Nサイド
「翔ちゃん、久しぶり〜。」
「ああ、ニノも今日はこっちなんだ?」
テレビ局の廊下。
出会ったのは久しぶりのメンバーで、
お互いどちらともなく駆け寄った。
話したいことも聞きたいことも山ほどあるはずなのに、上手く言葉が繋がらず、ただただ、2人で談笑していた。
「おはようございます」
「おはようございます」
通り行くスタッフに声をかけられ挨拶をした。
と、
『今や嵐が2人以上でいるってのは、なんかレアだよな。』
不意に聞こえてきたスタッフの声に
今まで感じたことの無い焦燥感が溢れてきた。
あれからテレビ局でトンと会わなくなったメンバーと偶然出会うと、周りの目が少しだけ好奇に満ちる時がある。
年末のライブで
オレ達 嵐が完全に終わった訳では無いのに。
「ニノ…?」
「あ、うん、なに?」
少し声を低めた翔ちゃんが
オレの耳元で更にその声色を落とした。
「今の聞こえてたんだろ?」
「…あ、うん。翔ちゃんも?」
「あれ、わざとだから。」
「え…」
オレの耳元から体を離した翔ちゃんは
ゆっくりと頷き、オレを自分の楽屋に引き入れた。