こんばんは(*´∇`*)やっと週末ですね!

 

「愛する人」時は現在に戻り、糖分高めでお送りします。(文字数が…やけに長くなりました)

 

ではでは、いよいよ最終話!

ということで、恒例の秘儀!コメ返しも致します(*^ω^*)

ぜひ奮ってコメントプリーズ。笑

 

 

その前に一つご連絡です。アメンバー申請くださった方、届いた申請は全て承認させていただいております。

なぜか申請が届いてない方が数名いらっしゃるようで。゚(゚´ω`゚)゚。

不具合なのかわかりませんが、もし申請したのに承認されていないよ!という方がいらっしゃいましたら、再度申請をよろしくお願いいたします。

(一度ログアウトして申請も有効だそうですが、原因は今運営にも問い合わせしております)

 

ではでは、どうぞ〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「大護軍」

「はい、王妃様」

 

穏やかな風が吹く中、王妃は庭園の池にかけられた橋の上でヨンに話しかけた。

王妃の瞳は、橋を渡って少し先にいる王に向けられており、王はその視線に気づくと優しく笑った。声は聞こえないが、王の側ではウンスとチェ尚宮が何やら楽しそうに話している。

 

その日は綺麗な青空で、部屋にいるのが我慢できなくなったウンスの提案により、王は王妃と、ヨンを含めた護衛を連れ王宮の庭園に出ていた。

あの時のようだと王妃は懐かしく思いながら、ふと、ウンスと話した言葉を思い出したのだ。

 

「以前、医仙に天界の言葉を教わったことがある」

「天界語…ですか」

「大護軍は天界語を話さぬと言っておったが、何故じゃ」

 

そう問われたヨンは、少しだけ気まずそうに顔を逸らした。

 

 

 

愛する人(最終話)

 

 

 

「質問に答えよ」

「…あの頃は、医仙を天界に返すつもりでした」

「だから覚える必要はないと?」

「いえ、そうではありませぬ。ただ…」

「ただ、何じゃ」

「天界語を知り、話す。それは医仙を知ること…あの方を知れば、放せなくなると思うたのです」

「では、今は?」

「今は、そのようなことは。ですが…」

 

今更、敢えて天界語を話す機会がないのも事実だった。

ウンスの口から天界語が出ることはあっても、以前のようにヨンにそれを求めることはない。

おそらくウンスは、自分に天界語を話させることを諦めているのだろう。

 

「愛する———と言うのだそうだ」

「あい?」

「先ほど言ったであろう。医仙を知れば放せなくなると」

「王妃様、それはその…忘れていただきたく」

「側にいるのに、恋しいと————そう思うたか?」

「側に、いるのに…恋しい————」

 

そう呟いたヨンの脳裏に懐かしい記憶が蘇る。

 

 

 ————ねえ、そこにいる?

 

 ————私に聞きたいことは、ある?

       ありませぬ。聞きたいことが…多すぎて。

 

 

ヨンの表情を見て、王妃は続けた。

 

「相手を心から大事に思い、側にいたいと願う。そして側にいるのに、恋しいと想う。それを天界語で《愛する》と言うそうだ」

「愛する…」

「元にいる時、私は王をお慕いしていた。でも今は————違う。この気持ちが愛すると言うのだと、医仙に教わった」

「王様はそれをご存知なのですか。お伝えになれば、きっと喜ばれるでしょう」

「その言葉は、そのまま大護軍に返そう」

 

王妃は優雅に歩き出し、ヨンの横を通り過ぎて王の元へ向かう。

ウンスは近づく王妃に嬉しそうな笑顔を向けており、その瞳が自分に向けられた。

ウンスの髪に光が反射して眩しそうに目を細めるヨンに、ウンスは早く早くと言うように手を振る。

 

ふっとヨンの表情が柔らかいものへと変わる。

 

——————何よりも愛おしい

 

ウンスの笑顔を守るためなら、なんでも出来よう

 

 

あの時は、手放すつもりでいたと言うのに。

今となっては、いや、きっともうすでにあの時も

 

 

————手放すことなど、到底無理だった

 

 

ウンスをこの地に留めるられるならば、例えそれが天の意思に背こうとも…

 

 

幸せにしたい————俺が、この手で。

 

 

ああ、そう言うことか。

 

 

————幸せになってほしい、か————幸せにするのではなく、なってほしいと————

 

 

あの時の、あの言葉。

 

 

自分のいない所で、誰かがウンスを幸せにするなど、許せるはずがない。

 

 

————ウンスが側にいないと、もう…俺が駄目なのだ

 

 

今なら分かる。

 

 

そうか、これを⦅愛する⦆と言うのか————

 

 

 

 

 

***

 

 

 

「おかえりなさい」

 

園遊が終わり、一度ウンスとは別れ警護の任に戻ったヨンが部屋に帰ってきたのは、夜も更けてからだった。

 

「ただいま戻りました…イムジャ?」

 

何かウンスの様子がおかしい。疲れでも出ただろうか?だが園遊くらいで疲れるような御仁ではないことは自分が一番よく知っている。

 

「どうしたのです?何か?」

「えっと、その…」

 

少しだけ逡巡した後、ウンスはヨンの手をそっと握った。

 

「あのね、あの…叔母さまから聞いたわ。今日が————あなたの婚約者、だった人の命日だって…」

「イム…」

 

ヨンの言葉を遮るように顔を上げると、やけに明るい声色でウンスが続ける。

 

「だ、だからね?今日は、今日だけは、許してあげる」

 

そう言いながらウンスは視線を落とし、ヨンの手を握る己の手を見つめた。

 

「何を————」

「貴方が、私を忘れることを」

 

ヨンの目が驚きに丸くなる。

 

「その人を想う貴方を、許してあげる。こ、こんな寛大な恋人、そうそういないんだからね!感謝しなさいよ?」

 

うっすらと浮かぶ涙を誤魔化すように笑った顔を作り、早口でそう言ったウンスは、ヨンの手を離してくるりと背を向けた。

 

「だから、今日は向こうで寝るわね」

 

声が震えないようにするので精一杯だった。ヨンの気持ちが自分にあることなど、十分に分かっている。

分かってはいても、過去の婚約者の話を聞いたときは胸がきしりと痛んだ。
辛かったであろうヨンの気持ちを想って、そして————過去とはいえヨンの心に女性がいるという事実も。

その女性はもうこの世にはいない。だからこそ、ずっとヨンの心にいるだろう。

 

その過去を持つヨンを、その全てを自分は愛している。

それでも、別の女性を思い出すヨンの側に居れるほど、自分は強くない。

それに、ヨンにとってもその方が良いだろうと思ったのだ。

 

だから今日は別で寝ようと思ったのに。

 

 

「おやす…みぃ!?」

 

おやすみと言って扉を引こうとしたウンスだったが、後ろから伸びてきた腕がバンッとそれを閉じた。

 

あまりの勢いに驚いて、変な声が出てしまったではないか。

何をするのか、と問おうと後ろを振り返ったウンスの目に映ったのは————

 

「ひっ!?」

「イムジャ」

「テ、テ…ジャン?」

 

ずいと更に体を寄せるヨンから少しでも距離を取ろうと後ろに下がるが、悲しいかな…扉は既に自分の背に貼り付いている。

静かな怒りを感じさせるヨンの瞳から目を逸らせない。いや、これは逸らしたら喰われるという本能的な反応か。

 

「な、なんで…んっ!」

 

噛みつくような口付けをされたウンスは驚いてヨンの肩を押そうとするが、その手を捕まれ壁に縫い止められてしまう。

 

「んっ、んー!ふっ…な、何で」

「あり得ませぬ」

「え?」

「俺がイムジャを忘れるなど。俺が…ウンス、貴方を忘れることを、貴方は許すと?」

 

本当に忘れろなどと誰が言ったか。命日とあらば思い出すこともあるだろうと思っての言葉だっただけだ。

そう反論したくとも、あまりに真剣な瞳に言葉が出ない。

その沈黙をどう捉えたのか、ヨンの手を握る力が強まる。

 

「忘れられても良いと?そのように思うなど、許しませぬ」

 

その瞳の中に、ほんの少しだけ悲しみが見えてウンスは慌てて言葉を紡ぐ。

 

「ち、違うわ!本気で忘れていいなんて思うはずないじゃない!あ、貴方が、私を想ってくれてるのは分かってる。それでも、別の人を想う姿を見るのはやっぱり辛くて…。仕方ないじゃない!その人はもうこの世にいなくって、ずっと貴方の胸にいるんだから!でも、そんな過去を持つ貴方ごと、私は————大切なの。だから、私は一緒に居たいけど…思い出す時に私がいたら、貴方の方が苦しいんじゃないかって」

 

何が言いたいのか、我ながらめちゃくちゃだわとウンスは泣きそうになる。

だがそんなウンスを見て、ヨンの心が暖かいもので満たされてゆく。

 

————ああ、この方は…

 

ヨンはぐっとウンスを引き寄せ抱きしめた。

 

————本当に、俺のことばかりだ

 

思い出すなと言うのは簡単なはずだ。自分だけを見ろと、そう望めば良いのに。

己の辛さよりも、俺が辛い思いをする方が嫌だと————そう言うのだ。

 

 

————本当に、何故こんなにも…愛しい

 

 

「イムジャ。話を、聞いてくれますか?メヒとの話を」

「でも…」

 

戸惑うウンスを抱く腕に力を入れ、背中を撫でてしばらく待つ。

やがて、ウンスは聞くことに決めたのだろう。体から力が抜け、ヨンへと預けてきた。

 

「俺は、あいつが大事でした。ですが、貴方への想いとは違うと、今なら分かります」

「え?」

「あいつのことは、家族のように思うておったのです」

「そりゃ婚約者なら…」

「あいつにはただ、幸せになって欲しいと…そう思うておりました。ですがイムジャ、貴方は違う。俺がこの手で幸せにしたい、幸せにすると誓った。それどころか、俺が居らぬところで誰かが幸せにするなど許さぬ、と————そう思っておるのです」

「それって…」

「あいつを亡くし、赤月隊を無くし、生きる意志を失いながらも、それでも俺は生きたのです。されどウンス、貴方を失えば俺は、生きてはいけぬ」

 

言葉にならないウンスの瞳が、じわりと滲む。きゅっとヨンの背に回した手に力を込め、その肩に額を擦り寄せた。

 

「あの思いを、なんと呼ぶのか俺には分かりませぬ。心情か友情か…。ですがイムジャ、貴方のことは…」

 

もう一度、ヨンは強くウンスを抱きしめて耳元に顔を寄せると「一度しか言わぬ故よく聞いてください」と囁いた。

そっとウンスの肩を掴み引き離すと、その瞳を覗き込むようにして見つめ————

 

 

「イムジャ、俺は貴方を————

 

 

 

 ————————————————愛している」

 

 

 

時間が————————止まったようだった。

 

驚きに目を丸くするウンスの瞳からじわりと涙が溢れ、一粒ポタリと落ちると、時が動き出したかのように、次から次へボロボロと大粒の涙がこぼれた。

 

大きな目が落ちてしまいそうだと、ヨンは笑いながら涙を拭う。

 

「チェ、ヨン…貴方、なんでっその、言葉…」

 

涙で声がうまく出ない。

 

「貴方には、お伝えしたく」

「ふっ、う…あぁ」

 

諦めていた。愛していると、そう言われることを。この時代にはない言葉なのだから仕方ないと。ヨンからの想いは十分に分かっているのだから、何かを思うこともなかった。

 

それなのに、こんなにも————————嬉しい

 

「ふぅっ、っ、チェ、ヨン————!」

 

言葉にならない声で名を呼びながら、ヨンの胸に飛び込んだ。

溢れた涙はヨンの衣に落ち、だが濡れたというのに、その雫は暖かくヨンの心を包む。

 

「わ、私も、愛してる。ねぇ、どうしよう。この気持ちをなんて言ったらいい?嬉しすぎて…」

「笑ってください」

「え?」

「何も言わずとも。俺の側で、笑っていてください。————ずっと」

 

涙を流しながらウンスはコクコクと頷き、ふうわりと笑う。

 

 

「貴方も笑っていて。ずっと側で」

「それなら俺の側から、決して離れませぬよう」

「ふふ」

 

 

————愛しているわ、ずっと。いくつ時を越えようとも

 

 

 

ウンスを見つめ、ヨンも優しく口許を綻ばせた。

 

 

 

————側にいてもなお愛しい

 

 

必ず俺の側で、この手で幸せに…。

何があろうとも、決して離しはしない。

 

 

この女人が、己の生きる全て。

 

 

 

あの日、遠い天の地にて俺が見つけた

 

 

 

 

————————————イムジャ、俺の愛する人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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