親の連れ去りが刑事罰となった判例 | あいせきさん

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(事件の概要)

離婚係争中に母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例

(裁判経過)

第一審 平成16年3月9日 青森地裁八戸支部 判決 平成14(わ)170号

量刑 懲役1年

上告

平成16年8月26日 仙台高裁 平成16(う)69号 未成年者略取被告事件

(判決の理由:抜粋)B(被告の妻)C(被告の子)

刑法224条は,その主体を限定しておらず,また,同条にいう略取とは,暴行,脅迫により,人をその保護環境から切り離し,不法に自己または第三者の実力支配下に置くことを言うのであるから,親権者であるが故に,事情の如何にかかわらず,当然に,その子について未成年者略取罪の主体となり得ないとか,略取をしても不法性を欠くとはいえないところ,本件では,被告人は,Cの共同親権者であるとはいえ,前期認定事実のとおり,Bとの夫婦関係が破綻する仲,Cが,平成13年9月15日以降,本件被害に遭う同14年11月22日までの訳1年2か月の間,1〈7〉の被告人らにより沖縄に連れて行かれた10日間を除き,青森県八戸市内のBの実家で一方の共同親権者であるB及びその両親に監護,養育されて平穏に生活していたのに,保育園からの帰りを狙って,1〈9〉のとおりCw連れ去って,Bらの保護環境から一方的に離脱させ,そのころから同日午後10時27分ごろまで車内に止めて自己の実力支配下に置いていたのであるから,被告人がCを略取していることは明白である。所論は採用できない。

上告

平成17年12月6日  最高裁判所第二小法廷 平成16(あ)2199号 未成年者略取被告事件 

(判決の理由:抜粋)

被告人は、離婚係争中の他方親権者であるBの下からCを奪取して自分の手元に置こうとしたものであって、そのような行動に出ることにつき、Cの監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情は認められないから、その行為は、親権者によるものであるとしても、正当なものということはできない。また、本件の行為態様が粗暴で強引なものであること、Cが自分の生活環境についての判断・選択の能力が備わっていない2歳の幼児であること、その年齢上、常時監護養育が必要とされるのに、略取後の監護養育について確たる見通しがあったとも認め難いことなどに徴すると、家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまるものと評することもできない。以上によれば、本件行為につき、違法性が阻却されるべき事情は認められないのであり、未成年者略取罪の成立を認めた原判断は、正当である。