北陸では初めての出品・お祭など | 面打 能面師 新井達矢の制作日記

面打 能面師 新井達矢の制作日記

日本の面に向かう日々

これが続けば良いのになぁと快適な陽気に感謝の近頃です。

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自宅前の公園の桜の中で。
「ソメイヨシノ」を「馬鹿ざくら」といって嫌う面打の大先輩がいらっしゃいますが、どれも同じなのは確かにつまらないですね。
勿論キレイだと見惚れているのですが。。。
この公園にも嘗ては山桜?と思しき個性的な桜があったのですが、何故か伐採されてしまいました。
おそらく木が込み合って見晴らしが悪く防犯のためと思われますが、寂しいです。


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高校の先輩にあたる仏師の山口幹也氏のご紹介で、金沢美術倶楽部さんで開催の
「金沢美術倶楽部100周年 金美アートプロジェクト 若手作家の入札展示会」に出品させて頂くことになりました。
私の仕事はアートとは言い難いのですが・・・・

例年開催している合同展「工燈」の仲間でもある木彫刻師の宮本裕太君の作品も出されると聞きました。

http://kinbi.co.jp/
詳しくはこちらをご覧下さい。
出品作に真面目な能面は無く、黒式尉、恵比須、綾切(舞楽面)河童(創作面)など写真や各種資料を元に自由に作ったものです。
遠方のため在廊できるのは最終日のみとなります。



我らが羽村市の六社のお祭「八雲大祭」が行われました。


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神明神社で出発を待つ山車

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JR青梅線羽村駅前で6本の山車が並びました。(正確には屋台と呼ぶべきものが殆どですが)
師匠連の東町の山車は人形が乗ると流石に立派です、お金持ちの地域は違いますね。

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羽村市長の並木心さんのご挨拶を頂きました。
地域選出の国会議員さんや離党された都議さんのお顔も見えます。

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昨年急逝された雨倉孝雄さんの写真をご自宅前で掲げました。
演奏しながら誰もが涙涙・・・

家元、元締、親方・・・色々な言葉に形容できる本当に頼れる大先輩。帆船の帆が倒れたようですが、沈没しないように皆で頑張ろうと思います。

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昨年は不幸があった為に一年ぶり、4歳から山車に乗っていますので今年は30回目になるのでしょう。
何事も滞りなくとは行きませんが氏子さんや仲間の協力で無事にお祭が出来たことに感謝します。


お仕事色々。

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中将(友閑打)の写しを仰せつかりました。
“もやしっこ”のような生白いお公家さんタイプではなく、
修羅掛と呼ばれる勇ましく精悍な面。
「融」などの“おとど”にも合うと伺いましたが戦かってきたような顔。
濃い目の男前というのでしょうか。
数多い中将の中でも相当な名品、対峙する時間を噛みしめながらの毎日です。

長澤氏春先生に出会って30年、初めて拙作を買って頂いてから22年、お舞台で初めて使って頂いてから19年、大学を卒業して11年。

制作歴は?と問われると何処から勘定すべきか迷います。

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「1996年  8月3日  13歳 」 と裏に書かれた写真。
夏休みに大阪のお宅に泊まり込んで、古面を見せて頂いたり拙作に手を入れて頂いたりしました。


写しや修復のお仕事を少なからず頂くようになり、やっと玄人と言っても良いのかな・・・・・と。
真の玄人と呼ばれる大先輩の仕事や生き方、
何より現役で舞台で使われている室町から江戸期に作られた面と拙作を比べればと易々と「能面打とか能面師です」なんて公に言えなくなります。


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自分の顔写真を出すのは大嫌いなのですが、デッサンならば大丈夫。
眉目秀麗なら結構ですが私のようなものはいけません。
受験シーズンになると未だに蘇る浪人の日々。
当時の作品を久しぶりに出して眺めました・・・

小手先のみで作る職人気質が染みついていたので、
石膏デッサン、人体デッサン、塑像など大いに苦労しました。

大きく抱えるように見ること、色々な視点を持って一つのモチーフやモデルさんに向かうこと。
重力や大地を意識して、空間や纏う空気まで感じること。

違うとおもったら一度作ったモノ描いたモノを否定して壊し、新鮮な目線で作り直していく。。

自分の目を最大限信じる一方で、徹底的に疑い、新たに構築するとか。

積み重ねが全てである木彫に慣れ親しんだ私にとって最も困難なものでしたが、こういった勇気がないとカビていく世界だということは分かりました。


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自宅前の公園の藤の花。

某ネットオークション。
江戸期の名品が出品される奇跡もありますが、偽物も度々出ています。
最近も適当な素人作に近現代の名工に似せた焼印を押したり、江戸期の名工の名前を朱書きしたものなどが目につきますね。。。

紫○と京○はご常連さんです、ご注意下さいね。