賛成の反対なのだ。 | 続・日々コラム・・・

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Shen Teh n Shui Ta = hen na TeTSuShi・・・

「はだしのゲン」問題なんてタイトルをつけるのもどうかと思うのですけれども、松江の教育委員会が、図書館で閉架扱いにするようにとの意向を示したわけです。
つまり、一部の描写について、「小中学生に過激すぎる」ということ。

さて、いろいろな問題がここに内在しています。
賛否あるのだと思いますが、賛成意見に反対したいと思うのです。
(賛成の反対なのだ?)

政治的な立場、原発問題、いろいろな事情の憶測はあれども、作者が実体験を描いた渾身の表現に、テレビドラマみたいなフィルターをかけるべきではなりません。
中沢さんも亡くなられました。戦争を伝える人が、こうして残してくれた記憶を、そのまま伝えなくてどうするんですか。

いま、そんな上辺を装うフィルターのせいで、現実を直視できない人が多くなっています。
現実は、そんなに美しい話だけではありませんし、友達の友達は皆善人、でもありません。

戦争で負けたことも、サッカーの日本代表が負けたのと、同じテンションになっています。
中国や、北朝鮮、あるいは中東の紛争を語る時、「日本ではありえない」、途上国の出来ごととして扱われています。

こどもは、原爆や空襲の話は、悲惨すぎて見たくないんだそうです。
戦争の教訓から、モラル、命の大切さを話そうとすると、しらけてしまうんだそうです。

だから、こどもに媚びて、喜んでももらうため、笑ってもらうために、この手の話題は避けるのが一番。というへこたれた常識の大人が社会の中心になっています。

親子こそ、学校教育こそネ、ガティブな事やナーバスな部分にもしっかり踏み込んで、そこからたくさんの知恵を出してケアをしていくことが、大事なのではないかと思います。

その信頼関係がないから、こどもの「上辺の笑顔」のために、大人は喜ばせてあげる大サービスマンになってしまっています。

見せないことで、何も解決はしません。
底にあるのは、目先の無責任だけ。


写真は、先日私の企画で上演していただいた、堀絢子さんの『朝ちゃん』これも実話でした。
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