれがうまく物事が進んでいくかというと、やはりそうではない、実効性はイコールではないと思っております。

日本の国民性であるとか文化であるとか、そういったものを全て包含して考えた上で、やはりこのスティグマ対策というものは、日本の孤独、孤立を進めていく上で、実効性を高める上で、非常に重要だと思っておりますが、その点について、どのようなお考えか。そして、若しくは、そういったものを対策をする上で、こんなふうにここにフォーカスを当てて注力していきたいというような展望があれば、是非お聞かせいただきたいと思います。

 

○小倉国務大臣  鈴木議員御指摘のように、年初にイギリスに訪問させていただきました。孤独・孤立対策のプラットフォーム運営において中心的な役割を担う団体及び孤独・孤立問題を担当するデジタル・文化・メディア・スポーツ省と意見交換を行いました。

実際に意見交換を行いますと、例えばイギリスでは、民間団体やチャリティーが積極的に参加を されて、社会的処方というアプローチを取っていらっしゃるところ、そういったところに大変刺激的な議論ができたと思いますし、さらに、鈴木委員が御指摘のとおり、孤独のスティグマをなくすための取組というのは、日本とイギリスで共通点、類似点があるのではないかというふうに思っております。

非常に、イギリスでは、民間団体を巻き込んだ積極的なアプローチと、あるいはエビデンスに基づいて国民の皆さんの理解を得ていく活動、こういったところが参考になるのではないかというふうに個人的には感じましたので、引き続きイギリスとも情報交換を行いながら、日本にとってより実効性のある孤独・孤立対策、特にスティグマ対策の問題に取り組んでまいりたいと考えております。

 

○鈴木(貴)委員  ありがとうございます。

そこで、先ほど申し上げたように、やはり、会社の中にいる、何らかのコミュニティーに属している間から、まさにシームレスに孤独、孤立に取り組んでいくというのが大事なのではないのかなと思っております。

例えば、企業などでも、社会活動を縁に、企業にいる間から社会活動、しかも、自分が例えば住んでいる、退職した後にも触れ合いがしやすい、交流しやすい地域の何らかのコミュニティーに参画をしていくというような取組を促進していくことが必要だと思っております。官民連携プラットフォームにはおかげさまで経団連も入っているわけですから、そういった企業の皆さんの協力というのは仰ぎやすいと思っておりますし、それがゆえに、経団連であるとか、そういった企業の皆さん方を官民連携プラットフォームに入れ込んだと私は認識をしております。

是非、来年の五月から強化月間ということでありますけれども、今のような、会社にいる間から、社会活動、地域活動をどんどん企業が後押しをしていく、こういったような取組というものも、その強化月間の中で、一つの活動として、是非ともお考えおきをいただきたいなと思います。

もう時間が来たところでありますが、三谷先生、あと三十秒下さい。大臣、そこについて一言、企業内の取組の必要性みたいなところ、前向きな御答弁、是非よろしくお願いいたします。

 

○小倉国務大臣  私どもの取り組んでおります官民連携プラットフォームには、御指摘のとおり、経済界の皆様方にも入っていただいております。非常に我が国は、歴史的に見ても、企業が果たしてきた役割が多いと感じておりますので、しっかり、強化月間において、経済団体の皆様方にも関与していただけるように働きかけをしてまいり

たいと思います。

 

○鈴木(貴)委員  ありがとうございました。

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