こんばんは♬

君歌8-3です。やっと8話が終わりました笑

 

新型コロナウイルス肺炎、すごいニュースで本当怖いですね。

予防も何が有効か分からないところがまた恐ろしいですが、スタンダードに手洗いうがい、消毒など、心がけたいですね。。。

皆様もどうぞお気をつけくださいませ。

 

 

 

 

 

 

8-3

 

 

 その言葉に、ヨンはウンスの手を強く握りしめた。

 

 そんなヨンの手にウンスのもう片方の手が優しく添えられる。その暖かさに、伏せていた瞳をウンスに向けると、穏やかに笑うウンスの瞳がヨンを見つめていた。

 

「私が天界に帰りたいって、そう言ったら…なんて、考える必要ないの」

 

 その言葉に、ヨンの瞳が丸くなる。

 

「私はねテジャン、故郷より何より…あなたを選んだ。とっくに覚悟なんてしてるわ。だから後悔なんてしない。あなたが側にいてくれるなら—————絶対に。そうね、もし私が帰りたいって言うとしたら、テジャンが心変わりした時かな」 

「有り得ませぬ」

「本当に?絶対って言える?」

「誓って」

「だったら…あなたも疑わないで。私が…あなたの側を離れることができると思う?私の覚悟はそんなに軽いもの?あなたの不安を聞いて、そう思われてたと感じて…悲しかった」

「そのようなことは!されど、俺がイムジャから故郷を奪ったのは事実です。あの男に会いたいと言われ…きっと故郷を思い出したのだと…」

「私が故郷恋しさにジュウォンに会いたかったと?」

「違うのですか?」

「もうっ!私はね、未来から来たって言ったでしょ?だから…私以上に何か知ってることはないか、聞きたかったのよ。それがもし、あなたの危険に関することなら…って」

 

 ヨンはウンスの言葉にポカンとしてしまった。

 

 —————俺の…ため?

 

 たったそれだけのために…とヨンは思う。ヨンにとっては自分の身のことより、ウンスの方が大事だからだ。それなのに、自分の危険を知るためだけに、ウンスは会いに行きたいと望んだのだ。今回はそうではなかったが、もしかしたら、己の身を危険に晒していたかもしれないというのに。

 

「もう分かった?だから、最初から不安になる必要なんてなかったのよ」

 

 ふふっと笑って「ね」と言うウンスから思わず顔を背けてしまった。ウンスが自分から離れるなどといった思い違いの気恥ずかしさに、はぁーと力なくウンスに崩れ落ちる。

 

 ウンスのことになると冷静な判断を失うのはいつものことだが、冷静になってみればウンスの気持ちを疑うなど、ウンスが怒るのも当然だ。

 

「もしそうであれば俺も天界にと…」

 

 力が抜けて思わず吐露してしまう。これがぐるぐると考えながらも出した答えだった。そのために、どれだけの事をしなければならないかとまで考えていた。

 

「あら、来てくれる気だったの?」

「されど俺は武士です。天界に行ったとて俺は何も出来ずに、おそらくイムジャに迷惑をかけると思うと…」

 

 そう簡単に、言えるものではなかったのだ。

 

 天界では戦いなどないとウンスは話していた。一度ウンスを連れに行った天界で、自分は明らかに異質だった。このままでは、録も稼げぬ身となることは想像に容易い。

 天界に付いて行きウンスの足枷になるなど、己の矜持が許さなかった。

 それでも離したくないのなら、ウンスと共に在るために、向こうで一体何ができるだろうかと真剣に考えていた。その答えは結局未だ見つかっていないが。

 

「そこまで考えてくれて悪いんだけど、私はもう高麗で生きるって決めてるのよ」

 

 ふふっと笑ったウンスはすっと立ち上がると、座ったヨンの前に立ち腰を屈めた。

 

「それとね」

 

 ぱん!と音を立てて両頬をウンスの両手に挟まれ、顔を覗き込まれる。地味に頬が痛い。一体何をするのかと驚くが、どこか怒ったように、強い意志を宿した瞳がしっかりと自分を捉えていた。

 

「私はあなたから何も奪われちゃいないわ」

「されど…俺は故郷を、家族を…イムジャから…」

 

 自分が高麗にとウンスを望んだことで、ウンスが失ってしまったもの。その代償は大きい。ウンスを愛しく思うからこそ、手放せないからこそ、自分を責める気持ちがずっと心の奥底にあった。

 

「いいこと?チェ・ヨン!私は奪われたんじゃないわ。私が、あなたを選んだの!分かる?!」

 

 いつだって自分の道は自分で決めている。ヨンと共に高麗にいると決めたのは自分の選択だ。それをヨンの所為だなんて思ってはいない。むしろそんな罪悪感を持ったままそばにいられるなんてまっぴら御免だ。

 

「きっと、両親だって…私の選択を誇りに思うわ」

 

 そんな人達だ。どんな道に進もうとそれは自分で選択したことだ。選択した道に責任を、そして自信を持ちなさい。そしてその選択に誇りを持ちなさいと言われて来た。

 だから、ウンスは高麗にいると決めた自分に、こんな風に心から人を愛せた自分に誇りを持っている。

 

 ヨンは何も奪っていない。それどころか、人を愛して何よりも大事に思う心を与えてくれた。そして、その心を返してくれるからこそ、自分を大切にしようと思える。

 

「あなたはずっと、与えてくれているわ」

 

 それでも、思い出すとジワリと涙が出てくるのは仕方がない。寂しい気持ちはあるのだから。

 

「故郷?家族?ええ、確かにそれは高麗にはないわね。だったら!今の私にないって言うなら、だから心苦しいって言うなら…あなたがなってよ!故郷も家族も!そしたら万事解決でしょ」

「俺が…?」

「何よ!不満!?」

 

 この涙が何処からくるものなのか、ウンス自身にも分からない。ただただ色んな感情が押し寄せて涙となって溢れて来た。

 

 

 そっとヨンがウンスの頬に手を添えると、暖かい涙が手を伝ってほとりと落ちた。

 

 —————本当に…このお方は

 

 自分の不安など、ウンスの前ではこうも簡単に吹き飛ばされてしまう。そうして尚、心からの喜びをももたらしてくれる。

 暖かいものがヨンに巣食っていた不安ごとふわりと包み、胸を埋め尽くす。

 

 自分が家族であれば良いとウンスは言うのだ。

 故郷、それはつまり、自分がウンスの心の帰る場所なのだと。愛しい女からそう言われて嬉しくない男が何処にいるだろう。

 

 ヨンはその喜びのまま、ウンスを引き寄せ抱きしめる。

 

「本当に、あなたには敵いませぬ…」

「やっと分かったの?」

「ええ、確かに言う通りです。俺がなります。イムジャが帰る場所は、俺の元です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウンスさん、無自覚の逆プロポーズ?笑

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