関西と北陸 | 面打 能面師 新井達矢の制作日記

面打 能面師 新井達矢の制作日記

日本の面に向かう日々

先月は色々なことがありました。
仕事のご依頼内容によっては何も公開できなくなると先輩方から伺いましたが、それが現実になり始めています。
とても有り難いことなのですが・・・・

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中将(友閑写)
もっと進んでいますが、今のところ木地仕上げの画像。


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某師のご教示により丸刀を多く用いて彫ってみました。

長澤先生は一寸以上ある平の突き鑿を多く用いて(丸刀は当然使われるのですが)出来る限りこれ一本で彫れると良い。というようなお考えだったように思います。
平を多用すると大きな面(平らな広がり)を少ない手数で表すことが可能ですが、キレイなばかりで無表情になることがあります。
職人的視点を持てば、丸刀を多様するとゴソゴソとして下手に見えることもありますが皮膚の柔らかな質感が現わせるような気もします。
自分の目、すなわち観察眼が全てで用いる道具の形状は彫刻としての充実度とは無関係だと思っていたこともありましたが、新鮮な感覚を取り戻す手がかりになるようですね。
 

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五月某日は北陸の旅、ここは井波の瑞泉寺様。
 

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近代木彫のようなライオンの蛙股。
寺院に入っているのが以外に思いましたが多いのだろうか??

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井波の山の中の湧水


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この旅でお世話になった仏師の山口幹也さん、高校の先輩で9歳も年上ですが行動派で若々しい方。
たらの芽を探していらっしゃいます。

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山口幹也氏の作品。

 
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「工燈」でもお馴染みの宮本裕太氏の作品。

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金沢美術倶楽部さんでの展示風景。

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金沢能楽美術館にも伺いました、この方の絵の艶やかな雰囲気に魅かれました。
能面をこんな風に持つのはご法度ですが、絵だから許されるのですねきっと。

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菩提寺宗禅寺様の晋山式に岩手県鵜住よりいらっしゃった虎舞の頭。

 
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 和正和尚様。
荘厳で華やかなお式でした。

 

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時期は前後するのですが、こちらは関西。
四天王寺様の宝物館を訪ねました。

 

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 学生時代から10年余の付き合いのある仏師、杉田光照(浩庸)君との二人旅。

大きな体に長い鬚を蓄えているので如何にも仙人のよう・・・・
仏像彫刻の腕は言わずもがな。多種多様な美への興味関心は驚くべきもの。


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これは彼の作品(一部違うものも混ざってます)

繊細緻密だけではない平安仏を愛する視線が溢れるようです。
彩色のセンスもありますね。


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 長澤氏春先生のお墓参り。

今回は学生時代の如く一泊二日で大阪、京都、奈良と何カ所も飛び回ったのですが、疲れすぎで写真がありません。

最寄駅を始発で出発、午前中に大阪市美の仏像展、午後は氏春先生の奥様を一人で訪ねました。夕方から毎度のようにM先生に甘え、杉田君と共に焼き肉をご馳走になって一日目終了。
二日目の午前中は四天王寺の宝物館を見て氏春先生のお墓参り。文博で二か所の能面展を鑑賞の後、午後はガンデンデンを雨にぬれつつ鑑賞し閉館間もない奈良博に駆け込み快慶展。

能面教室の展示会では、大先輩であるG先生作の実物をほぼ初めて拝見しました。
その緻密な写しに脱帽・・・節木増と泣増など見事な仕事に釘付け、
実は写真撮影可能だったことを後から知り大いに後悔しております。
 

 

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某氏蔵の牙べし見。
制作年代はたぶん幕末ですが古面といえる写しは珍しいと思われます。

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最近始めた通信講座、某先生の代稽古として承りました。
既に10年程のご経験がある方なので、手紙と電話のやり取りで程々に伝わります。
上の画像は彩色の向かって左半分だけ手を入れたものですが、右側との差がお分りになりますか?
古色や化粧は単なる古さを再現するだけでなく効果的に表情を引き出す役目があると気付いて頂けるのではないでしょうか。
誤字脱字連発の手紙を添えてお送りします。