長く腰痛を患っている人は、今の痛みを取ってあげるだけではダメ(1)
一回で腰痛を治してあげたいと思って、指先に念を込めて施術しています。
でも腰痛が出ない体にするにはどうしても時間がかかります。そのことを理解していただくのはとても難しいと感じています。
ほとんどの長く腰痛を患っている人は、今の痛みが取れれば腰痛が治ったと思い、そこから先の治療をやめてしまいます。
でも本当は、痛みが無くなってからの治療の方が大切なんです。
というのも、長く腰痛を患っている慢性腰痛の人は、無意識の体の動かし方が腰痛を出すような動きをしています。
それは、筋力の問題であったり柔軟性の問題であったり、長年の体の使いかたの癖だったりします。
無意識の体の使い方の癖というのがやっかいで、これを改善するには、脳みそに正しい動き方を覚え込ませないといけないのです。
野球やゴルフで言えば、素振りです。意識しなくても正しい動きができるように、何度も何度も良い動きを繰り返します。
自転車に乗る練習は、最初はハンドルを両手で握ることを意識し、ペダルをこぎながら勢いをつけて、反対の脚でもペダルをこいで・・・・・・と考えながら、考えながら集中して正しい動作を繰り返します。慣れてくると漕ぎ方、乗り方を意識しなくても乗れるようになり、そのうち考え事をしながらでも、片手でアイスを食べながらでも乗れるようになります。
腰痛を出している体の使い方は、患者さん本人は無意識にしている動作のため、そのことにまったく気づいていません。気づいたとしても筋力不足や柔軟性不足で意識してもできないこともあります。
なので、慢性腰痛を改善していく順番としては
①今ある腰の痛みをとる
②腰痛をだしている原因となっている筋肉の状態を改善する
③腰痛を出している体の使い方や姿勢を改善するためのトレーニングをする
多くの人は①で満足してしまい、何度も腰痛を繰り返しています。
慢性腰痛の人には②、③が絶対に必要ですが、その必要性をわかってもらうには、しっかり説明して理解していただく必要があります。
つまり患者さんのためにプレゼンの能力を磨く必要があります。
理解いただけないまま、②に移行していくと、患者さんは腰痛は治っているのに通わされていると思い、こちらとしては”患者さんのために”と思っておこなっていることが、逆効果となってしまいます。