こんばんは (*´∀`*)
今回はいよいよ!彼の登場です。
ちなみに予告で「誰?」となったアレも明らかに(笑)
それでは、どうぞ♪




17



「入って」

 連れてこられたのは、あの場所からずいぶんと離れた洞窟だった。
 狭く暗い洞窟を進んでいくと、時折水が落ちてきてウンスはびくりとしてしまう。そんなウンスを見てクスクス笑いながら前を歩くのは、ここまでウンスを連れてきたシヌだ。後ろには黙ってヨンを重そうに担いでいる青年、ヨンピルがついてきている。

 そうして洞窟の最奥に辿り着くと、いきなり視野が広くなりウンスは思わず目を細めた。

「うわ……すごい」

 そこは吹き抜けのようになっており、遠くに見える空から光が入り込んで明るい。広く円状に広がっている壁にはいくつかの穴蔵があって、その全てに扉がついていた。まるで岩の要塞だ。その光景に思わずウンスはポカンとしてしまう。





 あの後————


 二人の所に置いてくれないかと頼んだウンスに、シヌは少し驚いた顔をして尋ねた。

「野党だって言ったじゃないか。怖くないの?」
「野党は怖いけど、あなたたちは怖くないわ」

 歳もあったが、二人の雰囲気はどうもスリバンの青年二人のものと近くて、あまり怖いと思わなかった。それに何より、シヌは一番最初に大丈夫かと心配してくれたのだ。
 その答えを聞いたシヌは嬉しそうに隣の男、ヨンピルに「いいかな?」と尋ねた。

「駄目だって言ったって連れて行く気だろう。だが、あいつがなんて言うか…」
「そこが問題だけど…医者って言えばなんとかなるんじゃない?」

 そう言うシヌに畳み掛けるようにウンスはヨンピルに懇願する。

「お願い!巻き込まれて兄は矢に射られたの。毒かもしれない!治療をしないと…」
「あんたが医者じゃないのか」
「ここでは無理よ。ちゃんと調べないと…。ただでさえ、私は病気と怪我専門で毒にはあまり見識が無くて…」

 ウンスは目に涙をためてヨンを見つめ、その様子にヨンピルはがしがしと頭を掻くと「しょうがねえな」と言ってヨンを担ぎ上げた。シヌはウンスににこりと笑うと「じゃあ行こうか」と言って歩き出す。

「…え?」
「ヨンピルがいいってさ」
「っ!ありがとう!」

 そうして、少し離れた所に留めてあった馬に乗せられ、走ること数刻——。
 辿り着いたのが、一見何も無い岩壁の前だ。

「ここ?」
「そう、ここ」

 そう言って、シヌは大きな岩に手をのせると軽々と動かしてしまった。見た目からは考えられない程、力があるのだろうかと驚いているウンスに笑いながらシヌはネタをばらした。どうやら岩の中をくりぬいて空洞にしているらしく、例えばウンスでも動く程の軽さにしてあるそうだ。

「そう言えば、俺はシヌ。あっちはさっき言ったけど、ヨンピル。お姉さんの名前は?」
「私は、ユ——」

 ウンスと言いかけて、止める。医仙として「ユ・ウンス」の名がどれほど広まっているか分からない。安易に名を教えるのは止めといた方がいいかもしれない。

「ユ?」
「ユ…ス。私は…ユスよ」
「ユスね、分かった。じゃあユス、入って」
「ここに?」
「いいからいいから」

 岩を退けて出てきたのは狭い穴で、中を覗くと狭く洞窟になっているのが分かった。ただ、とても人の住むような洞窟ではない。そう思っていたのに————

 洞窟の最奥に広がった光景にウンスは思わず感嘆の声を上げた。岩を削って作られた長い階段もあり、その先には足場と、窓のような穴が開いている。

「あの穴は?」
「ああ、あそこは外に繋がってる。外から入るのは無理だけど、中から外に出ることはできるよ。縄を持って行かないといけないけどね」

 なるほど、とウンスは頷いた。あの窓のようなものは確かに外に繋がっているのだろうが、出たそこは岩肌の真ん中だ。地につく為には縄を持ってその窓から垂らす必要があるのだろう。

 笑っていたシヌだったがウンスの後ろから近づいた影に顔を見て、少し緊張が走った。

「おい」
「痛っ」
「こいつは誰だ?」

 ウンスはグイと後ろから腕を掴まれ、低い声がウンスのすぐ後ろから響く。
 痛みに顔を歪ませながら後ろに首を回したウンスは男を見て目を丸くした。

 少し長めの髪を乱雑に後ろで結んでおり、前髪の隙間から覗く瞳は野生の獣を思わせる。大きな背と広い肩幅、確かに目の前にいるのは…

 ————ヨンファ!








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