好きなものを選り好みして摘んでは眺め悦に入っているのに、

頼んでもいないのに好ましくないものひょいと摘んで

人の鼻先に差し出されても閉口する。

私の過去には違いないのだが甚だ不都合だからだ。

こんな風な過去が幾重にも織りなされて

人は時を重ねてゆきます。

記憶として愛でるのは好ましいものだけ。

なんであんなに執着していたのか

といった類いの気恥ずかしい過去は、

なるだけ記憶の奥底に

深く沈めたままにしておきたいのです。