この前に UB 4 が上がってます。
Nサイド
「俺、そろそろ本番だから時間はあんまりないんだけど、」
「あ、うん。ごめん。」
「いや、ニノが悪いんじゃない。呼んだのは俺なのにごめん、てこと。」
「ふふっ うん。」
相変わらず翔ちゃんらしい言葉使いに
思わず顔が綻んだ。
「で、さっきの『わざと』ってなに?」
「ん、まー、俺の予測だけどね。」
それから翔ちゃんは程よく響く低い声で話し出した。楽屋とはいえ軽く仕切られたお互いの部屋は、それなりに色んな音が響いてくる。だから今まで楽屋では、他愛もない話だけをしてたんだけど
「さっきのスタッフさん、J寄りじゃないし。この間も俺と相葉くんがいる時に同じこと言ってたから。」
「え、相葉さんにも?」
「そう、相葉くんにも。」
なんで?
ここなんて昔からオレ達がお世話になってるところなのに、なんでそんな事をわざわざ言うんだろう。
「まあ、多分だけど、新しい番組枠を貰えなかったんだろう。自分の企画の。」
「そんなことで。」
「そんな事なんだよ、やっかみが始まる時ってのは。しかもオレ達はもう5人じゃない。番組側も金額的に使いやすくなったからって、俺達をそうそう外したりはしないだろうし。」
「でもなんで。そうだとしてもソイツの企画力の問題なん…」
「シッ」
興奮したオレの声が大きくなってたからか
翔ちゃんは自分の口元に、1本、指先をあてがった。
「ごめん。」
「大丈夫だけど、念には念を。」
「……うん。」
翔ちゃんが背広の袖口をめくり
腕時計で時間を確認した。
「そろそろ?」
「ああ、もう行かないと。」
「うん。翔ちゃん頑張って。」
「ふふっ その言い方、智くんソックリだな。」
「だってその方が元気になるでしょ?」
翔ちゃんは1度大きく目を開いてから
『そうだな』と独りごちてからカッコ良く楽屋を出て行った。