こんばんは(。>ω<。)ノ
年度末でバタバタしておりお届けが遅れております(´ω`;)
今回はアラジンの続き!軽い感じでお読みください♪
2
アラジンが魔人を住処に連れて行く道すがら、ランプの中から魔人がひそひそと話しかけてきました。
「あ!あれ美味しそう」
「魔人も食事を?」
「しなくても平気よ。でも人の食べ物は美味しいし、おもしろいから好きよ」
魔人の楽しそうな様子に、ヨンは露天の串焼きや菓子などを購入してあげました。
「えっ?いいの?嬉しい!」
「あまり高いものは買えぬが…」
「十分よ!」
その時でした。横を通り過ぎた男が、ヨンの財布をポケットから抜き取ったのです。ベルトにくくりつけられていたウンスはそれに気づき教えようとしたのですが、その前にヨンは男を捕まえていました。
「このやろう!離せ!」
危なげなく男の腕を避けたヨンが蹴りを入れると、男は壁に吹き飛びました。その強さにウンスは唖然とします。
「あなた強いのねぇ!食べ物のお礼にやっつけてあげようかと思ったけど、不要だったわね。じゃあ早く帰りましょ!」
買った食べ物を見ながら、早く早くと急かすウンスに、面白い魔人だとヨンは笑ってしまいました。
⭐︎
「ちょっと、痛いじゃないの!もうっ!もっと丁寧に扱いなさいよね!」
ランプからボワンとウンスが出てきました。
食事を堪能したウンスは、一休みと言ってランプに戻ったのですが、ヨンがあまりにランプを触るのです。これでは落ち着いて寝れません。
「すまぬ」
プリプリと怒るウンスに、ヨンはランプから手を離しました。
「私とランプは一心同体なんだから!」
「ランプが本体だと?」
「…そうっちゃそうだけど、なんか…嫌だわ、それ。私はランプの魔人なんだから、ランプそのものではないわよ」
ウンスは間違っていないと言いながらも憮然とした表情をしています。
「ランプはどのように扱えば良い?」
「いいこと?一日一回はちゃんと磨くの。ゴシゴシ擦るんじゃなくて、丁寧に優しくね。私が寝てる時はむやみに触らないこと」
人差し指を立てながら、何とも注文の多いランプです。ため息をついたヨンはクッションの上にランプを置きました。
「あら、いい寝床ね!」
そう言ってもう一度ランプに戻ったウンスでしたが、最後に顔だけ出してきました。
「あ、暇だから外出時はランプごと私も連れて行ってね!」
⭐︎
ランプのままヨンに持ち運ばれたり、たまに人になって街を一緒に歩くようになって数日が経ちましたが、ヨンの願いは一向に見つかりません。
それでも、一緒にいると楽しくて、ヨンはつい願いのことを忘れそうになるのでした。
「ねぇ絨毯、ヨンったらちっとも願いを言ってくれないのよ。わたしの仕事なのに」
これ見よがしに絨毯に話しかけるウンスに、 絨毯がフリンジでよしよしと頭を撫でています。いかにも物語のような可愛らしい二人のやりとりに、ヨンはクスリと笑いました。願いが見つからないことは申し訳なく思っていますが、ないものは仕方ありません。
「ねぇ絨毯、わたしどうしたら良いかしら?」
「もし俺の願いが、このまま見つからなかったらどうなる?」
「うーん、今までそんな事なかったから分からないわね」
ヨンを見て、ウンスはため息をつきました。
「あなたって本当に欲がないわね。今までの主人と大違い」
「今までの?」
「ええ。何にも言わないんだもの」
そう言って、どこか嬉しそうにウンスは笑いました。
そこでヨンは気付いたのです。
「俺の願いは見つからぬが…ウンスの願いは何かないのか?」
「私の?」
「それとも、魔人の願いを叶えた場合は俺の願いには入らぬか?」
ウンスは驚いて目を丸くしてヨンを見ました。主人にそんなことを言われたのは初めてだったのです。
「私の願いは…。なんでもないわ。それより、あなたの願いをゆっくり考えて」
続
魔人とヨンの日常。