こんばんは♪
なかなか更新ができずに申し訳ありません .・゚・(ノд`)゚・.
この忙しさ、来週一杯が終われば少し落ち着くんじゃないかと思うのですが。

さて、今回は夢幻の更新です!
予想外のあの人が登場…。





19


「……うーん、生活のことって言っても特にないから。今言った事くらいかな」
「大体分かった…と思う」

 どうやら此処にいるのは、ヨンファを頭に十数名の男がいるらしい。ヨンファが全員を取りまとめていて、腕っ節はかなり強いとのことだ。ヨンファに逆らう者はいないようで、先程のヨンファとの会話にはハラハラしたと言われてしまった。

「でも、ヨンファはいい奴なんだ」
「乱暴だけどな」

 二人とも親を失って困っているところをヨンファに拾われたと言った。なんだかんだいいつつも、ヨンファを慕っているようで二人の顔は明るい。

「もうすぐしたら他の奴らも帰る頃だから、帰ってきたら呼ぶよ。紹介する」

 そう言って二人が部屋を出て行くと、どっと疲れが来てしまい、ウンスはヨンの横にへたり込んだ。

 ————テジャン…

 濡らした布を額にあてて、そっと頬を撫でる。ヨンに逢ってはならないことを忘れた訳ではない。それでも、あの場で放っておく事等出来なかった。ヨンがもし目を覚ましたら、自分はどうしたらいいのだろう。
 とりあえずまずは治療が先決だ。そうしてヨンが目覚めたらどうにかして自分の兄だと口裏を合わせなくてはいけない。できれば自分の姿を見せる事無く…もしくは目が覚める前に近衛隊の元へ連れて行くことが出来れば…

 ————って、無理すぎるっ!

 はぁとため息をつくと、ばふっとヨンの横に頭をつける。考えるのももう疲れてしまった。
 ヨンの様子は自分の目から見た限り熱以外の問題は無いように見える。おそらく後は目を覚ますのを待つだけなのだが、なにせ毒についてはあまり詳しくない。後に容態が急変するのかもという心配もある。毒に詳しい人がいるのなら是非診てもらいたいが、帰ってくるまでにはもう少しありそうだ。

 ————少しだけ……

 そうして、シヌが呼びにくるまでの少しの時間、ウンスは少しの眠りについた。







「おおー、こりゃまた別嬪だな」
「シヌ、ヨンピル、よくやった」
「たまには役に立つじゃねーか」

 シヌに呼ばれて部屋を出ると、わいわいと男達がウンスに注目してきた。野盗よろしく厳つい男達ばかりだが、その明るさになんとなく近衛隊を思い出してしまって、ウンスはクスリと笑う。

「お嬢さん、名前は?」
「ユスよ。これからよろしくね」
「医者なんだってなぁ」
「ええ。ここに置いてもらっている間は、医者として働くつもり。それより…毒に詳しい人がいるって聞いたのだけど」
「毒がどうかしたか?」
「私の…兄が矢に射られて。毒が塗ってあったかもしれないから診てほしいのよ」

 男達は興味津々と言った様子だったが、毒と聞いて影になって見えていなかった所から一人の男が出てきて、ウンスの驚きのあまり口を開いたまま止まってしまった。

「どうした?」

 ウンスの様子を見て男達が尋ねてくるが、ウンスの瞳は男に向けられたままだ。名を呼びたいのに声が音にならない。代わりに、涙がじわりと込み上げてきた。

 ————生きてたの…

 その男はウンスの様子を訝しげに見ていたが、ウンスは衝動のままに駆け寄って抱きつく。男は驚いた様子で固まってしまい、周りの男達は「おお?!」とどよめいたのが分かったが、そんなこと今はどうでもよかった。

 ————また会えるなんて

 誰に感謝したらいいのか分からない。ただ嬉しさと安心感で胸がいっぱいになってしまい、涙が止まらない。
 ずっと会いたかった。死んだなんて信じられなかった。
 顔には火傷の後が濃く残っていて以前そのままとは言い難かったが、抱きついた彼からするほんのりと優しい香りは、今でも変わっていない。

「生きてたのね」

 顔を上げて彼の瞳を見たウンスは、やっと彼の様子がおかしいことに気づいた。自分を見るその瞳は困惑したもので、目を丸くしている。

「あなたは、私を知っているのですか?」
「え?何を言って…」
「ユス、ソンギルを知っているの?」

 声はシヌのものだ。「ソンギル」とは一体どういうことかとウンスはシヌを振り向いた。

「ソンギルは、もう2年かもう少し前にヨンファと俺が高麗の都で拾ってきたんだ。都外れの方に置かれてた死体の山の中でね。全身酷い火傷ではあったけど、まだ息があったから」
「死体の…?」

 確かに、あの時には多くの負傷者が出て死んだ人間も多い。埋葬は後回しになった筈で、自分は彼の死体を確認していない。火傷を負って、切られて血にまみれていた状態であれば死んでいると誤認される可能性だって考えられる。ましてやあの惨事の中だ。

「何故、高麗の人に言わずに此処に連れて?」
「彼の敵か味方か分からなかった。教えた所で殺される可能性だってあるだろう?回復したら事情を聞いて彼の元居た所に帰ってもらおうと思ったんだ。でも」
「でも?」
「回復したのはいいんだけど、記憶を無くしてた。だから、そのまま此処にいるだけだよ」

 ウンスは説明を受けてもう一度男をじっと見つめた。

「私のことも、分からない?」
「すみませんが…。私のことを知っているのならぜひ教えていただきたい」
「ええ。よく…とてもよく知っているわ」

 ————記憶が無くてもいい。生きていてくれただけで嬉しい

「チャン…先生」



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