この前に ninoわんこ 弐ー8 上がってます
N side
「おー、相葉くん。元気だった?取り敢えず中入って。」
「ありがとありがとーって、あー!やっと会えた、オレが選んであげたわんこー!」
言うが早いか
相葉さんは、すぐさまオレの目線と同じ高さまで体を曲げ『はじめまして ぼくちゃん。こんにチワワ♡』なんて、下手くそなウィンクをした。
「わふっ」
「うおっ」
驚かせ紛れに噛み付くような仕草をしたら、仰け反るようにビビる相葉さん。ついつい可笑しくてクスクス笑ってしまった。
「え… 翔ちゃん、この子さ…」
「…だろ?」
「あのさ、…どー見ても笑ってるよね。」
「そうなんだよ。コイツ、ちょっと人間ぽいとこあってさ。」
「すごくない?なんか頭がいいって言うか…」
「相葉くんをビビらせて笑うとか、なんk」「ビビってねーし」
ほらほら、そういうとこ。
そうやってすぐ『ビビる』に反応するから、あなたの事は余計ビビらせたくなるんですよwww
「うわっ なんかちょっと嫌な笑い方された気がする。」
「そんなこと…」
「翔ちゃん、ちょっとこの子さ、オレにも抱かせてくれる?」
「えっ いーけど。抱ける?意外と人見知りするよ、この子。」
相葉さんに、オレの目の前で『はい おいでー』なんて手を伸ばされた。
行かないよ。
オレは。
だってこの人に抱かれたら、
何されるかわかんないからね。
「きゅーん…」
「ん? お前、やっぱ怖い?」
「なんか怖がってる感じだよね…。」
相葉さんは残念そうに伸ばした腕をしまい
どこか納得したように翔さんの顔を見つめた。
「翔ちゃんのLINEで言ってた通りだね。人見知りの時期なのかな。」
「かなー。俺もよくわかんねーんだけど。」
「でもまあ、見せてあげる分には大丈夫じゃない?オレにも吠えないし。」
「んー。かなー。でもさっき『わふっ』て鳴いたけど、アレは?」
「アレは本人的に喜んでるみたいだったじゃん、オレが驚いてんの見てくすくす肩揺らしてたし。」
廊下を歩きながら2人が会話するのを聞いてると、どうやら翔さんはオレの人見知りを相葉さんに相談してたらしい。
で、相葉さんが家にまでわざわざ見に来てくれたってこと?
すげー仲良しじゃん、あなた達。
翔さんは取り敢えずオレを抱きながらキッチンに向かい、冷蔵庫から冷たく冷えたビールを取り出した。
それを相葉さんが受け取り
また、翔さんが片手でお菓子コーナーからビスケットを取り出す。
てかさ、よく来てんのかね。相葉さん。
だってこんな連携プレーといい
ビスケットの常駐といい
それともあれか
こっちの世界線では
翔さんと相葉さんが付き合ってるとか?
考えただけで身震いした。
それはないな。絶対に。
だったらオレに『ニノ』って名前付けて、ちゅーとかして来ないでしょ、この翔さんが。
夢とはいえ、
オレは嫌だからね。
翔さんがオレ以外の誰かと
付き合うのなんて。
思わず翔さんを見上げてひと鳴きした。
「きゅーん」
「ん? 苦しい?ごめんな、片手で抱っこしてて。」
「え、翔ちゃん、会話してんの?」
「そうなんだよ。俺達、すげー通じあってんの。」
「あひゃひゃっ 翔ちゃんのドヤ顔すごいよww」
ソファにゆっくりと降ろされ
オレも翔さんの隣りで犬用のビーフジャーキーを貰う。ソファは布製だから、爪がひっかからないようにと、注意しながら食べた。
目の前では翔さんと相葉さんが昼間からビールを飲んでて、思わず、いいご身分ですね〜なんて言いそうになる。
まあ、声に出したところで
オレの声は犬語にしかならないから
2人にはわからないと思うけど。