第2回江東区講習会(十手・早縄術)3月14日(金曜日)

参加者6名

稽古内容

十手術の形 二本目
早縄術の形 二本目
   三本目

を行い、

研究部門では資料からK流の復元を行いました。

この流派の八卦縄という形は円空流の基本の捻り輪を応用する事で読み解く事ができました。

円空流の早縄の技法が他流の本縄に応用できるのが興味深く、円空流の基本技法の幅がまた一つ広がりました。

東東京支部で、なぜこのような研究も行っているかと言いますと、伝承は伝言ゲームのように形が少しずつ変わっていき形骸化してしまう事が往々にしてあるからです。
故にどこの流派にも【中興の祖】という存在があり、時代と共に形骸化してしまった形に理合という命を吹き込む継承者が現れ、また流派が再興されるのが歴史の常です。

私は支部長師範代として円空流の伝承の一翼を担う立場になりましたが、如何に正しく流派の技を次の代、またその次の代に伝えていくかを考えています。

形が乱れたり形骸化してしまうのは、やはり流派の理合が失われてしまった時に起こると思います。

本来の理合が失われた時、個人の癖や、他流他武道の考えが入ってしまうと流派の各形に共通する流派としての理合から外れバラバラになってしまい形骸化が始まってしまいます。

他流を混ぜるために他流を学ぶようなこと、例えば流派の来歴や理合を無視して、無責任に円空流のこの技と別の他流他武道のあの技は同じですというような、ただ自分が知ってる他流他武道をチャンポンにするような行為は論外ですが、

白いキャンバスのような心で他流を学ぶのであれば、自流と他流を明確に区別できる事で、逆に自流への理解も深まります。

師家には報告しましたが円空流以外にも半棒術を表芸にしている流派があり、教伝を受けた事がありますが、その流派とは同じ長さの得物を使っているのに正反対の考え方で勝ちに行く理合が非常に興味深かったです。

円空流の腰切棒術は剣より短い得物で前に踏み込み勝つ理合で構成されてますが、その別の流派の半棒術は安全な間合で躱したり、わざと打ち負けたりという遠間から、間合を伸ばして勝つ理合で構成されてます。

一流派だけだとそれが当たり前となり流派独自の理合として気付く事ができませんが、他流を知ることで見識が広がり、流派としての理合を明確に区別できる利点もあります。

弊害としては、他流他武道は突き詰めれば何でも同じだというような、自流に取り入れようという考えで習ってしまうと、自分のレベルでしか解釈できずチャンポンになり、どっちにもならない自分勝手流になってしまいます。

ちなみに、この他流の半棒術の宗家は次の代に後を譲ったのですが、その後継者がやめてしまい、失伝しかけており、宗家は私に自身の稽古会で好きに稽古して下さいと言ってくれました。

よって東東京支部の研究課題として希望者には伝授したいと思います。

但し、円空流と他武道を混ぜて学んでいるような人間やその門弟には教えません。

これは意地悪ではなく、そのような考えで学ばれてしまうと肝心の円空流の理合が乱れてしまうからです。
自流の理合を学ぶこと、そして他流を知り明確に区別する事で逆に自流への理解が深まること等を通して、自流への理解を深めていけば、伝承の過程で形が形骸化する事はないでしょう。

このようなコンセプトで江東区講習会では伝書資料から、失伝した流派の復元を行ったり、世田谷講習会では失伝しかけている他流の半棒術を、研究課題として稽古しています。

決して他流他武道をチャンポンしてあれもこれも同じですというような無責任な教え方は、東東京支部では行っていませんので誤解のないようにお願いします。