N side







「けほっ ぉぁょー」


暖かい翔さんの腕の中で目を覚ます。


「ふっ ニノの声、凄いことになってるけど大丈夫?」



明け方まで翔さんに突き上げられ
朝起きた時にはもう
声も掠れ掠れしか出て来なくて



「だって  じょ、ざん…」
「だから、後悔しないか聞いたろ?」



ニヤニヤと口元だけで笑い
それでも優しくオレの頭を撫でてくれる翔さんの手のひらが、するりと頬へと下りてくる。


その手の内に甘えるように擦り寄り
上目遣いで翔さんを睨むも
翔さんは嬉しそうに頬を緩ますだけで
オレの威厳は何の威力も発揮しない。



でもさ、
これなのよ。


こうやってオレが甘えられて
翔さんに甘やかされて
オレが攻めてるようで
翔さんに攻められる。


これが今のオレたちなのに
夢の中の2人はそんなの全っ然でさ。



でもどー考えてもあの翔さんは
オレのことを好きだったよね。


じゃ無ければわんこのオレに『ニノ』とか名前をつけないだろうし、『ニノにこーしてー』とか言ってオレにチュウするように自分の唇をわんこのオレに当ててきたりしないよね。


だって犬よ、相手のオレは。
や、翔さんの好きなオレは人間なんだけど。




……まあ、
ただの夢なんだけどさ、
リアルすぎて何となく気になるというか。





「そう言えばさ、翔さんがオレを好きだった時、どうしてオレに気持ちを伝えようと思ったの?」
「朝から急だね。」
「そーかな。でもオレ、ずっと気になってて。」




この人はグループとしての意向をまずは受け入れる人だ。その中で自分の置かれた役割や期待に答えようとする。


そこに個人としてのクオリティを高めることはあっても、他人に個を押し付けては来ないはず。オレらの中では調整役、言わばバランサーを担ってるから。




だから
そんなオレらの関係性を崩すようなこと
翔さんなら絶対しないはずなのにって
告白された時は心底驚いたんだった。


長い沈黙。


もしかして翔さんにとったら
朝から話すには
ちょっと重かったかな。



そう思いかけた時
翔さんが低い声で呟いた。



「爆発したんだよ。」
「……なにが?」
「ニノへの感情が、爆発した。」
「爆発したの?なんで?」
「や、……急にさ」
「急に?」
「急にw」





気持ちが爆発して告白って
普通、大の大人がするかな。

一時の感情で行動するなんて
オレが知ってる翔さんからは
絶対にありえないんだけど。




「ニノは?」
「オレ?」
「そ。…ニノはなんでOKしてくれたの。」
「そんなの。…オレも翔さんが好きだからに決まってるじゃないですか。」
「でも俺、男だよ?」
「…知ってますよ?」
「え…?」
「は?w」



そんなのどー考えたって当たり前でしょ。
子供の時からずっと見てきてんだし
なんなら一緒に風呂も入ってるし


亀さんついてんの…
見てきてたもん。




「くすくす。オレは翔さんだから好きになってるんです。男とか、……なんなら横目でしっかりと翔さんの亀さん見て来てるから全然関係ないんですよ。」
「横目でしっかり……」
「そこはっ ほら、翔さんだってそうでしょ?」
「まぁ、俺も?…しっかり…ガン見させて貰ってたけど。」




少し気まづい空気が流れて
それからどちらともなく笑った。


何コレってw



「ニノがさ、メシ食う時に口の中で舌をよく動かすじゃん」
「歯にものが詰まっててね。」
「そう。…俺はアレが好き。」
「マニアックw」
「だってさ、それしながら首傾げるんだぜ?そんな時に目が合ったりしたらさぁ…」
「なんですか…怖」
「そりゃ、好きになるだろw」



わっかんないよっ
て、また笑って

調子に乗った翔さんに
『俺は?俺は?』て聞かれたけど

なにも教えてはあげなかった。






そして数日後、

オレはまた…
夢でわんこになっていた。









(.゚ー゚)この表情でしょ?翔さんの好きなオレの顔って。
(`・З・´)どえれぇ可愛いじゃんww

そして
2人ともお互いに🐢さんをガン見っと…φ(..)メモメモ




お次はウキウキウォッチの12時( *´艸`)