Nサイド
「ん……、」
喉が渇き目が覚める。
ベッドシーツをいくら手のひらで手繰り寄せても
隣りに相葉さんの姿は無くて
「痛っ…つぅ…」
ベッドから起き上がろうと体をくねらせてみたものの、腰の奥に鈍痛が走った。腰に手を這わせながら自分の体を見ると綺麗に拭かれていて、下着も新しいものに替えられていた。
「まーくん?」
真っ暗な寝室に1つだけ点けた間接照明。
相葉さんが、まだうちにいる合図。
あの後、やっぱり相葉さんに抱かれて
変に疲れていたこともあり、
そのまま眠ってしまったみたいだ。
「腹減ったな…」
ほどよく気怠い腰に手を当てながら
ベッドから立ち上がる。
リビングでまたYouTubeでも見てるであろう相葉さんに、生姜焼きでも温めて貰うか。
つめたく冷えた廊下を裸足でペタペタと歩く。
リビングのドアに手を掛けると、中からはテレビの音ではない、相葉さんの話し声が聞こえてきた。
いつもならここでドアを開けるけど
なぜか、ドアを引く手を躊躇った。
『うん、そうだね、ホントにありがとう』
『うん、それ以外はなかったよ、どこにも。』
『気をつけるよ、絶対に。…そうだね。』
耳をそばだてれば やっと聞こえる声。
他は何を言ってるかよく分からなかった。
なんかよくわかんないけど、
何かを探してる?
それはうちでの事なのか
他の事なのか。
そして今は夜中の2時よ。
こんな夜更けに話さなければいけない事なのかな。
ドアの前、1度大きく咳き込んだ。
「ンんっっ」
『! あ、じゃまたね、今度絶対奢るからっ うん、じゃ、またねーっ』
バタバタと音をさせて移動してるであろう相葉さんの、わざととも取れる大きな声に思わず笑った。
カチャリとドアを開けると、相葉さんはソファに浅く座り、その長くて綺麗な足を開いてこっちを見上げていた。右手はケツの下で……きっとその下には、スマホが隠してある。
「カズ、起きた?」
「ンんっ、んっ…」
「えっ 風邪ひいたの?」
違う。
さっきドア前でわざと喉を鳴らしたから
声を出すのに変になっただけ。
「お腹空いた。」
「あ、うん。生姜焼き温めよっか。でも夜遅いから少しにするよ〜。」
そう言ってそそくさとソファを立ち上がる相葉さんは、右手に持ったスマホを自分の体のラインに添わせて隠している。…つもりらしい。
バレバレなんですけど。
パタパタとキッチンで動く相葉さんが
こちらを見て一瞬ニヤついた。
「ね、水飲みたいでしょ?」
「んー。…飲みたいかな。」
うんうんと頷き、少しドヤ顔をしてる。
冷蔵庫から麦茶をコップに注ぎながら
何だか嬉しそうに呟いた。
「まさか、カズが喘ぎすぎで喉を枯らすとはねー。俺も罪な男だよね。『テクニシャン相葉(ドヤッ)』なんちって(笑)」
……は?
ではまた明日〜(*´︶`*)ノ