S side
大学生の時、1年間だけ付き合っていた松本潤。
その懐かしい思い出は、今となっては遙か遠く夢のようにも思われる。
なんてことは無い。
高校もストレートで上がり、周りがキャーキャー言い始めた潤のカッコ良さに少し腹を立ててた。男子校なのに、正門の前に他校の女子生徒が見に来るくらい、アイツはイケメンになり変わっていた。
俺が高3、潤が高1。
『おい、虫。お前のイケメン度合い、何とかしろよ。正門前がキャーキャーうるせーんだよ。』
テスト前、勉強を教えてくれとせがむ潤を連れて図書室へ行く。
渡り廊下を2人で歩いていると、何度か『ちわっす』と声をかけられる。見た事のない一年坊主たち。すれ違う後輩たちに軽く挨拶をした。
『ふふっ 翔くんの方がイケメンでしょ。それに、あの人達はオレ狙いじゃないよ、そんなのわかってるくせに。』
『わかってるってなんだよ。』
『え、知らないの?この学校にも翔くんのファンクラブとかあるんだってよ?』
『ぶはっ 何だよそれ、…初耳だよ。』
『ちなみに、ファンクラブ第1号はオレね。』
『は? お前かよw』
『ふふふっ 』
その頃の潤は、口元を丸めた手で隠して、大きな黒い目を三日月型に細めて笑う。何とも可愛らしい仕草で、俺は軽口を叩きながらも心の中では『可愛すぎてけしからん』と、悶絶していた。。
そんな潤が思い詰めたように俺の所へ来たのは、俺が大学へ入った頃だった。
どんなに大学へはストレートに上がれるとはいえ、それなりに勉強をしなければ上げれない大学。潤は昔から親との確執があったが、この頃に少しヤバかったらしい。
この日、俺の部屋へ遊びに来てた潤は
あまりにも思い詰めていて、取り敢えず茶でも飲めと言う俺の言葉を制した。
『翔くん、オレ、翔くんと同じ学部に行けたらさ、ここで、…翔くんの部屋で一緒に住み込みしたい。』
『……は? ……それなんの冗談?』
『冗談じゃないよ。お願い。少しの間でいいから。…オレにも…夢を見させてよ。』
『夢? 夢ってなんだよ。』
『オレ、…翔くんと同棲したい。エッチしたい。付き合いたいっ。』
あまりにも思い詰めた表情の潤を見て、逆に俺が冷静になれた。
『待て待て待て。なんか色々ぶっ込んでたけど、お前いま自分が何言ってるかわかってんの?』
冷静も冷静。
別に俺の心臓は何も爆ついてねーし。
ただ、いつもより動悸が激しくなっているだけだ。
『わかってるよ。オレに残された生命はあと僅かなんだ。だからお願い。翔くんの恋人にして?』
『だっ ちょっと待てって。生命があと僅かってなんだよ。』
思わず抱きつかれた潤を離すことも出来ずに、そのままベッドへダイブした。潤に足を絡み取られ、組み敷かれ、ぶっちゅと唇を奪われた。
そう言って目を細め切なく俺を見下ろす潤に軽くときめいたのは内緒だ。
いやいやいや、恋人になるって前に
もうヤリ目みたいなこの体勢はヤバいだろ。
『じゃなくてっっ。』
『翔くん、オレは待てない。でも、翔くんが待てって言うならオレは待つよ。』
『や、あのさ、俺ら付き合う前提になってね?』『だってそうじゃん。翔くん、オレのこと好きでしょ?』
はっきり言って好きだよ。
そういう意味で。
でも、俺もお前も男だし
俺達は、
俺達の家族は、きっとそれを認めない。
俺がお前を好きだとして、そのせいでお前が傷つくのなら、俺は何も動かないと決めたんだ。
マジ笑える。
ついでに言うと、
俺はお前に見下ろされんじゃなくて
俺がお前を組み敷きたい。
『いいよ、付き合っても。』
『マジで!?』
『でも、条件がある。…お前が言うように、潤が俺と同じ学部に上がれよ。それなら、……きっとお前の為にもなるから。』
『……だよね。……それは、わかってる。』
日本で唯一の学部。
どっかの財閥とか、どっかの社長候補とか、御曹司、跡取り、何何の宮様…等々
日本を影で操る、ひと握りの奴等が通う学部。
これからの未来のために、俺らはそこを通らなければならなかった。
なら、今の俺はなんで一般のサラリーマンに成り下がってしまったのか。
それは、
その大学を辞めて
違う大学へ編入させられたから。
そう。
潤との関係が
潤の親にバレたことがきっかけで。
大学生の時、1年間だけ付き合っていた松本潤。
その懐かしい思い出は、今となっては遙か遠く夢のようにも思われる。
アイツと初めて出会ったのは中学の時で、男子校の2年後輩だった。新入生入場の体育館で並んで出迎えた1年の中に、顔がちいせーのに異常に目が大きくて虫みたいな奴、なんて遠目から見てたのが始まりだ。
なんてことは無い。
今考えればあの時から俺は潤に目をつけてた。可愛い奴が入って来たなって。
廊下ですれ違えば
『おい、虫!』なんてからかい、
『 虫じゃないです。松本潤ですっ』て、
少し高めの声で反発してくるのが面白くていつも声を掛けていた。
高校もストレートで上がり、周りがキャーキャー言い始めた潤のカッコ良さに少し腹を立ててた。男子校なのに、正門の前に他校の女子生徒が見に来るくらい、アイツはイケメンになり変わっていた。
俺が高3、潤が高1。
『おい、虫。お前のイケメン度合い、何とかしろよ。正門前がキャーキャーうるせーんだよ。』
テスト前、勉強を教えてくれとせがむ潤を連れて図書室へ行く。
渡り廊下を2人で歩いていると、何度か『ちわっす』と声をかけられる。見た事のない一年坊主たち。すれ違う後輩たちに軽く挨拶をした。
『ふふっ 翔くんの方がイケメンでしょ。それに、あの人達はオレ狙いじゃないよ、そんなのわかってるくせに。』
『わかってるってなんだよ。』
『え、知らないの?この学校にも翔くんのファンクラブとかあるんだってよ?』
『ぶはっ 何だよそれ、…初耳だよ。』
『ちなみに、ファンクラブ第1号はオレね。』
『は? お前かよw』
『ふふふっ 』
その頃の潤は、口元を丸めた手で隠して、大きな黒い目を三日月型に細めて笑う。何とも可愛らしい仕草で、俺は軽口を叩きながらも心の中では『可愛すぎてけしからん』と、悶絶していた。。
そんな潤が思い詰めたように俺の所へ来たのは、俺が大学へ入った頃だった。
どんなに大学へはストレートに上がれるとはいえ、それなりに勉強をしなければ上げれない大学。潤は昔から親との確執があったが、この頃に少しヤバかったらしい。
この日、俺の部屋へ遊びに来てた潤は
あまりにも思い詰めていて、取り敢えず茶でも飲めと言う俺の言葉を制した。
『翔くん、オレ、翔くんと同じ学部に行けたらさ、ここで、…翔くんの部屋で一緒に住み込みしたい。』
『……は? ……それなんの冗談?』
『冗談じゃないよ。お願い。少しの間でいいから。…オレにも…夢を見させてよ。』
『夢? 夢ってなんだよ。』
『オレ、…翔くんと同棲したい。エッチしたい。付き合いたいっ。』
あまりにも思い詰めた表情の潤を見て、逆に俺が冷静になれた。
『待て待て待て。なんか色々ぶっ込んでたけど、お前いま自分が何言ってるかわかってんの?』
冷静も冷静。
別に俺の心臓は何も爆ついてねーし。
ただ、いつもより動悸が激しくなっているだけだ。
『わかってるよ。オレに残された生命はあと僅かなんだ。だからお願い。翔くんの恋人にして?』
『だっ ちょっと待てって。生命があと僅かってなんだよ。』
思わず抱きつかれた潤を離すことも出来ずに、そのままベッドへダイブした。潤に足を絡み取られ、組み敷かれ、ぶっちゅと唇を奪われた。
『おい、色気のねーキスすんなっ』
『色気があればいいの?』そう言って目を細め切なく俺を見下ろす潤に軽くときめいたのは内緒だ。
いやいやいや、恋人になるって前に
もうヤリ目みたいなこの体勢はヤバいだろ。
『待て。潤、お前まだ高校生だろうが。』
『大学生ならいいの?』『じゃなくてっっ。』
『翔くん、オレは待てない。でも、翔くんが待てって言うならオレは待つよ。』
『や、あのさ、俺ら付き合う前提になってね?』『だってそうじゃん。翔くん、オレのこと好きでしょ?』
はっきり言って好きだよ。
そういう意味で。
でも、俺もお前も男だし
俺達は、
俺達の家族は、きっとそれを認めない。
俺がお前を好きだとして、そのせいでお前が傷つくのなら、俺は何も動かないと決めたんだ。
それなのにお前は
その垣根を簡単に越えてくんのな。
マジ笑える。
ついでに言うと、
俺はお前に見下ろされんじゃなくて
俺がお前を組み敷きたい。
『いいよ、付き合っても。』
『マジで!?』
『でも、条件がある。…お前が言うように、潤が俺と同じ学部に上がれよ。それなら、……きっとお前の為にもなるから。』
『……だよね。……それは、わかってる。』
日本で唯一の学部。
どっかの財閥とか、どっかの社長候補とか、御曹司、跡取り、何何の宮様…等々
日本を影で操る、ひと握りの奴等が通う学部。
これからの未来のために、俺らはそこを通らなければならなかった。
なら、今の俺はなんで一般のサラリーマンに成り下がってしまったのか。
それは、
その大学を辞めて
違う大学へ編入させられたから。
そう。
潤との関係が
潤の親にバレたことがきっかけで。
次はウキウキウォッチの12時。