【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳 -2ページ目

源氏物語イラスト訳【紅葉賀165】夕立して

夕立して、名残涼しき宵のまぎれに、温明殿のわたりをたたずみありきたまへば、この内侍、琵琶をいとをかしう弾きゐたり。

 

【これまでのあらすじ】

桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。

光源氏18歳冬。藤壺宮は、光源氏との不義密通の御子を出産しました。源氏は宮中の女官に手を出すこともなかったのですが、年増の源典侍(げんのないしのすけ)には少し興味を持って、ちょっかいを出しています。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

夕立し名残涼しきまぎれに、

訳)夕立が降っ、その余韻涼しい夕闇紛れて、

 

 

温明殿わたりたたずみありきたまへ

訳)温明殿辺りうろつきまわっいらっしゃる

 

 

この内侍琵琶いとをかしう弾きたり

訳)この源典侍が、琵琶とても趣深く弾いて座っている

 

【古文】

夕立し名残涼しきまぎれに、温明殿わたりたたずみありきたまへ、この内侍琵琶いとをかしう弾きたり

 

【訳】

夕立が降っ、その余韻涼しい夕闇紛れて、温明殿辺りうろつきまわっいらっしゃる、この源典侍が、琵琶とても趣深く弾いて座っている

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【夕立す】…夕立が降る

■【て】…単純接続の接続助詞

■【名残(なごり)】…余韻。影響。なごり

■【涼しき】…シク活用形容詞「すずし」連体形

■【宵(よひ)】…夜。夕闇

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【まぎれ】…気が紛れること。見分けにくいこと

■【に】…時(場所)の格助詞

■【温明殿(うんめいでん)】…平安京内裏の殿舎の一つ。紫宸殿(ししんでん)の東北、綾綺殿(りようきでん)の東にあり、三種の神器の一つ、神鏡を安置する賢所(かしこどころ)がこの中にあった。常に内侍(ないし)が伺候していたので、「内侍所(ないしどころ)」とも

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【わたり】…あたり

■【を】…対象の格助詞

■【たたずみありく】…あちこち立ちどまっては、歩いてゆく。うろつき歩く

■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【ば】…順接確定条件の接続助詞

■【内侍(ないし)】…源典侍(げんのないしのすけ)のこと

■【琵琶(びわ)】…弦楽器の一つ。木製の楕円形(だえんけい)の平たい胴に、四本または五本の弦を張ったもの

■【いと】…とても

■【をかしう】…シク活用形容詞「をかし」連体形ウ音便

※【をかし】…趣深い。すばらしい

■【ゐ】…ワ行上一段動詞「ゐる」連用形

■【たり】…完了(存続)の助動詞「たり」終止形

 

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GWも終わり、そろそろ夏が近づいてきますね。

 

夏といえば、梅雨。スコールが降ったりもします。

雨上がりの風情が、いちばん感じられる季節ですよね。

 

 

今回出てきた「温明殿(うんめいでん)」というのは、平安内裏の御殿(大奥)の1つです。

 

 

紫宸殿 (ししんでん) の北東、綾綺殿(りょうきでん)の東にあり、賢所(かしこどころ)として、

神鏡が安置されている、神聖な場所です。

 

ここは、内侍たちが常に控えていたので、

内侍所(ないしどころ)とも呼ばれます。

 

 

夕立のあと、この神聖な場所で、

源典侍が、美しくおごそかに、琵琶を奏でています。

 

光源氏は、この源典侍の年甲斐もない、色好みの性癖に、「もの憂さ」を感じていたワケですが、

 

こういう情趣ある状況に、少しほだされて、

源典侍に、ちょっと気が惹かれていくような展開!

ゲロー

 

さて、今後どうなっていくのでしょうか?

期待してみましょう!

 

 

 

 

 

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