夜中にこんばんわ(*´ω`*)

やっと後編です。重い!

 

メヒとの別れ。ここから死人のようなヨンになってしまったのですね。

でもきっとヨンは、もしウンスとこういう別れをしたら生きられなかったのではと思ったのです。

だから少し想いが、違ったのかなと。あくまで個人的な見解ですが。願望かもしれません。

 

 

ということで、何でもOK!シリアスバッチコイな方、どうぞお進みくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も私を責めなかった

 

いっそ責めて欲しかった。お前の所為で師父は死んだのだと

 

——————いいえ、どうであろうとも、私には耐えられなかった

 

 

ごめんね、きっと貴方は自分を責めるわ

 

でも貴方は強い人だから…

 

 

私とずっと一緒にいてくれて、将来を約束してくれて、本当に嬉しかった

 

言えなかったけど、本当は分かっていたわ

 

貴方と私の想いは少し違うこと

 

それでも、大切に思ってくれてるのは分かっていたから、それだけで十分だった

 

これから同じ想いを育んでいければいいと——————

 

それなのに、そんな未来でさえ私には———もう色を失って見えるの

 

 

この世に神がいるのならどうか、どうか、どうか——————

 

彼が、本当に心から想える人を

 

——————彼への想いを貫ける、強い人を

 

 

 

どうか

 

 

 

 

彼と逢わせてください

 

 

 

 

 

愛する人(後編)

 

 

男はふっと笑った後、その声に真剣な色を滲ませた。

 

「メヒとはどうする」

「夫婦で漁師も悪くないだろ」

「お前のそれは、情——————ではないか?」

 

訝しむようにヨンは男の顔をジロリと見やる。

 

「何を…」

「ヨン、お前はメヒの幸せを望むか?」

「当たり前だろう!何が言いたい!?俺はあいつを大切に思っている!幸せになってほしいと…」

「幸せになってほしい、か。幸せにするのではなく」

「何、だと?」

 

自分の言葉を突かれてヨンは愕然とした。

 

「幸せになってほしい、それは親が子を慈しみ願うことだ」

「そんな事、俺は———​​」

「反対しているわけじゃない。よく考えろと言いたいだけだ。情によって夫婦となり、その後に心を築いていく者達もいるだろう。だがお前は鈍そうだからな。自覚なしにメヒを傷つけんとも限らん」

「—————​​​​​​​俺は、あいつを大切に…」

「分かっているさ」

 

そう言った男と別れ、ヨンはどさりと腰を下ろし鬼剣を眺める。

 

メヒを守りたい。心から大切に思っている。

だからこそメヒの幸せを願っていた。

ただ、自分が幸せにするのだと、強く願ったことは—————なかった。

そう気づいてしまったが、別にそれでも良いと思った。

 

「これからそう思えば良いんだろう?」

 

大切なのは本当なのだから、そうやって慈しみ幸せにすれば良いのだ。

まるで師父に話すように、己に言い聞かせるように、物言わぬ鬼剣に呟いた。

 

 

 

 

そうして帰途についたヨンが目にしたのは空となった部屋—————

 

部屋を飛び出し叫ぶ。

 

「メヒ!?どこだ!?」

 

—————元気になっていたのではなかったのか?!

 

駆けるヨンの頬を冷たい葉が切り裂き、木の枝が邪魔をする。

 

いや、本当は感じていた。

あの日の数日前に師父から感じた気配、風が凪ぐような—————どこか静かで危うい気配をメヒも纏っていた。

 

—————何故俺は側を離れた!?

 

走りながら、メヒはもう帰っては来ないと心のどこかで分かってる自分を、その事実を信じたくなくてひたすらに探す。

 

—————お前は悪くない!そう言っただろう!

 

そのうち、元気になれば落ち着くだろうと、側に俺がいるのだから…と。

自分の声はメヒに届いていると、そう思っていた。その過ちに気づいても今更だった。

 

 

—————俺はお前を救ってやれなかった…俺の所為だ。

 

 

ヒラリ、とヨンの手に布が落ちた。濃紺の、ヨンがよく知るそれ—————

 

 

—————嗚呼、そうか

 

 

—————赤月隊も、敬愛する師父も、大切なお前も

 

 

 

ヨンは立ち止まると乾いた笑みを浮かべ、その布を握りしめる。

 

 

 

—————俺は、何一つ守れぬ

 

 

 

—————もう、いい。きっとそのうちすぐに、俺も追いつく

 

 

 

死に向かっていけばいい。

 

 

 

 

そう思いながら、光を失った瞳で俯いたヨンの頬にポタリ…と雨が落ち、暖かい雫が頬を撫でるように流れた。

 

 

だがヨンがその熱を感じることは—————未だ、なかった。

 

 

 

 

 

 

 

数百年の時を超えて出会う二人は果たして偶然か運命か

 

 

死にゆく心を救うことができる女人—————紅い髪をした天女をヨンが見つけるには

 

 

 

ここからまだ、しばしの時を必要とすることとなる。

 

 

 

 

 

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