『医療者』の限界① | 月のベンチ

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両親の闘病記

『医療者の限界』とは、医療技術のことではない。

たとえば、意志疎通のできない患者にかぶれと思われる発疹が広範囲に出来たとする。
患者家族は経験や普段からの患者の様子から、痒いだろうから薬を塗って欲しいと言う。
が、医療者は必ず様子を見ましょうと返答する。

そこまでは理解できる。

ところが、家族が『痒いのではないか』と心配していると、医療者は『痛みも痒みも感じてないと思います』
と言う人もいる。

意識障害で四肢麻痺。
医療者の多くは上記のように考えるのではないか?
意識障害で四肢麻痺でも、暑さ寒さ、痛み痒み、恐怖、気分的な緊張感、、、いろいろなものを日々感じているはず。

医療者が、患者とその家族が背負っているものを理解することは難しいだろう。
でも、『痛みも痒みも感じていない』から薬は必要ない、というようなセリフは言うべきではないと思う。
『様子を見ましょう』でとどめておくべきだろう。

医療者は、患者の病気怪我を診る(看る)と同時に、患者と患者家族の、病気怪我に伴う不安や心配 を軽減する義務もあると思う。
でも、そこには限界があるのだ。