こんばんは♬

 

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思わずうおぉ!?と叫んでしまいました。笑

 

本日の更新は引き続きシンイロミジュリ第二話でございます。

ではでは、どうぞ(*´ω`*)

 

 

***

 

 

 

 

 

 ちらり、とウンスは横を歩くヨンを見た。

 

 その視線に気づいたのか、ヨンはこちら向くと「何です?」と話しかけてくる。何となく楽しい気分になり、ウンスはふふっと笑った。

 

「何でもないわ!あ、ほら見てあれ美味しそう!チャン先生に買って行こうっと」

 

 そう言ってウンスはヨンの腕を引いて店に連れて行く。

 

 こうして二人が一緒に歩くのは、出会った日から続いている。

 

 

信義のロミオと不屈のジュリエット2

 

 

 

 あの日————————そう、ウンスが塀から抜け出した日だ。

 

「して、何処に行こうとしていたのです」

「誰にも言わない?」

「ですから、内容に寄ります」

「んもう、融通の利かない人ね!」

 

 そう言いながらも、歩き出した自分に着いてくるヨンは道側にいる。どうやら自分を少しでも隠してくれようとしているようだ。

 その優しさに嬉しくなったからだろうか。会ったばかりだと言うのに、気づけば正直に答えてしまっていた。

 

「街外れにある医院に。医師に会いに行くの」

「医師?どこかお加減でも?」

 

 そうではないと分かっていながらも、ヨンはウンスに尋ねた。ユ家であれば専属の医師がいるだろうから、わざわざ出向くとは何か訳ありか。そう考えていたヨンに返ってきた答えは、意外なものだった。

 

「私ね、医師になりたいの」

「医師に?されど…」

 

 ユ家のような良家の令嬢にはかなり厳しいだろう。言い淀むヨンを見てウンスは続けた。

 

「難しいのは分かってる。でも、家のために知りもしない人に嫁ぐなんて、まっぴら御免よ!私の道は私が決めるわ」

 

 凛と背筋を伸ばし、前を見つめるウンスの瞳には強い意志が宿っており、その輝きにヨンは目を奪われる。

 

「だから、医師に弟子入りしたの。その方はチャン先生というのだけど、とても優秀なのよ」

「それで、わざわざ茶会を抜け出して?今日でなくとも良かったのでは?」

「だって茶会よ?どうせ嫁ぎ先候補だ何だと言われるだけだもの」

 

 心底嫌そうな顔をするウンスに、ヨンは思わず笑ってしまう。

 

「何故、医師になろうと?」

「昔ね、私のために怪我を負った人がいたの。でも私、その時なにも出来なかった。震えているだけだったのよ。幸いすぐに医師が駆けつけてくれて助かったのだけど、あんな思いはもうしたくないの」

「それで、ご自分が医師になろうと?」

 

 おそらく護衛のことなのだろう。自分を守る為に護衛が怪我をすることなど何も思わない者が多いというのに。全くもって変わった女人だが、話していて心地いい。

 

「私が医師になれば、目の前で怪我した人を助けることができるでしょ?苦しんでいる人全てを、なんて崇高なこと言うつもりはないわ。私は、私の手が届く人だけで精一杯だもの」

 

 まっすぐに前を見てそう言うウンスからは、現実を見た上で覚悟を決めたのだと感じさせた。その道は決して容易いものではないだろうに。

 

「本当に、変わったお方だ」

「褒め言葉として受け取っとくわ」

「お考えはご立派ですが、街外れまで行くとなれば、お一人では危険でしょう」

「平気よ。いつものことだもの。今日はちょっと監視が厳しくて、塀からになっちゃったけど」

「いつも?お一人で?」

「え?ええまぁ」

 

 街中はそうでもないが、外れとなると治安が良いとは言えない。あまりの無鉄砲さに、危ないだろうと心配のあまり声に剣が混じる。

 

「普段はいつ、行っておるのです」

「だいたい三日に一度、この刻限くらいだけど…」

 

 何故そんなこと聞くのよ。と聞き返そうとしたウンスだったが、ヒンヤリとしたヨンの怒りが伝わり後ずさる。

 

「な、何怒ってるの?」

「怒ってなどおりませぬ。呆れておるだけです」

「一緒じゃないの!だって仕方ないじゃない。誰にも言えないんだもの」

 

 日が明るい時間の外出は問題視されていないが、家の者もまさか街外れまで行っているとは思ってないだろう。これが知れたら外出自体禁止されるに違いない。

 

「わかりました。今後は俺が送ります故」

「そんなのだめよ。あなただって仕事が…」

「昼の刻限には休憩となる故、問題ありませぬ」

「でも…」

「でも、はありませぬ。良いですね」

「本当にいいの?」

「はい」

 

 そう言うと、ぱっとウンスは笑顔になって「ありがとう」と礼を言った。

 

「本当はね、少し不安だったの」

「帰りの刻限は?」

「えぇ!?そこまでしてもらう訳には…」

「どうにかします。どうしても来れないときは部下をやります。ゆえに、決して一人では出歩きませぬよう」

「でも、本当に大丈夫?」

「心配で仕事に手がつかぬより良い」

 

 本気でヨンがそう言っているのが分かり、ウンスはくすくすと笑う。

 

「本当に、変わってるって言われない?」

「ウンスに言われたくはありませぬ」

 

 ウンス——————そう名を呼ばれて、どきりと心臓が跳ねる。

 

「どうしました?」

「え?い、いいえ。何でもないわ」

 

 ——————こうして、互いの家に言えない秘密を二人は共有することなった。

 

 

***

 

 

 もう一度、ウンスはそっと横にいるヨンを見た。

 

 あの日からずっと、ヨンは約束を守ってくれている。

 一緒にいる時間は、送り迎えのわずかな時間だというのに、ヨンの側にいると何故か安心出来た。

 

 こうして、ちょっと街に寄って買物をする時間。

 歩きながら、一緒に今日の出来事を話す時間。

 

 ウンスにとってそのどれもが、かけがえのない時間となっていった——————。

 
 
 
 
 
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